「視野を広げて、様々な選択肢を知ってほしい」 アスリート向けキャリア教育講座開講へ、野村忠宏、北島康介、鈴木啓太の各レジェンドがメッセージ 【#アスリートキャリアアカデミー】

アスリート向けの新たなキャリア教育講座『アスリート キャリアオーナーシップアカデミー』が2月1日に開講する。これに先駆けて行われた記者発表会では、アンバサダーに就任した野村忠宏氏、北島康介氏、鈴木啓太氏も出席し、アスリートへのメッセージを送った。申込期限は1月26日(火)中。オンライン中心となることから日本全国のアスリートから多くの参加が期待される。

▶︎『アスリート キャリアオーナーシップアカデミー』公式Webサイト

日本のスポーツが抱えるアスリートのキャリア問題

日本のスポーツは、長らく「純粋さ」という呪縛から逃れられないできた。

体育教育が競技に触れるきっかけだった…かつての日本では、そういうアスリートが多く存在した。そこでは、スポーツはあくまで教育の一環であり、競技者はピュアでフェアであることを求められた。現在のスポーツシーンでも、その影響は残っている。アマチュアリズムが曲解されて、アスリートが金銭的報酬を得ることに違和感を感じる人たちもいる。

しかし、時代は進み、クラブチーム出身のアスリートも増えてきた。また、多くのスポーツのプロ化が実現していく中で、アスリート自身のキャリアをどう形成していくか、ビジネス目線でその価値と将来性が語られることも一般的になってきている。

ただ、アスリート自身は競技に専念することで、自らのキャリアプランを思い描くことが難しいのも事実。調査によると(※)、Jリーガーの平均引退年齢が25〜26歳、オリンピアンは26〜31歳。オリンピアンの引退後の就職については縁故によるものがもっとも多く、年収については約半数の人が現在600万円以下だという。現役時代に多くの人に夢と感動を与えていた存在も、引退後はその輝きを失ってしまうことが少なくない。

(※Jリーグキャリアサポートセンター、笹川スポーツ財団「オリンピアンのキャリアに関する実態調査」による)

そこで、現役や引退後に関わらず意識してキャリアについて学び、考えていく機会を作ろうというのが『アスリート キャリアオーナーシップアカデミー』の趣旨だ。

「オーナーシップ」という意味

アンバサダーを紹介する大浦征也氏(右上)と、磯田裕介(右下)

アカデミーは、競技レベルを問わず現役・元アスリートを対象としてキャリアに関する講座を提供する。セカンドキャリア、デュアルキャリアなど、多様化するキャリアについてアスリートが主体的に考えられる知識とスキルを身につけられることを目指す。「オーナーシップ」というのは、主体性を持って取り組む姿勢やマインドのこと。ここにアカデミーの真の目的がある。

社会の変化は、時代を追うごとに激しくなっている。IT技術が発展することで、時間も空間も超えてつながることが可能になり、大きな病災害によって世の中の様相は一変することも経験した。そんな中で、スポーツの本当の価値も浮き彫りになってきていて、それを体現するアスリートの存在理由を見つめ直す機会が訪れている。アスリート自らが、自分の価値と将来を考えることが何より重要だ。

アカデミーの学長兼共同代表を務める大浦征也氏(パーソルキャリア株式会社執行役員)は、アカデミーの意義について次のように話す。

「長年アスリートのキャリアに関わってきた身として、解決につながる重要なポイントは、現役中のキャリアとの向き合い方だと考えています。『自分を知る』、『社会を知る』ことを意識し、自身が競技引退後の長い人生で『何を実現したいのか』、『どんな人生を歩みたいのか』を言語化していくために、今をどう過ごせばよいのか。そのような視点を、素晴らしい講師陣の皆さんと共にお届けできればと思っています」

2月1日から講義がスタート

2021年2月1日(月)から毎週月曜日の夜、12回にわたってオンラインをベースとして講座が開催される。

講師は、社会環境の変化に柔軟に対応する変幻自在な「プロティアン・キャリア」を提唱する法政大学キャリアデザイン学部教授の田中研之輔氏や、株式会社ワンキャリア取締役の北野唯我氏、元マラソン選手の有森裕子氏、元Jリーガーで初の上場企業社長としても注目される嵜本晋輔氏などが務め、アカデミックとビジネスの専門家が講義とワークショップを行うのに加え、元アスリートの実体験をもとにした講義も織り交ぜて構成される。

アカデミー共同代表であり、期間中メンターとしても受講生のサポートを行う磯田裕介(HALF TIME株式会社代表取締役)は、「アスリート自身が、自らの理想的なキャリアを実現していくことは何よりも重要です。スポーツで培ってきた経験・スキルがキャリア構築にどのように活かすことができるか、本アカデミーでぜひヒントを得ていただければと思います」と、期待を寄せる。

鈴木啓太氏「視野を広げて、様々な選択肢を知ってほしい」

右上から時計回りに:野村忠宏氏、鈴木啓太氏、北島康介氏、大浦征也氏

さらに、本アカデミーを応援するアンバサダーとして、柔道オリンピック金メダリストの野村忠宏氏、競泳オリンピック金メダリストの北島康介氏、元サッカー日本代表の鈴木啓太氏が就任。プログラムへの登場など、これまでの競技・ビジネスの知見を受講生に還元していく。

先日行われた記者発表会では、各アンバサダーからアスリートに向けてのメッセージが寄せられた。

野村忠宏氏は、 現役時代に弘前大学で博士号(医学)を取得した経験を引き合いに、次のように語る。

「私自身、競技者生活の終盤からは、時間を有効に使い大学院で博士号を取得するなど、アスリートとしての将来の可能性を模索していました。すべてのアスリートが引退後を含めて、長期的なスパンでキャリアを考えられることが、アスリート自身にとっても社会全体にとっても重要です。」

北島康介氏は、現役時代から株式会社IMPRINTを創業して選手マネジメントを手掛けたり、賞金付きの全国大会を主催するなど競泳界で精力的に活動してきた。昨年には東京フロッグキングスのGMとして、国際水泳リーグ(ISL)への日本チーム初参戦を果たしたのも記憶に新しい。

「現在、コロナ禍により社会が大きく変化しています。大会の延期や中止、練習場所の制限など、不安を抱えながら生活をしているトップアスリートも多いかと思います。しかし、ここ1年でオンライン化が急速に発展し、いつでも、どこでも学べる機会が増えました。今回の取り組みは、普段は練習に没頭する環境に置かれているトップアスリートの可能性を広げ、新たな未来を切り開く機会になると感じます」

鈴木啓太氏は、アテネオリンピック予選での経験からコンディショニングに着目し、腸内細菌の研究開発を行うAuB株式会社を立ち上げたことは有名だ。

「私は、現役時代からサッカー選手であれる期間はそれほど長くないと思い、引退後のネクストキャリアについて考えながらプレーしていました。その後スポーツ界の課題を考える度に、違う角度から物事を見る必要があるのではと感じたのが、起業するきっかけにもなりました。」

申込み期限は1月26日(火)中

野村氏が「現役のアスリートには、日々の競技への取り組み、ケアや休息時間に加え、今回のプログラムを通して、将来を考える・将来に投資をすることにも意識を向けてほしい」と語ると、北島氏は「私のように現役中に起業するなど、新しいことに挑戦するアスリートが、ますます増えていくことに期待したい」と同調し、鈴木氏は「ぜひアスリートには競技の“外”に出て、視野を広げて様々な選択肢を知ってほしいですね」と念押しする。

当初、アカデミーの定員は20名を予定していたが、早々に満員となってしまったため、増席して追加募集を実施。オンラインでの開講というのは、こういった柔軟性を発揮できる点では優れているといえるだろう。東京オリンピック内定選手を含め、日本代表歴のある11競技のアスリートが受講予定だ。

申込は公式Webサイトから可能で、期限は1月26日(火)中まで。アカデミーを通して、「自ら考えて行動できるアスリート」が育ってくることを期待したい。

▶︎『アスリート キャリアオーナーシップアカデミー』公式 Webサイト