1400人の村からヨーロッパサッカーの舞台へ。日本人選手も所属する、ルーマニアクラブの新たな挑戦

ACS Progresul Ezeris(エゼリシュ)は東欧ルーマニア、カラシュ・セヴェリンの人口約1400人の小さな村エゼリシュを拠点とする、2015年に創設されたサッカーチームだ。ルーマニアのプロリーグ「リーガ・プロフェショニスタ・デ・フォトバル(LPF)」で、創立2年でリーガ5(5部リーグ)優勝、その後3年間でリーガ3(同3部)昇格と、「村クラブ」としては類を見ないスピードで快進撃を続ける。とはいえコロナ禍の中、クラブ経営には困難も多い。そこで、次シーズンを目指してクラウドファンディングを開始した。

▶︎エゼリシュ:1400人の村クラブが起こす【奇跡の物語】[CAMPFIRE]

パンデミックが落とした影

5部リーグ当時のチーム。画像提供=ACSエゼリシュ

ルーマニアでは、マスク着用義務や飲食店の時短営業が解除され、少しずつ穏やかな日常が戻りつつある。しかし、多くの地元企業が苦しい経営を余儀なくされているように、全てが元に戻ったとは言い難い。

その影響は地元クラブのエゼリシュにも影を落とす。以前実施したクラウドファンディングによってクラブは何とか存続しているが、既存の現地スポンサーが撤退。新規のスポンサーだけでなく新戦力も見つからないまま2020‐2021シーズンが開始し、ルーマニア人の前オーナーが貯金を切り崩し、運営経費を賄っていた。

一方、クラブが次に目指すリーガ2は、1部リーグで優勝経験のあるクラブや数年前までヨーロッパリーグを戦っていたクラブなど、競争力の高いチームが名を連ねる。平均予算は約4000万円~5000万円と言われ、国内の経験豊富な選手を集めてしのぎを削る。資金力のないエゼリシュがリーガ2に昇格するのは無謀な挑戦に思えた。

サポーターの力で差し込んだ光

プレーオフ3部・4部入れ替え戦の様子。画像提供=ACSエゼリシュ

そんな中、クラブ所属のプレーヤーのひとり、川越武典選手が行ったクラウドファンディング「東欧ルーマニアのサッカーチームをコロナの危機から救いたい」 が成功。約110万円もの支援を集めた。さらにクラブ経営権をマレーシア在住の日本人実業家に売却。当座のクラブ運転資金400万円の確保に成功した。

クラブ存続の機運が高まった2020-2021シーズン後半、エゼリシュは若手新監督を招聘し若手有力選手もレンタル移籍で獲得。チームのパフォーマンスは格段に向上し、3部・4部の入替戦で勝利してなんとか3部残留が決定した。

最終戦となったプレーオフは大いに盛り上がり、第2戦のホームゲームでは約1000人のファンがスタジアムを訪れた。エゼリシュが地元の人々に愛されていることを示した一戦となった。

より強く、より愛されるチームに

3部残留を喜ぶエゼリシュのサポーター 画像提供=ACSエゼリシュ

クラブは、「ルーマニアで愛されるクラブ、日本でも応援してもらえるクラブ」を目指す。2部に昇格できる強いだけのチームではなく、地域発展に尽力し、チームを愛する人々に楽しみを提供していく。

それに向けて、クラブは新たなクラウドファンディングを開始。100万円を目標額に、選手の食事代や、移動費、人件費といったクラブの運営費や強化費に用いられる。リターンにはTシャツやサイン入り色紙などのグッズ、またクラブウェブサイトへのサポーターとしての氏名掲載の権利、クラブ運営参加権など個人向けのユニークなものから、法人向けのクラブのオフィシャルスポンサー権まで用意されている。

コロナ禍を乗り越えて真に強くなったエゼリシュが、会場いっぱいの観衆を沸かせる日を、多くの村民が渇望していることだろう。

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