イベントレポート前編:「スポーツを文化に」 北海道スポーツビジネスサミットin小樽が開催

昨年に引き続き2年目となる北海道スポーツビジネスサミットが、7月13日に小樽市で開催。「スポーツを文化に」を合言葉に、第一線で活躍する業界リーダーを迎え、「スポーツ×地方」の可能性について議論が交わされた。全国から約130人が集まったその熱気を、現地で参加したスポーツライターの新川諒がレポートする。

きっかけはツイッターの投稿

日本のスポーツ業界のリーダーがスポーツの可能性を語り合う北海道スポーツビジネスサミットが昨年に続き、7月13日に小樽市観光物産プラザで開催された。8人の業界リーダーを迎え、観光客が多く押し寄せながらも人口11.5万人という小樽市に、東京、大阪、福岡をはじめとする全国からの参加者が130人近く集まった。

1時間程のトークセッションが3つ開催され、参加者にとっては合計4時間近い学びの機会となった。その後は第2部のアフターパーティー、そして第3部では懇親会も行われ、参加者とパネリストが交流する貴重な機会も提供された。

昨年2018年に札幌で開催された北海道スポーツビジネスサミットに参加者として訪れていたのが、今回のエグゼクティブ・プロデューサーである近藤真弘氏だ。札幌市内でテニス及びサッカースクールの委託運営責任者を務める同氏は、実際に参加した第1回のサミットで刺激を受け、その後パネラーとして参加していたTEAMマーケティングの岡部恭英氏とのツイッターでのやり取りから、今回の小樽開催の主催者となることとなった。そこにテニススクールの後輩で、小樽商科大学で観光産業の産学連携事業に携わる大湊亮輔氏がディレクターとして実行委員会に加わり、今回の開催が実現した。

登壇者の中には、元サッカー日本代表の鈴木啓太氏(現AuB株式会社 代表取締役)や、平昌冬季オリンピックのカーリング銅メダリストでもある本橋麻里氏(現一般社団法人ロコ・ソラーレ 代表理事)らも参加。アスリートとは違った経営者の視点から、スポーツ関連事業やチーム運営の実際ついて語った。また、地元北海道を代表するスポーツクラブからも、北海道日本ハムファイターズ 広報部SCグループ長の笹村寛之氏と、株式会社VOREAS代表取締役を務める池田憲士郎氏が登壇した。

開会の挨拶を行う本橋麻里氏(ロコ・ソラーレ代表理事)

他にも、プロバスケットボールリーグのBリーグ常務理事・事務局長の葦原一正氏、スポーツ庁参事官補佐の忰田康征氏、そしてTEAMマーケティングのアジアパシフィック地域営業統括責任者でJリーグアドバイザーも務める岡部氏など、中央庁や国内リーグ、国際舞台で働くパネラーも参加した。

3つのセッションのモデレーターを務めたのは地元小樽市出身で九州産業大学准教授の福田拓哉氏。全体の司会は、2018年ミス・ユニバースジャパン日本大会に北海道代表として出場し、3位入賞を果たした豊澤瞳氏が務めた。

横のつながりを作り「越境」した者が強い

豊澤瞳氏(左)の司会と福田拓哉氏(中央)のモデレートにより進行された

前述のパネリストが所属する各組織は、それぞれ事業の舞台や規模が全く異なる。岡部氏はUEFAチャンピオンズリーグという世界のサッカーファンを魅了するコンテンツを扱い、Bリーグは、「2026年までには選手年俸ではJリーグを超える」と葦原氏が語るように、国内2大プロスポーツに挑む存在になった。無論、北海道日本ハムファイターズやヴォレアス北海道は北海道という地域に根ざし、ロコ・ソラーレの拠点はさらに地方都市の北見市だ。

競技や地域の垣根を越え、様々なジャンルの人々が集まるこの空間がスポーツビジネスサミットの最大の魅力だ。今回のパネリストの共通点は、岡部氏の言葉を借りると「越境」してきた人たちということだ。

例えば、鈴木啓太氏や本橋麻里氏はスポーツ競技の第一線から経営の道へ。葦原一正氏は外資系コンサルティング会社でキャリアを始めた後スポーツ界に転身し、岡部恭英氏は以前シリコンバレーで米IT系企業に勤めていた。笹村寛之氏は米国での大学院留学の後に、池田憲士郎氏は東京での建設会社勤務の後に故郷北海道へ戻ってきたUターン組だ。

人材の「越境」について重要性を語る岡部恭英氏(中央)

このように「越境」とは、海外と国内、大都市と地方という場所だけでなく、ある業種から別の業種、ある組織から別の組織など、様々な変化が考えられる。今後スポーツ界、そして日本社会が活性化していくためには、越境する人材が欠かせないと岡部氏は話す。

「スポーツではない分野からスポーツに来る人がイノベーションを起こす。それがもっと進んでいかなくてはいけない」

今回飛び入りでパネリストとして参加した、小樽市に隣接する余市町の町長 齋藤啓輔氏は、実際に行政で行なわれている「越境」の取り組みを共有した。

余市町では副業・兼業人材の活用を狙い、都内で働く外資系コンサルタントを募集する取り組みを実施。1名の枠を募集したところ、1週間で300名近い候補者が殺到した。齋藤氏の言葉は、戦国時代の「越境する者が一番強い」という思想にも通じる。

「いろんな異質を取り入れることで、地域も強さを得ていこうと思っています」

余市町で副業・兼業人材の採用活動を行った余市町長の齋藤啓輔氏

モデレーターの福田氏も、キーワードに「際(キワ)」という言葉を挙げる。昔はキワモノと言われ厄介者の存在だった人たちが、今後はゲートキーパーの役割を担い、内と外の世界のつなぎ役として貴重な存在になってくるという。さらには、世の中の構造を理解した上で創造的に破壊する「型破り」な人材も必要とし、「キワモノと型破りの人間の時代が来る」と語る。

知識を集め、ネットワークを広げ、行動に移すことが重要

スポーツビジネスサミットは貴重な知識の共有の場となっているが、役割はそれだけではない。福田氏は、知識を得て、それを活用していくことの重要さを唱える。

「世の中で起こっていることを知り、知識の数を増やしていくことが大事です。人間は知っているものの中からしか発想が生まれないからです。その次に、どうやって組み合わせれば上手くいくかを考える。これを全部一人でやるのではなく、誰かと組むことによって実現していっても良い」

今回のサミットには様々な専門分野からパネラーが集結し、参加者も彼らにアクセスできる場づくりが行われた。知識と行動だけでなく、いかに良いネットワークを作っていけるかが重要であり、その機会をスポーツビジネスサミットは提供している。

「面白い人たちが集い、このようなプラットフォームに来ればどんどん色んなアイディアが話しているうちに科学反応のように生まれます」と話すのは、前出の岡部氏だ。

スポーツビジネスの第一線を走るリーダーたちと密に、近い距離で時間を過ごすことが出来る北海道スポーツビジネスサミット。その余韻はソーシャルメディアでも続き、さらに活性化して多くの人たちを巻き込んで、新たな「越境」を生み出すだろう。

イベントレポート後編では、トークセッションのさらなる詳細について紹介する。イベントをソーシャルメディアでフォローするには「#SBS小樽」を検索してみてほしい。

 
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