女性役員は15%台、スポーツ団体の多様性課題に。笹川スポーツ財団「中央競技団体現況調査」発表

笹川スポーツ財団は2020年度の「中央競技団体現況調査」の結果を取りまとめた。調査は隔年で実施されており、現時点の最新版。90の中央競技団体を対象に、競技人口や役職員数、採用状況などについて2020年11月から12月に尋ねた。有効回答は78団体。

78団体における役職員と評議員の合計は4,126名。役員は常勤理事=140名、非常勤理事=1,310名、幹事=165名で、非常勤理事が特筆して多い。1団体あたり平均して約52名の役職員の中で、3分の1以上の20名が役員にあたることになる。役員数の中央値は21名で、3割弱の団体が20名から24名の間だった。

多すぎる役員は意思決定のスピードに影響しかねない。また、意思決定では様々な見地からの意見は有益になるが、その多様性には課題が残る。1,615名の役員のうち、男性役員は84.5%、女性役員は15.5%。9団体では女性役員が存在せず、39団体では女性役員が2名以下であることもわかった。

スポーツ庁がスポーツ団体のガバナンスの見直しを図るために2019年に制定した「スポーツ団体ガバナンスコード」では、女性理事の目標割合を40%としている。10年前となる2010年度調査では、女性役員が存在しない団体の割合は4割強であったが、現在は1割程度まで下がったことになり、今後も引き続き改善が期待される。

研究を担当する笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所の吉田智彦シニア政策ディレクターは、「スポーツ団体ガバナンスコードの遵守と公表が追い風となり、組織運営体制の整備が進められている。恐らく、今年度に改選期を迎える団体では、さらなる女性役員の登用が加速するだろう」との見方を示した。

数値目標を達成するのが全てではないものの、改革に向けてはひとつの指針になっている。その上で、各組織の現在位置と未来ビジョンに即した運用が求められることになる。先述の吉田氏は、「多様性の確保の観点から、競技経験のみならず女性ならではの視点や経験が反映される組織運営が望まれます」とも付け加えた。