野球におけるスポーツビジネスについて

プロスポーツの野球は、ビジネスとして見ても、成長産業の一つといえます。その中でもサッカーとプロ野球のビジネスは群を抜いて成果を挙げています。そしてオリンピックや、欧米プロスポーツはすでにオリンピックビジネスへと飛躍しています。日本のプロスポーツをビジネスという観点から見てみると、まだ初期の段階と言えそうです。ビジネスとして成功するためには、ヒト、モノ、カネ、情報、さらにはブランド価値などについて考えますが、ガバナンスの確立、交渉力の強化が大切と言えそうです。

日本のプロ野球界におけるオーナーの変遷

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プロ野球をビジネスとして成功させるには、究極的には収入を増やし、支出を切りつめることが重要といえます。

…ではどうすればいいのでしょうか?

スポーツビジネスにおいて収入を拡大するには、ファンをいかに増やし、つなぎとめるかが重要となってきます。

そのためには試合に勝つことはもちろん、面白い試合を見せ、スター選手を作るetc…方法はいろいろあります。

こうしたこと全てが、オーナーの知恵であり、積極性にかかっていると言って過言ではないでしょう。

プロスポーツビジネスを推進するには、スタジアムの経営権や、選手の年棒、経費など相当の額が必要となります。

いずれにせよ、オーナー側には、どの球団においても、制約があり、必要資金を無造作に手当てできるということはできません。

こうしたことから、足りないお金をいかに調達し、限られた予算をいかに配分するかが、大きな課題となります。それもオーナーの腕次第ということになりますね。

プロ球団の発足

中等学校野球や早慶戦を中心とした、東京六大学野球の高い人気を基礎に、プロ野球団の創立気運が高まってきました。

日本のプロ野球の第一号は、1934年に発足した「大日本東京野球倶楽部」です。

その設立に熱心だったのが、読売新聞社社主正力松太郎でした。

日本の野球界は、新聞社の役割がかなり大きいのが特徴となっています。

※夏の高校野球が朝日新聞、春の選抜と都市対抗野球が毎日新聞などです。

プロ球団がわずか一つでは試合ができないので、翌年には鉄道会社の阪神が、大阪タイガースを設立、次いで阪急が阪急ブレーブス、西武がライオンズ、東急がセネターズを設立させています。

そして、現在のせ・パの2リーグ制となりプロスポーツビジネスとして発展しています。

プロ野球球団の経営赤字対応策続く

1960年代は、国鉄スワローズがサンケイスワローズに、東京オリオンズがロッテオリオンズに、そしてサンケイスワローズは、ヤクルトアトムズへと、短期間のうちに続々と身売りしています。

1972年には、西鉄ライオンズ、東映フライヤーズが太平洋クラブへ…。

それを不動産業の日拓ホームが買収、日拓ホームフライヤーズとしますが、それも5年後クラウンライターへ身売り、そのクラウンライターも2年後西武へ身売り、目まぐるしく球団名が変わっていきました。

この時期はプロ野球球団では、巨人が人気実力ともずば抜けていて、巨人以外はすべて赤字経営だったと言っても過言ではないでしょう。

そのため球団身売りが毎年のように常態化し、それに振り回される選手はたまったものではなかったと予想されます。

1988年に入っても球団身売りは続きます。

阪急ブレーブスがオリックスへ身売り、南海ホークスが、ダイエーホークスへ。

ここに、オリックス宮内、ダイエー中内と言う金融、流通の時代のプロ野球参加が実現したので、当時大変な話題となりました。

そして新しいところでは、ソフトバンク、楽天と時代を代表する企業が続々参加、プロ野球の歴史を変える球団経営を見せてきました。

楽天、ソフトバンクの球団運営

時代の流れに乗り、楽天、ソフトバンクがプロ野球球団経営に参加したことは、日本のプロ野球界を大きく変えていきます。

球団経営に、新しい風を吹き込み事となったのです…!

楽天、ソフトバンクの両球団は、これまでにないユニークな政策を打ち出し、赤字経営に悩んでいる各プロ野球球団を驚かせてきました。

観客動員をうなぎ上りに増加させ、興行収入においても他の球団を圧する勢いを保っています。

これまで巨人一辺倒のプロ野球を、大きく変えたと言ってもいいでしょう。

楽天やソフトバンクのバックグラウンドにあるのは、豊富な資金力と言えそうです。

ソフトバンクの球団経営

これまで年間50億円を支払っていたヤフオクドームを買収し、本拠地ドームを確保、コストカットに成功、黒字経営に舵を切ったのは2012年です。

他の球団が、本拠地球場を持たず、年間50億程度の予算を計上している中、スタジアムを買い取ることは世界の流れからも一目置かれる存在になりました。

そのスタジアムを野球だけでなく、オフシーズンには、イベント、コンサートなどに場所を提供、大きな収入を得ているのも黒字化に大きく貢献していることの一つです。

楽天の球団経営

インターネットの「楽天市場」を運営する楽天がプロ野球に参加すると聞いたとき、世間は驚きを隠せませんでした。

それも現存する球団を買収するのではなく、新しく一から選手を集め、監督を選ぶという方法だったからです!

プロ野球関係者は、赤字経営に苦労している中、「ありえないこと」と信じられなかったという声をネット上でもよく聞きました。

みんながありえない!と思っていた矢先に…球団設立初年度で、なんと黒字化したのです!

なんと楽天の参加前のパリーグ球団の赤字は、約40億円の赤字体質であったといいます。

楽天が参加し、パリーグを大きく変え、パリーグが元気になったと球団関係者の声がよくあがっていました。

楽天の果たした役割は大きいものがありますね。

セ・パ交流スタート

アメリカのリーグ交流戦をもとに、セ・パ交流戦がスタートしたのは、2005年でした。

長い期間にわたり「人気のセ、実力のパ」と言われてきました。

そこで観客動員数の少ないパ・リーグは、人気球団である、阪神や巨人との試合を組みたいと長い間思っていた構想が実現できたのです!

それがリーグ成績にも影響するとあって、巨人を始めセ・リーグは、がぜん張り切り、日本シリーズを視野に、積極的になりました。

その結果、人気だけでなく実力もパ・リーグには負けないと、現在は互角、それ以上になり、観客を喜ばせています。

特に地方で…セ・リーグしか見られない地域は、普段あまり見られないチームが見られるとあって喜んでいるようです。

ドラフト導入に各球団の思惑が入り混じる

契約金の高騰、裏金問題で揺れたプロ野球界の改革を含んだドラフト制度が実施されましたのが1955年。

初めてのドラフトは、巨人堀内、東映守安、本格左腕鈴木、田端など好投手が参加した、目立ったドラフト会議がありました。

この当時は、「プロならどこでもいい、指名されるだけでうれしい」との傾向が強く、その裏には「自分の力で弱小球団を支えていく」などの強い気持ちがありました。

しかし全てがくじ運次第…しかし巨人が1位指名した甲府商の堀内が大活躍するなど、実力を均等にする思惑が外れたのが初年度のドラフトでした。

プロ野球の地域密着型へ移行

地域と密着型が色濃くなっていったため、観客動員数はうなぎのぼり、さらには興行収入が上がり、これまでの万年赤字経営に歯止めがかかり始めたのは、サッカーのJリーグがスタートしてからです。

一時Jリーグの人気に圧倒され、子どもたちはサッカーに走り、野球離れ現象が起きたのです。

それを救ったのは高校野球かもしれません。やはり子どもたちの夢は「甲子園」です。

これは永遠に変わらない夢と言えましょう。

これにアグラらをかいていては、プロ野球の発展はありません。

そこで地域密着型が重要視され、成功したのです。

広島、千葉、東京、大阪、福岡、横浜、東北など、チーム名に、都道府県の名前を付け、地域と一体化したのです。

これでファン層も増え、地域の応援が増加し、大いに盛り上がっています。

イベント開催

各球団も地域に密着したイベントを開催するようになり、ファンと選手がより身近になったようです。

その中でも人気なのが、球団が趣向を凝らして行う、「ファン感謝デー」でしょう。

子どもたちがグランドに下りて、選手と共に遊び、ゲームをし、盛りだくさんの企画にファンは大喜び、これが球場に足を運んでくれる要素になります。

そして各球団ごとに行う、ユニークな期間限定のイベントなど、こうした傾向は必ず成果を伴うことを指摘したいものです。

試合視聴の多様化

これまで試合を見るとなると、球場に足を運ぶスタイルだけだったのが、ラジオ、テレビでの視聴が増え、新たにスマホというプロ野球観覧スタイルが登場しました。

これは意外に影響を与え、球場に足を運んでくれなくなるという課題がでてきましたれません。

今後このスマホ層をいかに球場に呼び戻すか、その対策が大きな課題となるかもしれません。

しかし、球場にはスマホでは味わえない臨場感があることから、球場に足を運ぶようになる人もどんどん増えてくるかもしれませんね。

まとめ

日本のプロ野球の歴史は、常にアメリカの大リーグを意識しながら発展したきたといえます。

その大リーグに、日本人のスタープレーヤーが移籍し、大活躍する時代となったのです。

プロスポーツビジネスを今後押し進めていくならば、このあたりで、大リーグから独立し、「日本の土壌に合ったプロスポーツビジネスが必要だ」との声も多く聞きます。

楽天や、ソフトバンクなどの経営方針をモデルに、プロ球団経営も大きく変わっていかねばならない時期にきている…いわばプロ球団の一大転換期がきたといえそうです!


《参考文献》

深刻化する野球離れ『野球崩壊』 広尾晃 イースト・プレス

『プロ野球の経済学』橘木俊あき 東洋経済新報社

 
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