ブレイクダンスとは?オリンピック種目に選ばれた理由やルールなど解説!

パリオリンピックの追加種目となったブレイクダンス。ダンスの種類としては有名ですが、スポーツというイメージを持たない方もいることでしょう。また、ダンスに興味がない方のなかには、ブレイクダンスがどのようなスポーツなのか、よく分からない方もいらっしゃるかもしれません。

本記事では、ブレイクダンスとは何なのか、詳しく解説しています。また、オリンピック競技として採用された理由やルールなどについても紹介しています。

ぜひ、最後までご覧ください。

ブレイクダンスとは

ここでは、ブレイクダンスの特徴や、成り立ちについて解説しています。

ブレイクダンスの特徴

路上(ストリート)で踊ることから名付けられたストリートダンスの1つです。

もともと、ブレイクの意味は、「突破する者」。ブレイキングとも呼ばれていたり、「B-ボーイング」「B-ガーリング」とも呼ばれたりしています。ちなみに、ブレイクダンスのダンサーのことを、「ブレイカー」「B-ボーイ」「B-ガール」と呼びます。

ここで、ヒップホップの4大要素を下記に記します。

  • ブレイクダンス
  • ラップ
  • エアゾールアート
  • DJ

そもそもヒップホップとは、1970年代のニューヨークのブロンクス区で、アフリカ系アメリカ人やヒスパニック系の住民のコミュニティで行われていたブロックパーティから生まれた文化のこと。ブレイクダンスは、1970年代にブロンクス地区の若者たちによって発展したストリートダンスの一つなのです。

その後、アメリカ全土や世界でブレイクダンスブームに火がついたのは、映画『ブレイクダンス』がきっかけでした。1984年に公開されたこのアメリカ映画により、国内外でブレイクダンスが注目されるようになったのです。そしてこの頃、ブレイカーたちのファッションスタイルも大流行しました。

ブレイクダンスの成り立ち

1970年代に、ダンススタイルとして明確になりましたが、1970年代以前にも、既にブレイクダンスの基礎の形は確認されていました。

ブレイクダンスは、1970年代にブロンクス地区の若者たちによって発展したことは前述しました。そして、1970年代は、それまで大きく注目されなかったストリートダンスへの注目が高まった時代です。この背景には、1960年代中後期に盛んだった公民権運動や差別撤廃運動などの、黒人文化の主張があったからではないでしょうか。

ともかく、アメリカではブレイクダンスだけでなく、数多くのダンススタイルが1970年代に誕生しました。

ブレイクダンスは、ラップ調のリズムに乗せた踊りを、ブロンクス地区の若者たちが進化させたと、多くのニューヨークの黒人たちに語り継がれていますが、明確な記録は存在しません。

その後、ブロンクス区リバーサイド出身のミュージャン、アフリカ・バンバータ氏が、当時過激化していたギャングたちの抗争をまとめるため、銃撃戦ではなく、ブレイクダンスのバトルを用いて勝敗をつけることを提案。これにより、アメリカ東海岸では、ブレイクダンスが更なる発展を遂げたといわれています。

ブレイクダンスの技

写真提供 = Ilja Tulit / Unsplash.com

頭や背中で回ったり、片手で体を支えてポーズを決めたりするスタイルのダンスという印象がありますが、ブレイクダンスは以下の4つの要素で構成されています。

  • パワームーブ
  • エントリー 
  • フットワーク
  • フリーズ

それでは、詳しくみていきましょう。

パワームーブとは

ブレイクダンスといえば、パワームーブを思い浮かべる方も多いでしょう。パワームーブとは、全身、特に上半身でアクロバティックな動きをする技の総称です。跳ねたり回ったりと、豪快な動きが多いです。

パワームーブの代表的な技としては、主に下記の種類が挙げられます。

  • ヘッドスピン:3点倒立の状態で、頭を軸に回転する技
  • ウインドミル:肩・背中を地面につけ、足を開き回転する技
  • スワイプス:片脚で地面を蹴って、体を反転させながら回転もする技

これらのパワームーブを主にブレイクダンスするダンサーは「パワームーバー」と呼ばれています。

エントリーとは

エントリーとは、ブレイクダンスでの立った状態でのステップの総称のこと。エントリーの代表的な技としては、下記の種類が挙げられます。

  • アップロック:ステップをしながらしゃがむムーブ
  • ブロンクスステップ:足をおしりの方から前へ回しながら蹴りだすように左右交互にステップを踏むムーブ
  • トップロック:立った状態でのブレイクダンスステップ

厳密にいえば、技に入る前の最初のステップがトップロックです。トップロックはブレイクダンスの基本で、両手を体の前でクロスした状態から両手を左右に開き、同時に片足を前に出す動きのことです。

フットワークとは

他のジャンルのダンスではあまりみられることはありません。床に手をつけ、屈んだ状態で素早く足を動かしたり、相手を挑発したりするムーブのことです。

フットワークの代表的な技には、下記の種類が挙げられます。

  • シックスステップ:足を6歩踏んで1周するフットワーク
  • ツーステップ:最初の1歩で90度ずれた方向を向き、以降は2歩で半周するフットワーク

日本では、シックスステップのことを「6歩」、ツーステップのことを「2歩」と呼んでいます。他にも、5・4・3・1歩が存在し、1歩は向きがそのままで片足を旋回させるため、別名「ヘリコプター」とも呼ばれています。

フリーズとは

フットワークやパワームーブの一連の流れから音に合わせて動きを止め、ポーズを取る技がフリーズ。ダンスのフィニッシュを決めるためにも重要な技です。

フリーズの代表的な技は、下記のとおり。

  • チェアー:お腹の横・後ろに肘を入れて地面をキャッチしながら、側頭部と残りの手で体全体を支えるフリーズ
  • アローバック:3点倒立から後頭部に重心を移し、姿勢を崩さないように両手を頭より奥について支えるフリーズ
  • ショーグン:片手で倒立した状態でストップする技

なかでも、チェアーはブレイクダンスのフリーズでは基本となる技です。

オリンピック競技としてのブレイクダンス

2024年のパリオリンピックで、ブレイクダンスが新たなオリンピック競技として追加されることが、2020年12月7日に行われたIOCの理事会で決まりました。ここでは、ブレイクダンスがオリンピック競技に採用された理由やルールなどについて解説しています。

オリンピック種目に採用された理由

ブレイクダンスがオリンピック種目に採用された理由は、近年オリンピックへの関心が薄くなってきた若い世代を呼び込むため。ダンスのなかでも、ブレイクダンスは特に若年層に人気が高く、世界各地で大会が開かれています。

2018年に開催された、14~18歳を対象としたユースオリンピックの正式種目として採用され、その際に多くの観客を集めた実績が評価されたとみられています。

また、ブレイクダンスは音楽さえあれば、どこでもできるスポーツです。それがオリンピックの精神に沿っていることも、オリンピック種目に採用された理由だといわれています。

オリンピックルール

オリンピックでのブレイクダンスのルールは、具体的には決定していません。

ユースオリンピックでは、ダンスバトルでよく行われる相手への挑発は認められていました。しかし、公序良俗に反するジェスチャーや発言は減点対象となっていたため、パリオリンピックでは、こうした行為は限定されるかもしれません。

ちなみに、2018年のユースオリンピックでは「B-Boys(個人戦)」「B-Girls(個人戦)」「男女2人のミックスチーム」の3種目で競いました。そして、採点は5人の審査員が行い、下記のポイントで順位をつけています。

  • ファンデーション(基本技術)
  • ミュージカリティ(音楽性)
  • バトルプレゼンテーション(相手との駆け引きや戦術)

さらに、個人戦ではオリジナリティ&クリエイティビティ(個性や技の配分など)、ミックスチームではパートナリングスキルの計4項目で、勝敗を決めるシステムが採用されていました。

ブレイクダンスを始めるために必要なもの

「これからブレイクダンスを始めてみたい!」
…という方のため、必要となるものを主に3つまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。

・音楽

ブレイクダンスは音楽に合わせ展開されるため、当然ながら用意する必要があります。
昨今はスマートフォンを持っている方が多いことから、直接アプリで流すのも選択肢のひとつです。
しかし、屋外などで行いたい場合において、外部スピーカーは持っておいて損はありません。
Bluetooth対応のワイヤレスタイプや、充電式のものでも2000~3000円くらいから手に入ります。

・服

服装に関しては、動きやすければどんなものでも問題ありません。
強いて勧めるならば、速乾性のシャツでしょう。
夏季の屋外で行う場合は非常に汗をかきます。

・サポーター類

初心者に用意してほしいものとして、まずはリストバンドです。
手を使って身体を支える際に、サポーターの役割を果たしてくれます。
次に、肘サポーターです。
これは、練習時などバランスを崩して倒れた場合、肘を強打するケースも少なくないためオススメです。
最後に、ニット帽またはヘルメットです。
ヘッドスピンの練習時において、当然ながら頭の保護になります。
初心者の内は安全面を考慮して、最も強度のあるヘルメットで始めてみるのがいいです。
一方で、最近はブレイクダンス専用の強度の高いニット帽も販売されています。

・場所

音楽を流しながら練習するケースが多いため、屋外においては迷惑行為に当たる可能性も出てきます。
無難な選択肢としては、レンタルスタジオが挙がります。
最近は1時間1000円しないくらいでレンタル可能なスタジオも増えてきていますので、学生さんなどでも気軽に利用できるでしょう。

いずれのものも手軽に、しかも安価に手に入るものばかりです。
初心者が始めやすい敷居の低さもブレイクダンスの魅力の一つと言えますね。

まとめ

今回のブレイクダンスの競技採用など、若者向けのスポーツが増加傾向にあるオリンピック。しかし、具体的にどのようなルールで行われるのかは、まだ明確にはなっていません。ユースオリンピックでも、徐々にルールや審査方法が整備されていたので、パリオリンピックではどのような動きになるのか楽しみですね。

ブレイクダンスは得点で勝敗が明確になる競技とは異なり、見た目や豪快さも審査に重要な要素となります。近年、日本は男女ともに世界トップレベルの活躍を見せていることから、金メダル獲得には期待したいですね。

本記事が、ブレイクダンスについて知りたい方の参考になれば幸いです。

(TOP写真提供 = Michael Afonso / Unsplash.com)


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