野球業界で効果的なビジネス戦略とその内容とは?

いよいよ2020年の東京オリンピック開催まで1年をきるなか、スポーツはビジネスとして成長産業の一つとなっています。

プロ野球やJリーグなど、日本にも色々なプロスポーツがありますが、ビジネスの面からみて、効果的なビジネス展開をしているのがプロ野球でしょう。

プロ野球は昭和の時代から、スポーツによるビジネスを展開しているといっても過言ではありません。さらに、プロ野球の球団のなかには、時代の流れや変化に合わせ、今までにないビジネスを展開している球団もあります。

ここでは、プロ野球業界が現在展開している効果的なビジネス戦略の内容について実例をもとに解説していきます。

そもそも球団の収入と支出にはどのようなものがあるのか?

Baseball

プロ野球業界がどういった効果的なスポーツビジネスを展開しているかをお話する前に、そもそもプロ野球の球団の収入と支出にはどのようなものがあるのかについて解説していきます。

プロ野球の各球団は、野球をビジネスとして成功させるために収入を増やし、支出を減らす努力を続けています。

プロ野球の主な収入は、野球観戦のチケット販売、球場や全国のショップで販売されている球団グッズの物品販売、スポンサーからの広告料、テレビの放送権利料などです。

続いて支出ですが、まず、試合を行うスタジアムの使用料や維持・管理に膨大な費用がかかりますし、選手の年棒や選手関連にかかる経費にも相当の額が必要となります。

スポーツがビジネスとして成功するには、いかに多くの方にファンになってもらうかが重要となってきます。そのためには試合に勝つことはもちろん、面白い試合を見せてくれるスター選手が必要です。

そのほか、スポーツ選手だけでは球団運営はできないため、野球をビジネスとして展開していくための事務所や数多くの職員にかかる経費もプロ野球球団の主な支出の一つになっています。

強いだけじゃない!ビジネス戦略も優秀な広島とソフトバンク

プロ野球が開幕した昭和の時代、球団の実力があっただけでなく、圧倒的な人気によってビジネスでも躍進していたのが巨人です。

テレビでは、一貫して巨人戦だけが地上波で全国放送されていました。そのため、巨人との試合がないパ・リーグ球団は放送権利料収入が極端に少なく、球団のある地元の地方市場が球団の主な収入源であり、厳しい経営を続けていた球団も多くありました。

しかし、平成の時代を迎え、プロ化するスポーツが増えたことでスポーツビジネスをめぐる大競争時代へ突入しました。

さらに、娯楽の変化により、地上波でのプロ野球のテレビ放送も激減していきました。このような環境の変化のなかで、これまでと違ったビジネス戦略により、一気に躍進したのが広島カープとソフトバンクです。

ファミリー戦略にチカラを入れた広島

「カープ女子」と呼ばれる女性ファンを取り込み、今や一大市場を形成したスポーツビジネスを展開しているのが広島です。

このカープ女子の存在は、広島が展開しているファミリー戦略によって誕生したと言っても過言ではありません。

元々、広島市民にとって、広島カープという球団は生活に密着した存在でした。

球場を新しくした際に、私設応援団や熱烈なファン向けのシートや砂かぶり席といった特徴のあるシートを導入。

さらに毎年、新しいシートを導入し、好感度の高いものは残し、不評なら翌シーズンは変更するなど常にファンの視点に立ったビジネス戦略を行ったことで、大人だけでなく子供連れで野球を観戦する方が増えていきました。

今や「MAZDA Zoom−Zoomスタジアム広島」では、球場内で騒いでも怒られるようなことはないほど、子供と一緒に多くの方が球場に足しげく通い、球団の人気も収入も年々高まっています。

球場を買収しコストカットに成功したソフトバンク

ファンの視点に立ったビジネス戦略で躍進した広島に対し、これまでのプロ野球球団にない合理的なビジネス戦略で、赤字から一気に黒字経営に舵をきったのがソフトバンクです。

プロ野球の球団にとって、本拠地球場に支払う使用料は大きな支出になっています。その支出をカットするために、ソフトバンクは、これまで年間50億円を支払っていたヤフオクドームを買収し、大規模なコストカットに成功したのです。

さらに、ソフトバンクは、買収したヤフオクドームを球団の本拠地球場にするだけでなく、野球のオフシーズンには、イベントやコンサート会場にするというビジネスを行うことで、今や、プロ野球の主な支出である球場が大きな収入となっています。

地域密着型のビジネス展開をしているパ・リーグ球団とは?

ソフトバンクに続き、スポーツをビジネスとして展開する楽天が参加したことで、パ・リーグは大きく変わりました。

1950年から歴史が始まったパ・リーグですが、ネットやCS放送がない時代にパ・リーグの試合を観戦するには直接球場に行くしかありませんでした。

そうしたこともあり、地域密着型のビジネス展開をしていたのがパ・リーグの球団です。

さらに、2004年に近鉄とオリックス合併を機に1リーグ制への球界再編の危機が起きたときのことです。

ファンの奮起によってパ・リーグが存続したことから、イベント活動に選手を派遣したり、地元の子供たちを試合に招待したりするなど、これまで以上に地域密着やファンサービスに力を入れるようになりました。

2007年にはパ・リーグの6球団が共同出資し、ファンサービス企画の球団同士のシェアや映像配信などを担うパシフィックリーグマーケティング社を設立し、パ・リーグ全体でのビジネス展開を行っていますし、球団ごとに特徴的な地域に密着したファンサービスも行っています。

かつては「人気のセ、実力のパ」と言われていましたが、ファンサービスを重視した地域密着型のビジネスを展開してきたパ・リーグの方が今や実力だけでなく人気も高くなっています。

DeNAベイスターズのビジネス戦略で来場者数5年で1.5倍に!

今や実力だけでなく、人気もパ・リーグに抜かれてしまったセ・リーグのプロ野球球団。

しかし、セ・リーグのプロ野球球団も、これまでとは違ったビジネス展開によって人気獲得しています。

広島カープではファミリー層をターゲットにしたファンサービスでのビジネス戦略を展開していますし、横浜DeNAベイスターズも独自のビジネス戦略によって球場への来場者数を年々増やしています。

池田流マーケティングによりDeNAベイスターズの経営再建に成功

かつては赤字続きで、2011年には約50億円の売上に対して約25億円も赤字があったというベイスターズ。そのベイスターズを新たなビジネス戦略によって球団の経営再建に成功したのが、大赤字となった2011年に球団社長となった池田純氏です。 

元々は商社マンだった池田氏は、博報堂やDeNAを経て、2011年にDeNA社が球団を買収した際に球団社長に就任。当時、池田氏は35歳という若さでした。

プロ野球業界とまったく関わりなかった池田氏でしたが、これまでのビジネス経験を活かし、今までのプロ野球界のやり方に捉われないビジネス戦略を展開していきました。

それにより、池田氏が球団社長をつとめた5年間で観客動員数は約76%もアップ。さらに池田氏が退任した2017年にはDeNAベイスターズは日本シリーズへ進出するなど、経営再建と野球の両方で成功しています。

ファミリー層を重視したビジネス展開

広島カープも、球場にファミリー層を重視したシートを新設し、新たなファンの獲得に成功していますが、池田氏が行ったビジネス戦略も、これまで野球観戦の主だった従来の野球ファンだけでなく、それ以外の層のファンの獲得に向けて動いてきました。

DeNAベイスターズでも球場に子連れで楽しめるボックスシートや団体向けのプレミアムシート、飲食しながら楽しめるカウンタータイプのシートなどを新設。

また、野球選手との交流が楽しめるイベントに加え、グラウンドでキャンプを行ったり、スタジアムに隣接する横浜公園で球団オリジナルのビールによるビアガーデンを開催したりするなどして新たなファンの獲得に成功しています。

さらに、池田氏は新しい人材の登用も積極的だったほか、人事評価制度の見直しや、すべての社員と1対1での面談を行うなどの改革も行いました。

まとめ

最後に、現在のプロ野球の順位をみると、新たなビジネス戦略によって新たなファンを獲得し、売り上げを伸ばしている球団が上位に入ってきています。

テレビでのみ野球を観戦する時代ではなくなったなか、野球を観る側が変わっていったように、プロ野球球団の方もスポーツとしての野球ではなく、ビジネスとしての野球を改めて考え大きく変わっていく必要があるでしょう。

参考記事一覧

ZOZOも参戦、プロ野球「球団経営」のめちゃ儲かるビジネスモデル(週刊現代)

日本プロ野球が生き残るためのビジネスモデル(わたしは価値を創る)

図解ではなく、ビジネスモデルキャンバスで見る横浜DeNAベイスターズの躍進(Bizmake)

プロ野球 球団はどうやって稼いでいるのか? ゴールデンタイムのTV中継激減(ZUU online)

 
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