スポーツビジネスを学ぶには、マーケティングについて学ぶことが重要ともされていますが、その理由は何なのでしょうか?
この記事では、スポーツビジネスにおけるマーケティングの重要性について解説しています。
日本のスポーツビジネスとはどういう特徴があり、マーケティングで重要視されていることはどういうものなのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
スポーツビジネスとマーケティング
「スポーツビジネス」というと、プロのスポーツリーグやスポーツクラブなどの市場に限られたイメージを持っている方が多いかもしれませんが、今や、「スポーツビジネス」の対象は、プロスポーツ選手だけでなく、スポーツ用品メーカーやスポーツ施設などといったさまざまな業種に広がっています。
そして今、その市場規模を2025年までに15兆円に成長させるという目標が掲げられている日本のスポーツビジネスは、成長産業として広がりを見せています。
このスポーツビジネスの発展に欠かせないのが「マーケティング」です。
「マーケティング」とは、日本マーケティング協会によって「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。」と定義されるもの。
分かりやすくいうと、「顧客のニーズにあう商品・サービスを提供する市場を作り出し、顧客に商品・サービスを選んでもらう活動のこと」と言い換えることができます。
スポーツビジネスにおいてのマーケティングは、「プロスポーツ団体などがスポンサー企業を募ったりスポーツ観戦者を増やすためのマーケティング」と、「スポーツによって企業イメージのアップや地域の活性化をはかるためのマーケティング」という2つの意味を持っています。
スポーツマーケティングの変遷
スポーツビジネスはプロのスポーツリーグやスポーツクラブといった限られた市場から、スポーツ用品メーカーやスポーツ施設などを含む開かれた市場へと広がりました。
そして、それに伴ってスポーツマーケティングも変化しています。
視聴型(SEE)スポーツから参加型(DO)スポーツのそれぞれで、どのような変化が見られたのかについて見ていきましょう。
始まりは視聴型(SEE)
スポーツマーケティングという言葉が登場したのは1970年代後半のこと。
この頃におけるスポーツマーケティングというと、プロ野球やJリーグといったプロのスポーツリーグをメディアで見て楽しむという視聴型(SEE)であり、視聴型(SEE)スポーツに集まったスポンサーが、大会運営の支援や選手のサポートをするというものでした。
20世紀後半になって国際的なスポーツイベントが開催されることによって、視聴型(SEE)スポーツから参加型(DO)スポーツへの広がりが進みます。
参加型(DO)への広がり
プロ野球選手やJリーガーの活躍によってスポーツの人気が高まるとともに、スポーツを自分で行う人が増える動きが広まり、スポーツ人口が増加しました。
視聴型(SEE)スポーツから、参加型(DO)スポーツへの広がりです。
それに伴って、スポーツウェアやグッズなどのスポーツ関連商品におけるビジネスも盛り上がりをみせます。
しかし、視聴型(SEE)スポーツから参加型(DO)スポーツへの広がりが進む一方で、スポーツをする人の数が一定数のままでスポーツ人口全体の増加につながらず、ゴルフ人口が減少するなどといった問題も起こります。
この問題を打開したのが、2007年に開催された東京マラソンです。
東京マラソンでは、プロのランナーだけでなく一般人が多数参加することができる大会となっていたことから、この大会をきっかけにランニング人口が増加し、参加型(DO)スポーツの人気が高まりました。
視聴型(SEE)スポーツと参加型(DO)スポーツへのスポンサーの関わり
視聴型(SEE)スポーツから参加型(DO)スポーツへの広がりが進みましたが、視聴型(SEE)スポーツと参加型(DO)スポーツでは、スポンサーの関わりはどのように変化したのでしょうか?
視聴型(SEE)スポーツへのスポンサーの関わり
視聴型(SEE)スポーツのスポンサーは
- アスリートのスポンサー
- 大会の協賛
- 広報のサポート
などの役割を果たしています。
まず、アスリートへのスポンサーの役割としては、交通費や宿泊費といった費用面の支援をすることによって、アスリートをサポートします。
急成長している企業が、企業の知名度を上げるため、というケースの他、大企業が興味のあるマイナースポーツのスポンサーとなるケースなどがあります。
次に、大会の協賛という役割がありますが、企業が大会の協賛をする場合、競技に必要な器具を提供したり、大会運営のための費用をサポートするなどの役割を果たしています。
企業の知名度や商品のブランド力を上げるという効果が期待できます。
そして、広報のサポートとしては、大会の告知などを行うことがあげられます。
大会の告知を行うことによって、スポーツ大会やイベントへ参加する人や観客を増やすという狙いがあり、来場した人に対して企業名を広めることができるというメリットがあります。
参加型(DO)スポーツへのスポンサーの関わり
参加型(DO)スポーツへも、スポンサーがつくことがあります。
例えば、前述した東京マラソンなどのマラソン大会。
スポンサーがドリンクの提供やスポーツウェアの提供、デバイスの提供などを行い、それを参加者がSNSで発信することによって参加者からのフィードバックを直接的に受けることができたり、SNSの発信内容によって企業の商品価値が上がるという効果が得られます。
つまり、地方での参加型(DO)スポーツの開催は、開催都市の企業が自社をアピールする場としても活用されています。
スポーツビジネスのマーケティングで重視すること
前述したとおり、マーケティングは、スポーツビジネスに欠かせないものです。
そのマーケティングにおいて重視されているものに
- データの収集・分析
- ターゲットの求めているものを作る
- ターゲットとのコミュニケーションを作る
- ストーリーのある広告・PR
があります。
まず、スポーツビジネスのマーケティングでは、そのスポーツビジネスにおけるターゲットを知るために、データの収集が重要です。
次に必要なのが集められたデータを分析すること。
これによって、ターゲットが求めているものが何なのか、ということを理解することが可能となり、ターゲットが求めているものを作ることができるようになります。
また、ターゲットとのコミュニケーションの場を設けたり、ストーリーのある広告やPRを行うことも重要です。
Jリーグにおいても、JリーグIDの導入によるデータベースの統合で、パーソナライズされたサービスの提供がなされるなど、この戦略が導入されています。
まとめ
上述した通り、視聴型(SEE)スポーツから参加型(DO)スポーツへとスポーツの様態が変化しています。
そして、視聴型(SEE)スポーツから参加型(DO)スポーツへとスポーツの様態の変化に伴って、スポーツビジネスの市場規模も拡大しています。
スポーツビジネスの市場規模を拡大するためには、マーケティングを的確に行うことの重要性が高まっているといえます。
参考記事一覧