雇用形態というと、正社員やパート・アルバイト、契約社員や派遣社員など、さまざまなものがあります。
日本では、長年にわたって正社員で働くことこそ正しい働き方であると考えられ、現在でも「正社員=ちゃんと働いている人」と考えている方は少なくありません。
しかし、自由を求めて積極的に非正規社員を選ぶ人が増え、国も、正社員と非正規社員の格差を埋める法律を定めています。
本記事では、正社員のメリットや、正社員と非正規社員の違いについて、分かりやすく解説します。
正社員と非正規社員。その違いとは
厚生労働省はよく「正規雇用」と「非正規雇用」と呼びわけますが、本記事では、雇用期間がなく、フルタイムで働き、勤務先に直接雇用されている正規雇用の人たちを正社員、それ以外の働き方をしている人を非正規社員として記載します。
いまや、日本経済は非正規社員無くして回らない、とも言われています。
その理由について見ていきましょう。
非正規社員なくして日本経済は回らない
冒頭で、非正規社員が増えていると述べましたが、いまや、日本経済は非正規社員無くして回らない、とも言われています。
その理由について見ていきましょう。
1989年(平成元年)の日本の労働者は、正社員が80.9%で非正規社員が19.1%。それが2021年には正社員63.5%、非正規社員36.5%と、約30年で正社員:非正規社員の割合は8:2から6:4へと大きく変化しました。
小売や飲食店ではパートの店長が若手正社員を指導するといった「逆転現象」も。
日本企業にとって非正規社員の労働力は重要となっているといえるでしょう。
正社員も非正規も「同じ労働をすれば同じ賃金がもらえる」
非正規社員の割合が増加していると述べましたが、国は「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」というキャッチフレーズのもと、同一労働同一賃金という方針を打ち出し、正社員と非正規社員の垣根を壊そうとしています。
しかし、実際の労働現場では、正社員のほうが重い責任を負わされたり、難しい仕事を任されたり、高いノルマを課せられたり、転勤を拒めなかったりするなど、正社員と非正規社員の労働は完全には一致しません。
そのため、同一労働同一賃金が理想とされるにもかかわらず、正社員のほうが有利な状況は、まだまだ残っているのが現実です。
正社員と非正規社員、それぞれのメリットとデメリット
正社員と非正規社員のメリットとデメリットを紹介していきます。
正社員で働くメリットとデメリット
正社員で働くメリットとして
- キャリアアップしやすい、高いスキルを習得しやすい
- 給料が相対的に高い
- 雇用が安定している
- やりがいがある仕事や高度な仕事を任せてもらえる
- 世間体がよい
などが挙げられます。
その一方で、
- 長年にわたって会社に忠誠を尽くさなければならない
- 任された仕事が自分に合っていないと、大きなストレスになる
などがデメリットとして挙げられます。
正社員として働けば、給与や安定など、メリットの質は高いものの、会社を辞めてしまえば一瞬で失うものであり、上司との相性が悪い時・任された仕事が合わない時などには精神的なストレスを感じることが多いといえるでしょう。
非正規社員で働くメリットとデメリット
非正規社員のメリットは
- 雇用期間に限りがあるため、計画を立てやすい
- 自由に副業ができる
- 資格を有していればどこでも就職・転職できる
ということ。
そして、デメリットとして
- キャリアアップしにくい、高いスキルを習得しにくい
- 給料が相対的に安い
- 雇用が不安定
- やりがいが小さい仕事や雑用が回ってくる
- 世間体が悪い
ということが挙げられます。
非正規社員のデメリットをまとめると「正社員でないこと」であり、非正規社員として働くメリットも「正社員でないこと」といえるでしょう。
会社は正社員と非正規社員をどうみているのか
日本の会社は、規模が大きくなるほど、正社員をメイン労働力とみなし、非正規社員をサブ労働力と考える傾向が強くなります。そして、高い給料や手厚い福利厚生を正社員に提供し、一生懸命会社のために働いてもらおうとします。
その結果、厚遇を期待して、大企業に正社員として勤めたいと考える人が多く存在します。
一方、中堅企業や中小企業は、安い賃金の非正規社員を頼りにする傾向が強くなります。また、規模が小さい会社は雇用ルールを柔軟に変更できるので、非正規社員を正社員に登用することも珍しくありません。
正社員に向いている人
正社員に向いている人は
- 雇用期間を定めずに働きたい
- やりがいのある仕事をしたい
という人。
非正規社員に重要で大きな仕事を任せることはありますが、それは例外と考えておいたほうが無難です。
大きな仕事をしたい人は、正社員の道しかないと考えたほうがよいでしょう。
非正規社員のままで大きな仕事をしたい人はフリーランスになるという選択肢も
先述したように、非正規社員のままでも大きな仕事をすることはできます。
自由と大きな仕事の両方を求める人におすすめなのが、フリーランス(個人事業主)になること。
非正規社員は労働者であり、雇用されている人ですが、フリーランスは誰かに雇用されているわけでもなければ労働者でもありません。
また、非正規社員の報酬額(賃金)は勤務先の会社が提示した額になるのに対して、フリーランスの報酬額はクライアント(仕事を依頼する企業など)と話し合って決めるもの。
つまり、フリーランスは、クライアントのビジネス・パートナーになることができます。
企業のなかには、重要な仕事をフリーランスに発注している企業もあります。
正社員にはならずに大きな仕事をしたい、という人は、例えば、アルバイトを週3日しながら週2日はフリーランスとして働くなどの方法を模索してみると良いでしょう。
まとめ
正社員と非正規社員の違いやそれぞれのメリット・デメリットなどを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
正社員として働くか、非正規社員として働くかは個人の自由です。しかし、正社員から非正規社員になることはたやすくとも、非正規社員から正社員になることは難しいこと。
もし、自分が正社員と非正規社員のどちらの雇用形態で働きたいかを決めることが難しい、と感じているなら、とりあえず正社員を目指すといいでしょう。
(TOP写真提供 = Sergey Zolkin / Unsplash.com)
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