eSports世界大会、2020年東京オリンピックに合わせて日本で開催

eSports」というフレーズを耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。普段、気軽にプレーしているゲームを、スポーツとして認定しているものがeSportsですが、このeSportsをスポーツの最大の祭典である「オリンピック」の正式種目として採用しようという動きが広まっています。この記事では、eSportsとはいったい何なのか、というところから、オリンピックの正式種目として採用されるための取り組みや日本代表として参加した世界大会についてわかりやすく解説していきます。また、2020年の東京オリンピックに合わせて日本で開催されるeSports世界大会についても詳しく紹介します。この記事を読めば、eSportsについてあまり良く知らない、という方でもeSportsについての流れを理解することができます。

オリンピック競技に採用が検討されるeSports

esports
写真提供 = adamziaja.com / Shutterstock.com

最近、ニュースなどで取り上げられることが増えてきたeSports。

一体どういうスポーツなんだろうと気になった方もいるのではないでしょうか。

eSportsとは、エレクトリックスポーツのことで、PCや専用機で行う電子スポーツ、早い話が対戦型のゲームのことです。

近年では、オリンピックの競技として採用されるのではという話もあり、注目されています。

海外では大規模な市場を持っている

eSportsは、海外ですでに巨大な市場規模をほこり、大会の賞金もかなりの高額となっています。

特に、人気ジャンルの『League of Legends』や『Dota2』では、賞金額が数億円にのぼるほど。

多くのジャンルで国際大会が開催され、海外のeSports人気は年々上昇しています。

一方、日本ではeSportsの盛り上がりが海外に比べて見られないのが現状です。その要因として“賞金が少額である”ということが挙げられます。

日本では多額の賞金は法に触れることになるため、海外と同じような多額の賞金を出すことができず、大会規模を抑えざるを得ないのです。

また、eSportsの主要ジャンルである「RTS」「MOBA」「PCゲーム」「FPS」などの競技人口が、海外と比べるとまだまだ少ないということも要因の1つ。

結果として、日本のeSportsプレーヤ数が増えず、海外ほど人気の高まりが見られない状況です。

しかし、eSportsはオリンピック競技として採用が検討されるなど、ニュースでも取り上げられることが多くなり、近い将来、プレーヤ数が増加すると予想されています。

参加者が増えれば競争率も高くなるので、参加したいと思う方はできるだけ早く参入しておきましょう。

JOCに加盟するため、JeSUが誕生

eSportsがオリンピックの正式種目として採用されるかどうか、というニュースがあったということを先ほど述べましたが、eSportの団体が「日本代表」としてオリンピックに参加するためには、日本オリンピック委員会(JOC)に加入しなければなりません。

そして、JOCに加入するためには、その競技を国内で唯一統括している団体になる必要があります。

そこで、日本国内に存在していた3つのeSports団体を統合して、「JeSU」が設立されたのです。

JeSUはプロライセンスを設けている

JeSUは、eSportsのプロライセンスを設けています。

JeSUがプロライセンスを設けている理由は、賞金が支払われる大会開催を合法的に行えるようにするためです。

JeSUは

  • 公認大会規約
  • 公認プロライセンス規約
  • 公認タイトル規約

という3つの規約を設け、透明性のある大会が開催できるような仕組みを作っています。

JeSUのメリットは選手にもある

JeSUが設立されたことによって、プロゲーマー側にもメリットがもたらされました。

JeSUが設立されたことによるメリットはいくつかありますが、ここではその中から2つ、紹介します。

1つは、プロゲーマーという職業が成立するようになったこと。

JeSU設立以前は、「プロ」の基準があやふやだったこともあり、ゲーマーは職業として認められにくい状態でした。

しかし、プロのライセンスを競技団体として認めるようになったことにより、職業として名乗ることができるようになりました。

また、公認大会で賞金を安心して受け取れるようになったことで、金銭的にも仕事として成立するようになったといえるでしょう。

2つ目は、メディアやスポンサーがプロ選手を把握しやすくなったことです。

今までは「自称」プロのゲーマーが数多く存在していましたが、プロの基準ができてライセンスが設けられたことによって、支援側がプロを把握して支援することができるようになったのです。

しっかりとしたサポートを受けられる体制が整ったことで、ゲーマーとしての腕を磨ける環境が整いました。

このほか、いくつかのメリットをもたらしたJeSUの設立。

eSportsをとりまく環境改善に大きく貢献しているといえるでしょう。

JeSUは選手の国際大会への派遣を重要視

JeSUは、国内のプロ選手を一括管理していますが、その選手たちが参加できる選考会を実施して、多くの国際大会へ選手を派遣しています。

その結果、世界の大舞台で戦ったり、高額な賞金を獲得できる大会に出場できる機会が増えています。

国際大会に参加できるということで選手のモチベーションを高め、所属する選手全体の競技レベル向上を目指しているのです。

2018年のアジア競技大会に日本代表選手も出場

前述したように、JeSUは国際大会への選手派遣を重視していますが、2018年に開催されたアジア競技大会へも日本代表選手が出場しました。

アジア競技大会では、『Arena of Valor』、『League of Legends』、『StarCraft II: Legacy of the Void』、『Clash Royale』『Hearthstone』『ウイニングイレブン 2018』の6つのタイトルが競技として採用。

日本は、『Arena of Valor』以外の5つの競技で予選から出場し、『Hearthstone』で本戦出場、『ウイニングイレブン 2018』では優勝するという快挙を成し遂げました。

このアジア競技大会は、アジア・オリンピック評議会が4年に1度開催するアジア地域での国際総合競技大会であり、eSportsはデモンストレーション競技として史上初の開催でしたが、次回の2022年大会では、正式な競技として採用される見込みです。

eSportsにとって大きな意味を持つこの大会で日本人選手が優勝。

このことは、日本のeSports界にとっても大きな一歩といえるでしょう。

eSportsがオリンピック種目となる可能性は?

国際的に盛り上がりを見せるeSports。

世界最大のスポーツの祭典であるオリンピックで採用されるのではないかと期待する声もありますが、残念ながら現状では難しいようです。

その理由は

  • 著作権の問題
  • 普遍性が無い
  • 国際eSports連盟はオリンピック承認団体ではない

の3つ。

1つずつ、詳しく見ていきましょう。

著作権に問題がある

基本的に、スポーツには著作権がありません。

しかし、eSportsのゲームはゲーム製作企業が開発したものであり、著作権があります。

したがって利用したり放送したりする際に著作権料が発生するのです。

IOCの中には、オリンピックオリジナルのゲームを製作しようという動きがありますが、プレーする側や見ている側が面白いゲームが作れるかどうかということが課題として上げられています。

普遍性がない

一般的なスポーツでは、細かいルールの変更はあるにせよ普遍性があり、野球というスポーツがサッカーに変わることはなく、アーチェリーがレスリングに変わることはありません。

しかし、ゲームには流行があり、現在プレイされているタイトルが、4年後に選出されるかわからないのです。

このように、ゲームには普遍性がなく、新たなハード、ソフトが開発されるたびにどんどんと環境が変わってしまうということが問題として挙げられています。

国際eSports連盟はオリンピック承認団体ではない

国際eSports連盟は、オリンピック承認団体ではありません。

2024年に開催されるパリオリンピックでは、エキシビジョンの開催が予想されていますが、ドイツのオリンピック委員会が反対しているという情報もあるほど。

格式高い国際オリンピック委員会の中には、eSportsに対して否定的な意見も多数あるのです。

eSportsがオリンピック種目となるための条件

前述の通り、国際eSports連盟はIOCに加盟できていません。

さらに、IOCはスイスで開かれた五輪サミットで、eSportsの五輪実施協議採用は、時期尚早という見解を出しました。

その要因として、オンラインゲームのビジネス的側面を挙げています。

オリンピック憲章には、宣伝や広告を禁止することが明記されていますが、オンラインゲームには、ゲームの中で広告露出など商用的な要素が多々あります。

したがって、ゲームのビジネス的側面が、オリンピックのアマチュアリズムと相容れない部分があるわけです。

つまり、それを克服することが、オリンピック種目になる絶対条件といえるでしょう。

2020年、日本でeSportsの世界大会開催へ

世界的企業インテルが、2020年の東京オリンピックに合わせてeSports世界大会の日本開催を表明しています。

その名も『Intel Extreme Masters(IEM)』

種目となるゲームは、「ストリートファイターV」と「ロケットリーグ」です。

この世界大会は東京オリンピックの直前に行われる予定で、決勝は7/22~24。

賞金総額は50万ドルとされています。

この大会の大きな特徴は、全世界から誰でも参加できること。

国の代表を選出する予選には、プロ選手はもちろん、始めたばかりの初心者まで参加できるので、この記事を読んでいるあなたが、代表として参加しているかもしれません。

また、この大会を開催するインテルは、東京オリンピックにも技術パートナーとして参加。

ネットワークインフラの面で高い技術力を発揮してくれることでしょう。

インテルは、eSportsと本物のスポーツをつなぎ合わせる橋渡し的な役割を、担おうとしています。

まとめ

その競技性とエンターテインメント性で世界的に人気が高まっているeSports。

高額の賞金が得られる国際大会が開催されるなど、大会規模も徐々に大きくなっています。

eSportsを正式なスポーツとして認めている国も増える中、日本でもJeSUが設立されたり国際大会が開催されたりするなど、eSportsが広まっています。

今後、オリンピックの公式競技として採用される可能性もあるeSports。

これからもeSportsの発展から目が離せません。

(TOP 写真提供 = Przemek Tokar / Shutterstock.com)


《参考記事一覧》

e-Sportsの法規制における現状の課題と経過、そしてビジネス活用法とは?「eSPORTS TRINITY」講演レポ 2ページ目 | (Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト )

eスポーツって何なのかわかりやすく解説!オリンピック種目はいつから?|(Media Sunshine)

“全世界から誰でも参加可能”なEスポーツ大会「Intel World Open」が東京五輪で開催 ~ストリートファイターVとロケットリーグの2タイトルで賞金総額5千万円 - (PC Watch)

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