騎手とは?仕事内容と採用されるまでの流れを紹介!

騎手とは、競馬レースで競走馬に騎乗する人のこと、とは多くの人に知られていることですが、どのようにして収入を得ているのか、騎手になるにはどうしたらいいのか、ということについてはあまり知られていないのではないでしょうか。

本記事では、騎手の仕事内容や採用されるまでの流れなどについて解説していきます。

騎手とは

騎手とは、競争馬に騎乗して馬をコントロールする人のことであり、ジョッキー(jockey)とも呼ばれます。

厩舎所属とフリー騎手とに分けられますが、多くの騎手は、厩舎に所属しています。ただし、必ずしも厩舎に所属しなければならないということではなく、デビュー後して数年で所属していた厩舎を離れ、フリー騎手として独立する騎手も少なくありません。

厩舎に所属していない騎手はフリー騎手と呼ばれますが、厩舎に所属していなくても競馬会には所属しているため、一般的なフリーランスとは少し意味が異なります。

また、騎手の仕事内容は、競走馬に騎乗してさまざまな競馬レースに出場することですが、騎手が騎乗する競走馬を選ぶことはできず、常にレースに出場できるということもありません。

騎手がレースに出場できる条件は、出走が決定した競走馬の厩舎から依頼があった場合のみ。そのため、フリーの場合は騎手としての実力が認められなければ、レースに出場する機会がありません。

ちなみに、厩舎に所属する騎手の場合は厩舎の持ち馬に騎乗させてもらうことができますが、所属騎手を優先的に騎乗させることは以前より少なくなっているため、厩舎所属の騎手も実力がなければレースに出場できる機会が減少しているようです。

競馬と騎手について

日本の競馬には、下記の2種類の団体が存在します。

  • 中央競馬会(JRA)
  • 地方競馬全国協会(NAR)

そして、騎手の仕事は、中央競馬会(JRA)と地方競馬全国協会(NAR)のどちらに所属したかで変わります。

2つの団体の違いについてみていきましょう。

団体名特徴
中央競馬会(JRA)全国にある10ヵ所の中央競馬場でレースが開催されるレース
地方競馬全国協会(NAR)中央競馬場以外の都道府県や市町村運営の各競馬場でのレース

JRA所属の騎手は、全国にある10ヵ所の中央競馬場で開催されるレースで騎乗します。一方、NAR所属では、中央競馬場以外の都道府県や市町村運営の各競馬場でのレースで騎乗します。

基本的なルールや競走方法にはほとんど違いはありませんが、中央競馬場のレースは基本的に土日のみ(祝日の月曜に開催するケースもあり)であるのに対し、地方競馬場のレースは曜日問わず行われています。

騎手の年収

騎手の平均年収は、所属する形態によって異なります。

騎手の収入源は、レースで騎乗することによって支払われる騎乗手当とレースで優勝・入賞することで加算される獲得賞金の一部の進上金です。

また、厩舎に所属していれば、毎月給料が支払われます。

具体的な数値で示すと、中央競馬は騎乗手当が1レース当たり約4~8万円ですが、優勝・入賞賞金の高いレースも多いため、平均年収は約1,000万円といわれています。実力のある騎手は年収が2,000万円を超えることもあるようです。

ビッグレースで優勝するような有名騎手は、イベントやテレビ番組に呼ばれたりCMに出演したりすることによって、年収が億に達することもあります。

一方、地方競馬でのレース出場手当ては、数千円が相場で、調教手当ても僅かです。そのため、地方競馬の騎手の年収はトップクラスでも約500~600万円ともいわれており、年収が200万円以下という騎手も少なくありません。

騎手になるには

写真提供 = Jarett Lopez / Unsplash.com

騎手になるための方法には

  1. 騎手養成機関に入る
  2. 騎手養成機関で学ぶ
  3. 騎手免許試験に合格する

の3ステップ。

ただし、外国での騎手見習い経験か国内厩舎での勤務経験があれば、騎手養成機関に入らなくても騎手免許試験を受けることができます。

ここでは、それぞれのステップごとに詳しくみていきましょう。

騎手養成機関に入る

騎手養成機関とは、競馬についての専門的な教育を行う教育訓練施設(競馬学校)のこと。

日本には、JRAの騎手養成機関である日本中央競馬会競馬学校とNARの騎手養成機関の地方競馬教養センターとがあります。

日本中央競馬会競馬学校は、「学校」という名称がついていますが、あくまでもJRAに付属する教育訓練施設であり、学校教育法に規定される専修学校や各種学校ではありません。

騎手養成機関で学ぶ

日本中央競馬会競馬学校の騎手課程は3年制。

騎手としての基礎体力訓練や騎乗技術、厩舎での厩務訓練などがカリキュラムとなっています。

競馬教養センターの騎手課程は2年制。

騎手としての基礎体力作りから調教技術の向上、厩舎作業体験、競馬場やトレーニングセンターでの研修などがカリキュラムとなっており、2年目には主に地方競馬の厩舎に所属して調教師から指導を受けることになります。

日本中央競馬会競馬学校、競馬教養センターのどちらも全寮制となっています。

騎手免許試験に合格する

騎手免許には、JRAとNARの2種類の騎手免許があります。

JRAの騎手免許試験は、養成機関卒業前(2月上旬)に2日間にわたって行なわれ、試験内容は以下の5項目。

  • 学力の筆記試験
  • 学力の口答試験
  • 騎乗技術試験
  • 身体検査
  • 人物考査

騎手の募集定員は毎年15名以内と限られているため、JRAの騎手免許試験の合格率は30人に1人といわれています。

一方、NARが交付する騎手免許の試験は、1次試験と2次試験があり、1次では

  • 身体(提出された身体検査書による審査)
  • 学力(筆記試験)
  • 人物(調査資料に基づく審査)
  • 技術(筆記試験)

が、そして、2次試験では、面接試験や実技試験が行われます。

一般から受験することも可能ですが、センターからの受験であれば実技試験が免除されます。

試験実施時期の詳細は公表されていません。

実力を示す指標「騎手リーディング」

馬主は、できる限り実力のある騎手に騎乗してもらいたいと思うものですが、その騎手の実力を知る指標となるものに騎手リーディングがあります。

騎手リーディングとは、地域、競馬場、主催団体ごとの騎手の勝利数ランキングのこと。

ランキング上位に入った騎手はリーディングジョッキーと呼ばれ、レースで勝てる騎手として評価されるため騎乗する機会も増えます。

中央競馬では、JRAが主宰するレースの勝利数でランキングがつけられており、全体のリーディングの他に美浦(関東)と栗東(関西)のそれぞれでリーディングを発表しています。一方、地方競馬では、地方競馬全体の騎手リーディングの他に、開催主催者や競馬場単位でのリーディングがあります。

まとめ

騎手の仕事は、中央競馬と地方競馬で仕事内容が大きく変わるということはありません。

しかし、中央競馬と地方競馬のどちらに所属するかで年収やレース出場機会などの処遇が異なります。

騎手を目指したい、と思っている方は、本記事で紹介した内容を参考に進路を決められるといいでしょう。

(TOP写真提供 = Jeff Griffith / Unsplash.com)


《参考記事一覧》

中央競馬の騎手・ジョッキー(中央競馬)の年収(年収ガイド)

競馬と騎手とは(JRA)

騎手の仕事(キャリアガーデン)

騎手の収入の仕組み(キャリアガーデン)

騎手の仕事内容(キャリアガーデン)

地方競馬 騎手 給料