カバディというスポーツをご存知でしょうか。
日本ではあまり馴染みがないスポーツかもしれませんが、インドを中心とした南アジア諸国では、国技としてかなりの人気を誇っています。
カバディは究極の鬼ごっこと言われており、狭い場所でもできるという手軽さだけでなく、激しさや駆け引きが魅力のスポーツです。また、「カバディ、カバディ」と連呼しながら攻撃するのが特徴です。
そのため、する側だけでなく、見る側としても十分に楽しむことができます。
今回の記事では、カバディとは何なのかについて解説した後に、実際のカバディ選手や大会について解説していきます。
カバディとは
起源
カバディは熱帯の諸国で盛んに行われているスポーツで、競技によって得られる興奮とスリルが人気の大衆スポーツです。
そんなカバディのルーツは、有史以前の時代に遡るとされており、競技としてはさまざまな形式で、インドの至る所で行われていました。
カバディの競技形式はインドの地区によってさまざまであるとされていますが、その中でも競技形式として重要なのはアマル、ジェミニ、サンジェバニとされています。
その後、さまざまな変遷を経て現在のカバディの形になりました。
とくに、マハラストラ州では1918年にカバディ推進の条例が導入され、カバディの大衆化につながりました。
そして、カバディ推進の条例からカバディの立場が固まり、国家的なレベルにまで発展しました。
1950年には全インドアマチュアカバディ連盟が設立され、1952年からは男子の全インド大会が始まり、女子も1955年から開催されるようになりました。
カバディという競技名は、インド内の多くの地域で使われていたためとされています。
また、各地で使われていた「カバディ」を指すさまざまな名称は、地域の祭りや昔使われていた伝統に関係した意味を持っています。
ルール
カバディは7人対7人で行われる得点を競うチームスポーツです。
コートの大きさは、男子が縦12.5m x 横10m、女子が縦11.5m x 横8mです。
まず、攻撃側の動きについて解説します。
レイダーと呼ばれる攻撃手1人が相手コートに触れる前に「カバディカバディカバディ…」と言いながら攻め込みます。
この「カバディカバディカバディ…」と連呼することをカバディでは「キャント」と言います。
そしてレイダーはフットワークを駆使しながら、手や足を使って守備側の選手であるアンティにタッチします。
アンティにタッチ後、自陣に戻って来ればタッチした人数が得点となります。
レイダーは攻め込む時から自陣に戻ってくるまで、審判に聞こえる大きさでリズムカルにキャントを一呼吸でしなければなりません。
苦しいからと言って途中で呼吸をしてしまうと反則となり、アウトを宣告されます。
また、レイダーは一度ボークラインを踏み越えなければならず、もし踏み越えずに自陣に戻ってきてしまうと、消極的な攻撃としてアウトが宣告されます。
アウトになった際には、相手チームに1点が与えられるので注意が必要です。
アウトになった選手は、味方が得点をするとアウトになった順にコートに戻ることができます。
次に守備側の動きです。
守備側のプレイヤーをアンティと呼びます。
アンティは、レイダーの攻撃を逃れるだけでなく、レイダーを相手コートに帰さないために、個人またはチームプレーを駆使してレイダーを捕獲します。
カバディはレイダーが得点を挙げるために攻防を繰り広げ、アンティもレイダーを捕まえるために、戦術を駆使しながら接触プレーが起こります。
カバディの魅力はこの戦術面と、身体接触から生まれる激しいプレーにあります。
試合は、交互に攻守を交代し、レイダーを送り込みます。
7人の選手が全員アウトになってしまうと、相手チームに2点が与えられるローナとなります。
ローナになると両チーム全員がコートに入って、また攻撃の順番に従って試合が再開されます。
試合時間は男子が20分で、インターバルの5分を挟み前半後半が行われます。
女子は、15分の前半後半で試合が行われます。
競技人口
日本のカバディ人口は5,000人程です。
確かに競技人口は決して多くはありません。
しかし、日本は世界ではカバディの強豪国に分類されます。
2010年のアジア大会では3位を獲得し、2007年のワールドカップでもインドのパンヴェルで3位を獲得しています。
世界では、今日人口が約1000万人で、実は野球の競技人口よりも多いのです。
インドを中心として、パキスタン、イラン、バングラデシュでも盛んにプレーされています。
インドだけで競技人口は数百万人とも言われており、全体の数割をインドが占めています。
そのため、競技人口は多くても実情はインドを中心とした周辺諸国が大多数を占めているのです。
オリンピックにおけるカバディ
まず現時点(2022年3月)で、カバディはオリンピックに採用されていません。
アジア大会開催やワールドカップもあることから、競技人口のオリンピック採用基準は満たしています。
理由として挙がるのは、カバディの競技人口のほとんどが、インドを筆頭にアジア圏に集中してしまっていることです。
オリンピック採用基準のひとつとして、
「夏季オリンピックの競技は、男子では4大陸75カ国以上、女子では3大陸40カ国以上で広く行われている競技のみ。」、
「冬季オリンピックの競技は、3大陸25カ国以上で広く行われている競技のみ。」
とあります。
しかし、近年各国の若者を中心にカバディの人気は増加傾向にあることから、オリンピック正式採用も十分に考えられるでしょう。
カバディに必要なのもの
結論として、カバディをプレーする上で必要なものは一切ありません。
敵味方チームそれぞれ7人がそろえばいつでもどこでも始めることができます。
ここでは主に公式試合などで使用される道具をまとめております。
ユニフォーム
公式試合などでは、ユニフォームの着用が義務付けられています。
ユニフォームは半袖短パンであることと、シャツ前後に大きくナンバーが記されているものであれば特別な規定はされていません。
シューズ
シューズについてですが、カバディは裸足でもよくプレーされることからも使用は自由です。
規定はありませんが、金属や突起物のないものが条件です。
ちなみに昨今では、日本でもカバディ専用シューズを販売するメーカーが立ち上がっています。
サポーター
肘やヒザにサポーターを使用する選手が多いです。
カバディは激しく接触することが多いため、自身だけでなく相手も含め外傷から守る目的を重視して使用されるようです。
カバディ選手になるには
カバディ部がある中学、高校
日本で唯一、カバディ部が中学・高校であるのは埼玉県の自由の森学園高校です。
2011年に、生徒がテレビで競技を知ったことがきっかけで、発足されました。
2019年には、全日本カバディ選手権(社会人含む)で、3位になった実績もあります。
現在では、中学高校を含めて部員が30人程になりました。
カバディ部がある大学
日本の大学で、カバディが部活として認められているものは少数です。
多くはサークルとして活動しています。
その中でも、日本カバディ協会に登録されているチームを紹介します。
まず、部活としては立正大学、北里大学です。
立正大学はかなり強豪で、日本代表選手を輩出したり、全国大会で好成績を収めたりしています。
サークルでは、早稲田大学、立教大学、青山学院大学など東京の大学はもちろん、広島大学、鹿児島大学など地方の大学にもサークルが存在します。
また、二松学舎大学が大学カバディ発祥であるとされています。
年収
インドのトップ選手は、年収3000万円を超えると言われています。
そのためインドでプレーする外国人選手が増えています。
インドでは、選手がどのチームに所属するかは、オークションによって決まります。
オークションによって、その選手が1シーズンあたりにもらえる金額が決まるのです。
インド以外の国から来た選手でも、イランや韓国の選手はスター選手となり、数千万円を稼いでいるのが現状です。
資質、選手の選考
カバディ選手にはその激しさから体の強さが求められます。
しかし、実は体の強さ以上に、しっかりと頭で考える能力が求められるのです。
というもの、カバディは非常に戦略性が重要なスポーツです。
そのため、プレイヤーは自分の役割を認識した上でチームにとって的確な行動を取らなければいけません。
まずは、カバディの構成要素が何なのか把握した上で、自分の役割を考える能力が必要であると言えます。
大会情報
ここでは、カバディの主要な大会を紹介します。
現在は、新型コロナウイルスの影響でほとんどの大会が、白紙の状態です。
まず、国内の大会から見てみましょう。
国内大会
- 全日本カバディ選手権大会
- 東日本カバディ選手権大会
- 西日本カバディ選手権大会
- JOCジュニアオリンピック大会
- 全国学生カバディ選手権大会
世界大会
- アジア競技大会(4年に1度)
- アジアカバディ選手権大会
- ワールドカップ
日本代表
学生はもちろん社会人になってからカバディを始める人が多いので、他のスポーツの競技者に比べて、カバディを始める時期は遅いです。
以前は特定の大学から選手に選ばれることが多かったですが、現在では、社会人になってからでも日本代表になるチャンスがあります。
しかし、日本代表に選出されるには、カバディ協会の会員となり、カバディチームに所属する必要があります。
まとめ
カバディについてさまざまな視点から解説しました。
日本ではまだまだマイナーなスポーツですが、漫画化されたこともあり、注目度が高まってきているスポーツです。
「カバディ」と連呼されることばかりに目が行きがちですが、戦術面や格闘技にも似た激しさが魅力のスポーツです。
「する」だけでなく「見る」ことによっても楽しめるスポーツですので、是非一度覗いてみてください。
(TOP写真提供 = Pal2iyawit / Shutterstock.com)
《参考記事一覧》
マイナースポーツ「カバディ」の日本と世界の競技人口は?(Little story)
中学生&高校生のみのチームが全日本3位!マイナースポーツ「カバディ」に新時代(YAHOO!JAPAN ニュース)
全国カバディチーム Twitterアカウント紹介(日本カバディ協会)
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