サッカーは世界的に高い人気を誇っており、世界中の様々な層にリーチできることから、マーケティングにおいて注目されています。中でも、ヴィッセル神戸は近年大型の補強オペレーションを複数成功させており、世界的なプレイヤーであるアンドレス・イニエスタ選手なども獲得しています。楽天はヴィッセル神戸にどのような目的で投資をしているのでしょうか。
ヴィッセル神戸の売上はJリーグ内で2位
ヴィッセル神戸の売上を支えるのはスポンサー広告
ヴィッセル神戸の親会社である楽天は、近年積極的に投資を行っており、スポンサー料を大幅に増加させています。なぜ楽天は積極的にヴィッセル神戸に投資しているのでしょうか。
Jリーグのトップカテゴリーに所属しているヴィッセル神戸は、Jリーグクラブの売上げランキングで2位を記録しています。ヴィッセル神戸の売上の比率をみてみると、スポンサーからの収入が多いことがわかります。ヴィッセル神戸の2017年度のクラブ決算では、売上の64%がスポンサーからの収入となっています。対して、Jリーグクラブの売上ランキングの1位である浦和レッズは、スポンサーからの収入の比率が40%であり、3位の鹿島アントラーズが36%です。2017年のクラブ決算では、J1リーグに所属したクラブのスポンサーからの収入の比率の平均は44%なので、ヴィッセル神戸は他のクラブと比べてスポンサーからの収入が多いと言えるでしょう。Jリーグに所属しているクラブの収入源は、入場料収入とスポンサー収入の2つが柱となっており、その他にJリーグからの分配金や物販収入などがあります。ヴィッセル神戸は2017年の平均観客動員数が18,272人で、入場料収入が5億円となっており、J1リーグ平均の8億円よりやや低いです。また、分配金や物販収入も平均より低いので、この状態だとチームを強化することはできません。楽天は近年スポーツを使ってマーケティングを多角的に実施しており、ヴィッセル神戸も重要なピースとして活用しようとしています。そのため、世界的なサッカー選手を数多く加入させており、結果としてスポンサー料が大幅に増加しているのです。2014年のヴィッセル神戸の決算をみてみると、スポンサー収入は9億4千万円となっており、Jリーグ平均の15億9千万円と比較しても少ない状況でした。それが2017年度には33億円にまで増加しており、楽天がスポーツビジネスに対して高い意識を持ってヴィッセル神戸に投資をしていることがわかります。
ヴィッセル神戸のスポンサー一覧(2019年)
それぞれのスポンサー企業名と企業概要、広告掲載ヶ所
ヴィッセル神戸のスポンサーは楽天関連のスポンサーが多いが、本社が兵庫県の企業も数多くスポンサーになっています。
オフィシャルトップパートナー
・株式会社アシックス
大手総合スポーツ用品メーカーで本社所在地は兵庫県神戸市
・株式会社シュゼット・ホールディングス
洋菓子ブランドでアンリ・シャルパンティエを展開。本社所在地は兵庫県西宮市
広告掲載箇所はユニフォームの背中上部分
・川崎重工業株式会社
総合エンジニアリングメーカーで本社所在地は兵庫県神戸市
広告掲載箇所はユニフォームの背中下部分
・ケンミン食品株式会社
食品メーカーで本社所在地は兵庫県神戸市
広告掲載箇所はユニフォームのパンツ部分
・株式会社ノエビア
化粧品メーカーで本社所在地は兵庫県神戸市
広告掲載箇所はユニフォームの袖部分
・楽天株式会社
インターネットサービスを展開するIT企業で本社所在地は東京都世田谷区
広告掲載箇所はユニフォームの胸中央部分
・楽天カード株式会社
楽天グループのクレジットカード会社で本社所在地は東京都世田谷区
・楽天DREAM事業
楽天株式会社が運営するスポーツ振興くじの販売サービス
広告掲載箇所はユニフォームの鎖骨右部分
・楽天メディカルジャパン株式会社
バイオテクノロジー企業で本社所在地は東京都目黒区
広告掲載箇所はユニフォームの鎖骨左部分
メインスポンサー楽天とヴィッセル神戸の関係楽天が100%オーナー
楽天が100%オーナー
ヴィッセル神戸は1993年に発足した「神戸にプロサッカーチームをつくる市民の会」が、岡山県倉敷市で活動していた川崎製鉄のサッカー部を神戸に誘致して誕生しました。当初の運営会社の筆頭株主はダイエーでしたが1995年に撤退し、メインスポンサーが存在しない状態で活動を続けることになったのです。その後、赤字が膨らみついには2003年に民事再生法の適用を申請する自体にまで発展します。そして、チームが危機的な状況に陥っていた2004年1月に、チームの営業権を譲り受けたのが楽天でした。楽天は2014年にヴィッセル神戸のすべての株式を取得して完全子会社として、積極的な投資を始めるようになったのです。
なぜ楽天がスポーツのスポンサーになるのか
マーケティングの一環として活用している
楽天は積極的に海外展開をしており近年では年間65億ものスポンサー料で、スペインの世界的なサッカーチームFCバルセロナと、メイングローバルパートナー契約を結びました。また、プロバスケットボールリーグNBAに所属している、強豪チームゴールデンステート・ウォリアーズともスポンサー契約を結んでいます。国内においてもヴィッセル神戸以外に、楽天ゴールデンイーグルスなども運営しており、スポーツに多角的に関わる企業として楽天は知られています。なぜ楽天は国内外において、スポーツに積極的に投資を行っているのでしょうか。その理由は基本的にマーケティングを目的にしているとされています。国内で人気の野球やサッカーは、テレビや新聞などでたくさん報道されることから、広告宣伝効果がとても高いです。また、世界的なスポーツチームは、活動している地域以外にも数多くのファンが存在しており、知名度が高いことからテレビコマーシャルやインターネットでの広告と比較して宣伝広告効果が大きいです。そのため、楽天は広告宣伝費の一部をスポーツへと投資して、マーケティングに活用しています。例えば、楽天市場ではヴィッセル神戸やゴールデンイーグルスが勝った翌日には、ポイントが2倍になるサービスを展開中です。その他にも、楽天カードのデザインに、スポンサーになっているスポーツチームのデザインを選べるようになっています。楽天は国内外の多様なスポーツに関わることで、シナジー効果を生み出してマーケティング的に高い効果を得ようとしているのです。
マーケティングとしての高い効果を期待している
ヴィッセル神戸のスポンサーの楽天は、世界戦略の一環としてスポーツに注目しており、世界的な名選手を獲得したり、スポンサーになったりしています。宣伝広告費として考えれば多額のスポンサー費用も十分回収可能で、今後の海外展開の際にも様々な形で活用できます。中でも、ヴィッセル神戸は積極的な投資が続いているチームで、高額年俸の選手を国内外で獲得しています。
参考URL
バルサのスポンサーになぜ楽天が?三木谷浩史会長に独占直撃。(NumberWEB)