日本と世界では、スポーツビジネスの規模にかなりの差があります。
成長規模もそうですが、市場構成・考え方も異なっています。
そんななか、政府はスポーツビジネスを25兆円規模の市場に成長させようとしています。
そして、その目標のために、海外の成功例や考えを学び実践したり、人材を確保することが急務となっています。
この記事では、日本と世界のスポーツビジネスの市場規模を紹介するだけでなく、現状の課題を解説するとともに、解決に役立つ海外の成功例も記載しています。
スポーツビジネスの市場規模はどれくらい?
日本と世界のスポーツビジネスの市場規模を比べると、大きな差があるといえます。
まずは、世界と日本のスポーツビジネスの市場規模について見ていきましょう。
世界
世界のスポーツビジネスの市場規模は、スムーズな成長を続けています。
具体的な数値では、2009年から2013年の4年間で、スポーツイベントの収入が584億ドルから761億ドルに増加。
さらに、2019年時点では約4580億ドル(約50兆円)、2030年時点には8260億ドル(約90兆円)まで成長することが見込まれています。
日本
世界市場が順調に成長する一方、日本のスポーツ産業は、2002年から2012年の10年間で緩やかなマイナス成長になっています。
しかし、世界のスポーツ市場規模が成長していること、そして、日本でラグビーのワールドカップや東京オリンピックなどのビッグイベントが開催が続くなど、市場規模の拡大が期待されています。
地域別にみるスポーツ市場を占めるカテゴリは?
スポーツ市場を占めるカテゴリを地域別にまとめると、それぞれの地域でどんなスポーツが人気かということがわかります。
そして、地域別にまとめた結果を見てみると、地域による差があるものの、サッカーはどの地域でも人気を得ているのがわかります。
アメリカ・ヨーロッパ・アジアの地域別に、市場を占めているのはどのカテゴリなのか見ていきましょう。
アメリカ
アメリカのスポーツ産業の市場規模は約5000億ドルとも言われ、世界最大のスポーツ産業国となっています。
アメリカのスポーツビジネスの市場規模が大きい要因は、 メジャーリーグベースボールやナショナルバスケットボールアソシエーション、ナショナルホッケーリーグやナショナルフットボールリーグなどのプロリーグがあること。
また、アメリカの大学スポーツも大きな市場規模を作っていて、4大プロスポーツよりも人気があるといっても過言ではありません。
ヨーロッパ
ヨーロッパでは、サッカーが特に大きなビジネスとなっています。
そして、人気コンテンツのサッカーは世界的に展開。
2013年で353億ドルの市場規模を誇り、スポーツの中でも最大の規模に達しています。
アジア
アジアの14都市中、10の都市で人気ランキング1位となるほど、アジアでも、サッカーは大人気のスポーツです。
サッカー以外では、水泳、バドミントン、バスケットボール、テニスが人気です。
また、インドではクリケットが、中国では卓球が、台北やソウルなどでは野球の人気があるなど、都市によって好きなスポーツが異なります。
日本ではスポーツビジネスの市場規模の拡大がすすむ
日本では、2025年までにスポーツビジネスの市場規模を3倍に拡大しようとしています。
現在の実情と、アメリカに比べてどうなのか、詳しく見てみましょう。
2025年までに市場規模を3倍に拡大
日本では、スポーツビジネスの市場規模を2025年までに15兆にしようという目標が発表されました。
この15兆円とは、アメリカの市場規模の約3分の1の数値です。
日本は、人口・GDP比でアメリカの約3分の1ということなので、スポーツビジネスの市場規模もアメリカの約3分の1の15兆円にしようという数字を算出したようです。
現在の実情
日本政策投資銀行の資料を見ると、日本におけるスポーツ市場は2012年時点で約11兆4000億円。
このうち、ギャンブルを除くと約7兆円となります。
それらの内訳は、
・スポーツ施設運営 約2兆円
・スポーツ小売り関連 約1.7兆円
・教育スポーツ 約1.5兆円
・放送・新聞 約0.4兆円
・スポーツ興業 約0.3兆
となっています。
約3倍という成長目標に対し、これらの数値をどう底上げがしていくのかが課題です。
アメリカの規模
アメリカの3分の1を目指すという目標を設定しましたが、アメリカではどのような割合で動いているのでしょうか。
アメリカのスポーツビジネスは、フィットネスやゴルフ場といったスポーツ施設が約6兆円、小売りが約4兆5000億円、スポーツ観戦が約3兆7000億円という規模になっています。
これらを合わせると約15兆円。
つまり、残りは選手の給与やテレビ放映権、広告収入であることが予測されます。
アメリカのスポーツビジネス市場を参考に成長目標を設定している日本ですが、アメリカの縮図を目指す、というわけではありません。
日本とアメリカとではビジネスモデルも異なるため、それぞれの3分の1の規模を目指すのではなく、日本ならではの強みや特徴を活かして成長させていくことが現実的でしょう。
スポーツビジネスの市場拡大のために必要なこととは?
日本政府が掲げる15兆円規模のスポーツ市場。
そのためには、人材の育成やボールパーク化、オリンピックの成功などがポイントになります。
人材の育成
人材育成の観点では、スポーツビジネス関連の教育プログラムや講座が設立されている大学が増えてきています。
しかし、まだまだ質も量も足りていません。
さらに、学習をしてきた人材の雇用先がまだまだ少ないのが現状です。
新たなプロリーグの誕生や、各団体の経営改革によって、少しずつ雇用も増えてきていますが、即戦力として働ける人材が求められていることもあって新卒の就職はまだまだ難しいといえるでしょう。
中途採用に目を向けると、未経験でも熱量を持って自ら動ける人や、スポーツが好きな人材を採用する企業がありますが、中途採用でも即戦力として働ける人が求められているようです。
具体的なスキルだと、高いITリテラシーや動画編集能力、WEBマーケティングの知識などが求められています。
スタジアムやアリーナのボールパーク化
プロ野球界では、スタジアムやアリーナのボールパーク化が進められています。
その例として、日本ハムファイターズ本拠地の北海道・北広島市移転が話題になりました。
球団と地域の関係が見直され、ボールパーク化構想も議論されました。
さらに、千葉ロッテマリーンズの本拠地ZOZOマリンスタジアムでは、球場近くの幕張海浜公園にJFAナショナルフットボールセンターが建設されることが決定。
様々なスポーツを軸に、複合的に盛り上げる施設として、大きく取り上げられています。
これからのトレンドとして、球場だけで展開するビジネスよりも、多くの企業や人を巻き込んだビジネスにシフトしていくことが挙げられます。
オリンピックなどの国際大会の成功がカギ
2020年の東京オリンピックも、日本のスポーツ産業を盛り上げる大きな要因になります。
2020年を機に、日本のスポーツ産業は巨大産業へ成長するかもしれません。
また、オリンピックだけでなく、2019年のラグビーワールドカップ、2021年の関西ワールドマスターズカップなど大型スポーツイベントの開催を控えているなど、スポーツビジネスに国民の注目が集まることが予想されます。
その中で、スポーツ産業への投資が今まで以上に進むでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
2025年までにスポーツ市場を15兆円規模にするという目標を掲げた日本。
その目標達成のためには、さまざまな改革と人材確保が必要です。
参考記事一覧
15兆円を目指すスポーツ市場、何を増やすのか?(ITメディアビジネス)
日本でも15兆円規模のスポーツビジネスの可能性 – 人と地域、文化をつなぐ施設をもっと広げよう(ブルーオーシャンを探して)
スポーツ産業の市場規模】世界と日本の現状の課題と将来性とは?(JobQ)
アジア14都市の人気スポーツ(博報堂のグローバル生活者調査レポートGlobal HABIT)
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