水泳には様々な泳ぎ方があります。なかでも、背泳ぎは競技以外ではほとんどやる機会がありません。また、仰向けで泳ぐため、なかなか上手に泳げないという方も少なくありません。
本記事では、そんな背泳ぎの泳ぎ方だけでなく、上達するためのコツも解説します。また、競技時に起こり得る失格例なども紹介しますので、ぜひ、最後までご覧ください。
背泳ぎの泳ぎ方
背泳ぎを上手く泳ぐためのポイントは、主に下記の4つ。
- 姿勢
- 腕の動かし方
- 足の使い方
- 息継ぎの仕方
それでは、詳しく解説していきます。
基本的な姿勢の取り方
背泳ぎでは、特に姿勢が重要です。基本の姿勢を取れていなければ、体が水中に沈んでしまいます。たとえ、腕・足の動きがフォームどおりにできていても、真っすぐには進めなくなるのです。
背泳ぎで気をつけなければいけないのは、下記の4つ。
- 水の上で仰向けになる
- 腕を頭の下で組む
- 両足の親指同士をくっつける
- 顎は少し引く
背泳ぎの基本姿勢を取る際は、水の抵抗を抑えるために、胴体の横幅をできる限り狭めます。
腕の動かし方
基本的にはクロールと同じ腕の動かし方ですが、仰向けになって泳ぐため、腕を回す方向は逆です。
背泳ぎにおける腕の動かし方のポイントは、下記のとおり。
- 肘を曲げずに、腕を頭の下に持っていく
- 肘から先を曲げ、手のひらを足先の方向に向ける
- 肘を曲げたままの状態で脇を締める
- 手のひらで水を後ろにかく
- 肘を伸ばして、腕全体で水を後ろ方向に押す
- 左右の腕で、上記の流れを交互に繰り返す
腕を上手く動かせない方は、腕だけを回していることが考えられますので、身体をひねりながら腕を回すと、よりスムーズに動かせられます。
足の使い方
クロールと同様、泳いでいる間はバタ足を続けます。
バタ足のポイントは、下記のとおりです。
- 膝を伸ばしたまま、足全体を水面に伸ばす
- 膝を軽く下に曲げる
- 足を元の位置に戻すイメージで、膝から下を伸ばす
1つ目の動作を「ダウンキック」。そして、2つ目と3つ目の足を元の位置に戻すイメージで、膝から下を伸ばす動作を「アップキック」と呼びます。
ダウンキックは強め、アップキックは軽めを意識して、左右の足を交互に動かしましょう。
息継ぎの仕方
常に顔が水面から出ているため、いつでも息継ぎをすることは可能です。しかし、速く泳ぎたいなら、タイミングよく息継ぎをする必要があります。
息継ぎのポイントは、下記のとおり。
- 腕を水面から出し、一番高いところにきた時に息を吐く
- 回した腕を入水させた瞬間に息を吸う
息を吸って肺に空気が溜まると水からカラダが浮き、息を吐いて肺に空気が無くなるとカラダは水に沈みます。この原理をうまく利用することで、より速く、効率的に泳げるようになります。
背泳ぎのコツ
どうしても上手く泳げないという方は、下記の動きをマスターし、コツを掴みましょう。
- 手(プル):手の平で水をかくこと
- スクロール:腕を回すこと
- キック:バタ足をして前進すること
- ターン:折り返すこと
背泳ぎの基本は、仰向けで水中に浮くこと。基本的な姿勢が取れず、すぐに体が沈む方は、水面に対し体を水平にし、おへそが水にギリギリ浸からない位置でキープする練習をしましょう。
コツは、頭から足先まで一直線になるよう、意識すること。また、体に力が入り過ぎていても沈んでしまうため、リラックスして力を抜くことも重要です。なかには、仰向けの状態で水に浮かぶのが怖く、体に力が入ってしまう方もいるかもしれません。まずは、力を入れずに仰向けで浮くことに慣れるため、ビート板を使いましょう。
足の動き
背泳ぎでは、足の動きが安定していないと、あまり前に進みません。
仰向けの状態で足を動かすため、足で水を蹴るというより、足で水を叩きつけるイメージで泳ぎます。大きく足を動かし過ぎても姿勢が崩れるため、下記のことに注意しましょう。
- 足首のチカラを抜いて太腿から
- 水面から、足先や膝が出ないように
- 足を動かす幅は約30cm
スクロール
スクロールに関しては、プルの際にできるだけ遠くの水をかくのがコツ。そして、水をかく時は手の平を水と直角にし、一定のリズムでスクロールしましょう。
どうしても一定のリズムで腕を動かせない方は、まずは片腕だけで練習してみてください。また、回している手が真上にきた際に体が沈む方は、キックの力が弱いのが主な原因です。キックを止めずに、腕を回し続ける練習をしましょう。
ターン
背泳ぎは前方が見えない状態で泳ぐため、ターンが苦手だと感じる方も多いでしょう。ターンのコツは、目印を置くこと。プールの壁から5メートル地点の天井にフラッグ等が貼ってあれば、それを目印にして、距離感覚を掴む練習をしましょう。
フラッグがない場合は、天井に引かれている線などや水面に張られているコースロープなども目印として活用できます。練習する際は、目印から何回のストロークで壁に到達するかを覚えましょう。
背泳ぎが速くなるためにはどうしたらいい?
背泳ぎが速くなるために重要なのは、下記のことです。
- 体の柔軟性
- 体のバランス
- バサロキック
- 全身の筋肉
それでは、詳しく見ていきましょう。
体の柔軟性
背泳ぎが速くなるためには、体の「柔軟性」が大事になってきます。特に必要なのが、「肩」周りと「足首」の柔軟性です。
肩が固いと、スクロールがキレイにできず、うまく水をつかめません。スクロールをするときには、肩を柔らかく動かし、遠くの水をつかむようにするのが速く泳ぐコツです。
足首が固いと、バタ足がスムーズにできません。結果、十分な推進力が生まれず、失速
してしまいます。
背泳ぎが速くなりたいなら、日頃から十分な「ストレッチ」を心がけ、体を柔らかくするようにしてください。
体のバランス
背泳ぎでは、左右の手で交互にスクロールします。この時、片方の手だけ力が強かったり、左右のフォームに違いがあったりすると、ロスが生まれてしまいます。そのため、しっかりとバランスを取り、「左右対称」のフォームで泳がなければいけません。
背泳ぎをする時に、「おでこ」の上にペットボトルを置いて練習すると、バランスチェックができます。うまくバランスが取れていれば、ペットボトルをおでこから落とさずに背泳ぎができます。
バサロキック
背泳ぎはスタート方法が独特なため、スタートのテクニックを磨かなくてはいけません。しかしスタート練習だけでは不十分で、スタートの際の勢いを殺さないように「バサロキック」で進む必要があります。
バサロキックをおこなう時は、姿勢を良くしなければいけません。鼻に水が入るのを嫌がって、顎を引いた姿勢でバサロキックをおこなってしまう人がいますが、これではスピードが出ません。しっかりと胸を張り、良い姿勢でバサロキックをおこなってください。
また、バサロキックは体をしならせておこなうというイメージを持たれがちです。しかし大きく体をしならせすぎて、体の振り幅が大きくなってしまうと、水の抵抗が増え、逆に遅くなってしまいます。胸を張り、上半身を固定するようにするとバサロキックが速くなります。
全身の筋肉
さまざまなテクニックを身に着けても、根本となる「筋力」が弱いと速く泳ぐことはできません。背泳ぎが速くなるためには、「筋トレ」が必須です。
背泳ぎでは、腕のストロークで推進力を得ます。そのため、腕の筋肉を鍛える必要があります。「上腕二頭筋」「上腕三頭筋」「前腕屈筋群」を鍛えると効果が期待できます。また、広背筋もストロークに影響します。
腕のストロークと共に大事なのが、足によるキックです。キックによる推進力を向上させるためには、「大腿四頭筋」「ハムストリング筋」「腓腹筋」を鍛えるのが有効です。
よくある失格例
背泳ぎの競技では、スタート時や泳いでいる時、ターン時、ゴール時などで失格になるケースがみられます。ここでは、下記の項目による失格例を紹介します。
- スタート時
- 泳いでいるとき
- ターン時
- ゴール時
それでは、詳しくみていきましょう。
スタート時の失格例
背泳ぎでは、スタート時に、下記のポイントで失格になります。
- 両手でスターティンググリップを持っていなかった
- 排水溝・排水溝の縁・タッチ板の縁に足をかけてスタートした
審判長の笛の合図でコースに入水後、専用のグリップに手をかけ、スタートの合図がかかるのを待ちますが、スタート時にはグリップを両手で持っておかなければなりません。
また、以前はスタート時に足の指先が水面から出ていたら失格でしたが、2006年の改正からは指先が水面から出てもよいことになりました。
ただし、排水溝・排水溝の縁・タッチ板の縁より上に足の指が出ていた場合は、失格となるので注意しましょう。
泳いでいる最中の失格例
泳いでいるときに、下記の状態になると失格になってしまいます。
- 泳いでいるときにうつ伏せの姿勢になった
- スタートおよび折り返しから15メートル以内に、頭の一部が水面上に出なかった
- スタートおよび折り返しからの15メートル以外で、カラダが完全に水没していた
背泳ぎは、ターン以外にうつ伏せの状態になると即失格となります。
ちなみに、仰向けの姿勢とは、頭部を除き、水面に対して肩の回転角度が90度未満の状態と定められています。
ターン時の失格例
ターン時には、うつ伏せになった後、速やかにプルを行わなかった場合に失格となります。
また、ターンを始める際に手を複数回かいた場合でも失格です。他の失格例についてもみていきましょう。
- ターンの際に、体の一部が壁に触れなかった
- 壁から離れた際に、体がうつ伏せの状態になった
バタ足については、ターンでうつ伏せとなった時でも失格にはなりませんが、それがターン後の推進力を得るためだと判断された場合には、失格になるため注意しなければなりません。
ゴール時の失格例
せっかく上位でゴールできても、下記の場合は失格になってしまいます。
- ゴールの際、体が仰向けではなかった
- ゴールの際に体の一部が水面上に出ていない
また、水泳は体の一部が壁に触れた時点でゴールとなるため、壁に触れていないのにゴールしたような行動を取った場合は失格になる可能性もあります。ゴールするときは、壁を強めにしっかりと触りましょう。
まとめ
背泳ぎは、水泳で唯一、顔を水につけなくてもよい泳ぎ方です。「息継ぎが上手くできず、泳げない」「水に顔をつけるのが怖くて泳げない」という方は、まず背泳ぎから覚えてみるのもよいかもしれません。
本記事では、コツや練習方法を紹介しました。上達するには、ひたすら練習するしか道はありません。
本記事が、背泳ぎのやり方や上達方法が知りたい方の参考になれば幸いです。
(TOP写真提供 = Ryan Fleischer / Unsplash.com)
《参考記事一覧》
背泳ぎがうまくなりたい!ストロークやキックのコツは?(NHK)
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