アーセナル、VBETとベッティング&ゲーミングのパートナー契約を発表 

2022年まで3年契約 デジタルコンテンツのパートナーにも

イングランドプレミアリーグに所属するアーセナルFCは、2019年5月、オンラインベッティングブランドのVBETと、公式ベッティング&ゲーミングパートナーとなる契約を締結した。契約期間は2022年までの3年間で、契約金額は公表されていない。VBETはオンラインゲームのソフトウェア企業BetConstruct社が世界各国で提供するベッティングとゲーミングのブランドだ。

VBETはアーセナルのレジェンドであるレイ・パーラー氏をアンバサダーに起用しながら、今後、アーセナルのトップチーム選手を活用したファンやサポーター向けのコンテンツを提供していく。また、元アーセナル選手のエイドリアン・クラーク氏が解説を務める、クラブのデジタル会員向けのコンテンツ「The Breakdown」のプレゼンティング・パートナーにもなる。

アーセナルFCのコマーシャルディレクターであるピーター・シルバーストーン氏は、次のように語っている。

「イノベーションはアーセナルにとって最も重要な部分であり、私たちはこのような先見性のあるグローバルブランドとのパートナーシップに興奮している。彼らと協力して他に類のないコンテンツを開発し、私たちのサポーターが楽しめるものを提供できることを楽しみにしている」

プレミアリーグでは近年オンライン・ベッティング企業のスポンサーシップが広がっており、2018/19シーズンは20クラブのうち9クラブのユニフォームの胸スポンサーがベッティング企業だった。ピークは2016/17の10クラブだったが、それに次ぐ占有率の高さだ。 上位クラブは航空、金融、製造などの企業が比較的多いが、下位クラブになるとベッティング企業が増えるのも興味深い。

尚、アーセナルのユニフォームの胸スポンサーはエミレーツ航空。両社は2018年に5年間のスポンサーシップの契約更新を行い、2023/24シーズンまでエミレーツ航空のロゴが入る。お馴染みの「Fly Emirates」を今後も目にするだろう。

英国で議論 ギャンブル企業のスポンサーシップ

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ギャンブル企業がサッカーと関わりを増す中、それらのスポンサーシップに懸念の声もあがる。2018年9月には、英国の国民保健サービスNHSイングランドのチーフ・エグゼクティブであるサイモン・スティーブンス氏が、プレミアリーグのクラブはギャンブル依存にアクションを起こすべきだと唱えている。英BBCは「問題的なギャンブルと、ストレスや鬱、その他メンタルヘルスの問題との間には、増加しつつある相関がある」と同氏のコメントを紹介している。

この背景には、英国で増加するギャンブル依存症など問題を抱える人々の存在がある。英国賭博委員会(Gambling Commission)がまとめたレポートによると、英国でギャンブル依存症などに苦しむ人々は2016年時点で43万人にのぼる。2012年には28万人であり、3年間で2倍近く増加したこととなる。

一方で、オンライン・ギャンブルが多くの生活者の余暇の楽しみになっているのも事実だ。同委員会の消費者レポートによれば、2017年のギャンブル全般の利用者は生活者全体の45%で昨年より3ポイント下がっているが、オンライン・ギャンブルの利用者割合に限ってみれば昨年比1ポイント増の18%。サッカーと競馬が最も人気のスポーツ・ベッティングであることも明らかになっており、人気は底堅い。

今回のアーセナルとのパートナーシップについて、VBETの創業者兼CEOであるビゲン・バダリアン氏は、期待を込めて話す。

「独自のソフトウェアをはじめ全てを社内で開発できることで、私たちはブランドの中心に責任あるギャンブルを据えて、革新的で簡単、安全な経験をサポーターに提供することが可能だ。世界中の熱狂的なアーセナルファンとエンゲージしていくことを楽しみにしている」

「このパートナーシップは長期戦略の重要な部分を占める。VBETは素晴らしいプロダクトとエキサイティングなプロモーションで、アーセナルのファンに直接、次世代のゲーミングを提供する」

多種多様な業界のスポンサーを抱え、その出所も英国だけでなくグローバルにわたるプレミアリーグのクラブ。これからのスポンサー企業の潮流に引き続き注目が集まる。

◇参照

Arsenal FC

BBC

UK Gambling Commission, Gambling behaviour in Great Britain in 2016

UK Gambling Commission, Gambling participation in 2017