大坂なおみがナイキと契約、スポンサーシップでも世界女王へ

ナイキが大坂なおみをチームに加えた狙い

大坂なおみは昨年から今年にかけてグランドスラムを2回制覇しただけでなく、日本生まれの選手として初めて世界ランキング1位を獲得。今や世界中のブランドが熱い視線を注ぎ、新たなスポンサーシップ契約を結ぼうとするスーパースターとなった。

米国のスポーツメーカーであるナイキも、その一つである。ナイキは2018年の全米オープンで大坂が優勝を果たして以来、同氏が新たに契約を結んだ6社目の企業となった。ナイキ社でグローバル部門のゼネラルマネージャーを務めるエイミー・モンターニュ副社長は、次のように述べている。

「私たちは大きな夢を追いかける何百万人ものアスリートに刺激を与え続けてきた。(大坂)なおみは、信じられない才能の持ち主で、彼女がメンバーに加わることで、新しい世代の女性アスリートに刺激を与えるという、私たちの取り組みが促進できる」[1]

大坂にとっては、2019年4月22日からシュトゥットガルトで行われたWTA主催の大会が、ナイキの試合用ウェアを着用して臨んだ初の機会となった。

殺到するスポンサーと日本企業2社への配慮

大坂に対しては、日本企業も熱い視線を注いでいる。同氏は2016年から日清食品とパートナー契約を結んできたが、今年1月に行われた全豪オープンからは、全日本空輸(ANA)もパートナーに加わった。他にも、資生堂、日産自動車、シチズン時計とも契約を結んでいる。

大坂はナイキの試合用のウェアに、日清食品と全日本空輸のスポンサーパッチを付け続けるという。

米紙『ニューヨーク・タイムズ』のベン・ローゼンバーグ記者は、大坂なおみの代理人であるIMGのスチュアート・ダギッドに本件を確認したとした上で、極めて異例な措置だとツイートしている。通常、ナイキは他社のスポンサーパッチを自社のウェアの上に付けることを許可しないからだ[2]。ナイキは大坂側の意向を受けて、日本企業2社に配慮したとも解釈できる。

昨年、英紙『タイムズ』は、IMGが次にスポンサー契約を更新する際には、「当時のウェアスポンサーだったアディダスから、一年間で約850万米ドル以上の契約金を要求するだろう」と予想する記事を掲載した[3]。

ナイキとの契約金額は明らかにされていないが、IMGは2020年の東京オリンピックが開催されるまでには、大坂がスポーツ界で最も高給の女性アスリートとなることを見越している[4]。

パワフルなプレースタイルと、フレンドリーな人柄でテニスファンを魅了した大坂なおみは、今やスポーツマーケティングの世界でも時代の寵児となった。彼女の更なる活躍が期待される。

◇参照

1. Nike

2. Ben Rothenberg

3. Tennis.com

4. Tennistonic.com