BMXの起源と歴史|BMX拡大のきっかけとなったのはあの映画

10代前半から20代前半の若い世代の選手たちが活躍するアーバン型のスポーツ、BMX。

東京オリンピックの正式種目として採用され、注目を集めています。

本記事では、BMXの歴史と世界でのBMXの強豪国・大会について紹介します。

BMXの起源は

BMX(Bicycle Motocross)の起源には諸説ありますが、有力とされているのは1960年代後半にアメリカ・カリフォルニア州で始まったというもの。オートバイ・モトクロスレースに憧れた子供たちがダート路に作ったジャンプ台や坂を自転車で走って遊んだこととされています。

この他、1950年代のオランダやフランスには複数人が横一列に並び、隆起した地面をジャンプしながら走る動画が残っています。

1980年代初頭には、競技としてのBMXフリースタイルが誕生し、BMXの大会で選手たちがジャンプ中にトリック(技)を披露し始めます。

そして、1990年代には本家モトクロスにBMXのトリックが逆輸入され、フリースタイルモトクロス(FMX)がスタートしました。

BMXには、パーク、ストリート、トレイル、ビッグエア、フラットランドなど様々な種目がありますが、東京オリンピックの正式種目となったパークは、2016年に国際自転車競技連盟の管轄となったもの。フランス、クロアチア、アメリカ、カナダ、中国でワールドカップも開催されました。

BMXが広まったきっかけ

写真提供 = Jan Kopřiva / Unsplash.com

アメリカのカルフォルニア州で始まったとされるBMXは、1971年に公開された映画『On Any Sunday(栄光のライダー)』のオープニングシーンで子供たちが自転車を使ってモトクロスレースの真似をする映像が使われていたことによって全米に広まります。

競技人口が増えたことにより、専用設計の自転車を製造する会社も増加。諸説ありますが、その代表的な会社としてあげられるのが日本の「YAMAHA」です。同社が制作したMoto Bikeというモデルは、現在のBMW競技自転車の原型となっています。

競技として認識されたのは、1973年にモトクロスレーサーだったErnie Alexander氏がアメリカで運営団体を立ち上げ、本格的にレースの統括を始めたことによるもの。

レーサーたちがフリースタイルを確立していくなかで、競技のみならず、ストリートカルチャーとしても発展していくこととなります。

日本でBMXが広まったきっかけは1982年公開の映画『E.T.』

日本でBMXが広まったきっかけは、1982年に公開された映画『E.T.』だとされています。

『E.T.』は公開されたと同時に爆発的なヒット作品となりましたが、主人公の少年が乗っていた自転車が、当時では斬新なデザインで、「KUWAHARA BIKE WORKS(クワハラバイクワークス)」という日本メーカーが手がけたものであるということも、注目のポイントでした。

日本のKUWAHARA BIKE WORKSがアメリカ映画で使われたのは、当時、アメリカのBMXの若い選手たちの間で、KUWAHARA BIKE WORKSの自転車が流行しており、子供たちの間でも人気だったため。

そして、日本の会社で作られた自転車がアメリカ映画で起用されたことにより、その自転車を使って楽しむBMXが日本でも浸透していきます。

BMXの強豪国

BMXの強豪国を男女別に紹介すると、

<男子>

1.オーストラリア
2.アメリカ
3.ロシア
4.イギリス
5.日本

<女子>

1.アメリカ
2.ドイツ
3.イギリス
4.スイス
5.チリ

となります。

BMX誕生の地であるアメリカは、現在でも男子、女子共に上位に位置していることが分かります。

種目別に見ると、レーシングやフリースタイルでは、アメリカの他に、オーストラリア、中南米諸国、そして日本が存在感を発揮している一方、ロードやトラックといった伝統的な種目はヨーロッパ勢が上位を独占しています。

この背景には、競技人口が影響しているとされています。

トラックなどの伝統的な種目に対し、フリースタイルなどでは競技人口が少ないのが現状であり、個人のトップエリートの存在がランキングに多大な影響を及ぼしているのです。

BMXの主要な大会

BMXの主要な大会として、年に1回開催される世界選手権のほか、年に数回開催されるワールドカップがあります。

BMXフリースタイルを語る上で欠かせないのは「エックスゲームズ」です。エックスゲームズとは、夏と冬の年に2回開催される大会で、エクストリームスポーツの祭典のこと。

BMXフリースタイルは、夏の種目として、パークのほかビッグエアなども行われています。

日本では、年に1回開催される全日本選手権自転車競技大会、そして年に5回ほど開催されるJBMXFシリーズが主な大会となっています。

まとめ

BMXの歴史について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

いまやオリンピック競技として採用されるなど、世界に浸透しているBMXですが、元をたどると子供たちの遊びから生まれたもの。

世界で活躍する選手には若い世代が多く、これから、ますます発展していくことが期待されています。

東京オリンピックで正式種目に追加されたBMX。ぜひ注目してみてください。

(TOP写真提供 = Nicolas Picard / Unsplash.com)


《参考記事一覧》

 起源【BMXの基礎知識 Part 1】(Redbull)

自転車競技・BMXフリースタイルの起源と歴史|オリンピック競技の起源(OLYMPIC CHANNEL)