Jリーグに所属するチームのうち、潤沢な資金力を有するクラブはJ1上位のわずか数チームに過ぎないと言っても過言ではありません。
つまり、大多数のJクラブは、大なり小なり資金面で苦労をしています。
そんな資金面で苦労しているJリーグの各チームにとって、お金をかけずに手っ取り早く活用できるマーケティングツールとして、SNSは注目を集めているのです。
この記事では、JリーグにおけるSNS活用の実態について、紹介します。
Jリーグ各チームですすむSNSの活用
各SNSの特性を踏まえて、各チームはSNSを使い分けています。
Twitterやfacebookはリツイートやシェアといった機能があり、情報が人から人へと拡散されやすい性質があります。
また、Instagramは拡張的な機能こそないものの、「インスタ映え」という言葉で知られるように、写真に特化して高いモチベーションのユーザーたちが利用していることが特徴です。
そのため、TwitterとFacebookは、拡散が想定されるツールであり、新規ファンの獲得に適しているといえます。
TwitterとFacebookの違いとしては、Twitterは若年層がメイン、Facebookは高年齢層をターゲットと捉えると、より戦略が明確になるでしょう。
TwitterとFacebookを活用する場合、ゴールシーンなど、思わずシェアしたくなるような動画や画像をコンテンツとして投下することが必要です。
さらに、思わず拡散したくなるような要素を持ったファンイベントなどの企画を仕掛けることも有効です。
一方、Instagramについては、「インスタ映え」するショットを撮らせる機会を設けるための戦略が必要です。
したがって、ビジュアルインパクトのあるチームグッズの企画・販売、選手やチームマスコットを活用したファンミーティング的なイベント開催などが効果を発揮するでしょう。
各チームのフォロワー数はどれくらい?
2018年のデータでは、J1所属の18チームのうち、Twitter、Facebook、Instagramの「3大SNS」の合計フォロワー数が合計122万1701と、トップに輝いたのがセレッソ大阪です。
同チームは、成績はリーグ順位7位と中位に終わりましたが、フォロワー数はダントツ。
特にFacebookは102万3003で、他を大きく引き離して1位です。
ちなみにTwitterのフォロワー数は15万6398(9位)、Instagramのフォロワー数は4万2300(6位)でした。
以下、合計フォロワー数が上位10チームのチームとフォロワー数について見ていきましょう。
合計フォロワー数2位:鹿島アントラーズ(55万5022) ※リーグ成績3位
Twitter=39万9507(3位)
Instagram=9万2500(2位)
Facebook=6万3015(6位)
合計フォロワー数3位:横浜F・マリノス(53万9959) ※リーグ成績12位
Twitter=45万0979(1位)
Instagram=3万8200(7位)
Facebook:5万0780(10位)
合計フォロワー数4位:浦和レッズ(53万3844) ※リーグ成績5位
Twitter=39万6574(4位)
Instagram=6万9700(3位)
Facebook=6万7570(5位)
合計フォロワー数5位:川崎フロンターレ(50万9174) ※リーグ成績1位
Twitter=35万5993(5位)
Instagram=5万2000(4位)
Facebook=10万1181(2位)
合計フォロワー数6位:名古屋グランパス(48万9747) ※リーグ成績15位
Twitter=40万4255(2位)
Instagram=3万1500(9位)
Facebook=5万3992(8位)
合計フォロワー数7位:サンフレッチェ広島(32万2735) ※リーグ成績2位
Twitter=21万0545(6位)
Instagram=2万9900(10位)
Facebook=8万2290(4位)
合計フォロワー数8位:ガンバ大阪(30万5967) ※リーグ成績9位
Twitter=16万2198(8位)
Instagram=4万4400(5位)
Facebook=9万9369(3位)
合計フォロワー数9位:FC東京(28万3918) ※リーグ成績6位
Twitter:205,794(9位)
Instagram:25,000(12位)
Facebook:53,124(9位)
合計フォロワー数10位:ヴィッセル神戸(23万6090) ※リーグ成績10位
Twitter=8万1107(13位)
Instagram=10万5000(1位)
Facebook=4万9983(11位)
SNSを活用する上で何を意識すべきか?
・同じ情報でも相手によって受け取り方が異なる
JリーグのSNSで活用する上で重要なのは、「適切な情報」を「適切な方法」と「適切なタイミング」で伝達することです。
「コアなサポーター」と「無関心な層」では、同じコンテンツに対しても、まったく異なる捉え方をします。
つまり、同じ「適切な情報」でも、情報の受け手によって大きく変わることを知っておく必要があるのです。
そのため、「誰に、何を、見せたいか」を明確に意識した上で、「ユーザーに何をしてほしいのか」という目的をしっかり持って発信しなくてはいけません。
SNS、特にTwitterやFacebookは、無関心な層をスタジアムに来てもらえるようにする仕掛けに効果的なツールです。
コアなサポーターには面白くても、無関心な層にまったく響かないデザインや表現では意味がないのです。
例えば、ゴールが決まるとゴールシーン動画を自動再生するコンテンツを提供しているチームがあります。
これは、スタジアムに行けなかったユーザーに対しても臨場感を与える上に、スタジアムでゴールが決まったときの興奮を仮想体験できる魅力的なコンテンツとなります。
・無関心層にアピールするには「人」にフォーカス
上記のコンテンツでは、得点した選手名を大きく表示し、動画も簡潔に短めに編集されています。
動画は再生時に劣化してしまうので、4G/3Gで閲覧した場合を想定して時間やデータ容量をコンパクトにしているのです。
「コアなサポーター」には、「早くて分かりやすい情報」を「速やかに」提供することが重要です。
それが拡散力(リツイート数)につながる重要な要素です。
しかし、無関心な層が動画を見た場合は、具体的な情報はあまり頭に残りません。
選手の名前など、サッカーに対する前提知識が不足しているためです。
そこで、そんな人たちの興味を引けるように、クリエイティブにも工夫が必要になります。
「FW」や「MF」といった細かい文字情報はあえてカットし、選手の顔を大きく配置するといった「人」にフォーカスする見せ方が効果的です。
それぞれの特徴を生かした活用がおすすめ
Twitterは、他のソーシャルメディアに比較して若年層が多いことが特徴です。
そのため、Twitterの場合は「若年層にウケる・拡散されやすい」コンテンツが有効となります。
特に、動画や画像などは拡散されやすいので効果的です。
例えばゴールシーンでは、テキストで「ゴール!」などとツイートするより、GIFなど動く仕掛けを利用すると拡散性が数倍にも高まるはずです。
ほかにも、選手が監督のインタビュー動画や、チームマスコット動画といった動画系コンテンツなどは相性がいいでしょう。
また、選手のサイン入りユニフォームなどのプレゼント付きキャンペーンも、Twitterとの親和性が高い拡散イベントとなります。
Facebookの特性はTwitterと似ていますが、大きな違いはユーザーの年齢層です。
Facebookのボリュームゾーンは40代と言われており、年齢層が高いことを十分に意識してコンテンツを仕掛ける必要があります。
動画や画像系のコンテンツと相性がいいことはFacebookでも同様ですが、年齢層を意識してより見やすい画面にするといいでしょう。
たとえば、インタビュー画像などもサッカーの深みを感じさせる内容にしたり、チームの裏方にスポットを当てるなどの工夫が必要でしょう。
Instagramは、TwitterやFacebookのような拡張性がない分、写真に対するこだわりが強いユーザーが主体です。
その点を意識して、チームのブランディング強化のために活用するチームも多いようです。
例えば、女性ファンを増やしたいのであれば、チームを代表するイケメン選手の顔がかっこよく写っているショットなどをアップするといった戦略が効果的です。
また、サポーターの心理として、応援しているチームの公式アカウントに自分の写真が載っていればうれしいものです。
仲間に自慢したくて、思わずシェアしてしまうはず。
その効果を狙ってか、サポーターの姿を数多く出していくという作戦を打っているチームも見られます。
まとめ
以上、JリーグにおけるSNS活用についてまとめてみました。
低コストで仕掛けられるSNSを上手に活用することが、Jリーグのチーム運営では極めて重要なのは確かでしょう。
今後は、さらに画期的なコンテンツが生まれる可能性もありそうです。
それを大いに期待して見守っていきたいところです。
参考記事一覧
J1クラブの人気を検証!年間観客動員数と3大SNSのフォロワー数の順位は?(FOOTBALL TRIBE)