2016年に開幕した、日本の男子バスケットボールのプロリーグである「B.LEAGUE」。スタートから順調に成長を続け、観客動員数もうなぎ登り。大きな盛り上がりを見せています。
しかし、開幕当初は既存のスポーツメディアでの露出は控え目であり、野球やサッカーなどのプロスポーツに比較すると、注目度は決して高くありませんでした。
それでも、開幕初年度の来場者数はB.LEAGUEの前身である2つのリーグの総計より40%増と、一気にスポーツビジネスの成功例となったのです。
では、なぜ初年度からこれほどの人気を集められたのでしょうか。
その鍵の1つはインスタグラムやツイッターといった SNS戦略が成功したためと言われています。
そこで、「B.LEAGUE」人気の秘密を「SNS運用」というキーワードから考察していきましょう。
SNS活用で急成長
B.LEAGUEは、SNSの活用で急成長しました。
その戦略について紹介します。
・若者と女性をターゲットに定めた
今や、老若男女、幅広い年代に利用されているSNSですが、なかでもインスタグラムやツイッターは若者のユーザーが多いことが大きな特徴です。
つまり、若年層をターゲットとするには、インスタグラムやツイッターを活用した情報発信が有効です。
B.LEAGUEが開幕前に行った意識調査において、「バスケットを観戦したい」と思う人は、他のスポーツより若い年齢層が多いことがわかりました。
バスケットはスピード感やダンクシュートなどの迫力溢れるプレーが魅力のスポーツであり、得点の取り合いになるなど、エキサイティングな試合展開も若者に支持される要因の1つです。
また、意識調査では多くの女性たちがバスケット観戦に興味を示しているという結果も出ました。
バスケットのもつ、オシャレでカッコいいポジティブなイメージが女性の心をを捉えるのでしょう。
そこで、B.LEAGUEは、リーグの発足にあたってSNSに敏感な若者と女性にターゲットを絞り、彼らが利用するインスタグラムとツイッターでの広告戦略に力を入れて取り組んだというわけです。
・インスタ映えを意識した公式アカウント
B.LEAGUEでは、リーグの公式アカウントに加え、各チームの公式アカウントを開設しています。
したがって、アプリをダウンロードすれば、誰でも気軽にスマホから情報を集めることができます。
B.LEAGUEの公式インスタグラムの投稿頻度は1日1回ペース。
インスタグラム画像にある選手の背中をダブルタップすれば「いいね」が押されるようになっているなど、画像や動画に工夫が凝らしてあります。
また、選手だけでなく、応援するファンやチアリーダーの画像なども投稿されています。
インスタグラムでアップされる画像は全体的にオシャレで、「インスタ映え」を意識したもの。
B.LEAGUEではアメリカのNBAにならい、すべてのチームがチアリーダーを結成して試合を盛り上げていますが、彼女たちはダンスのスキルが抜群で、ユニフォーム姿も素敵で、そのビジュアル効果は最高です。
そんなフォトジェニックな彼女たちはSNSの素材としても抜群でした。
そして、ファンは、自分の画像が公式インスタグラムに載った場合、仲間に自慢するために拡散するという動きにもつながったのです。
・ハッシュタグの活用
細かい点では、ハッシュタグの使い方にも工夫がなされています。
インスタグラムでの投稿には、あえてバスケット関連以外のワードをハッシュタグで付けるのです。
例えば、選手がファンの赤ちゃんを抱っこしている画像に、「赤ちゃん」「かわいい」「ほのぼの」といったワードを付けるなど。
そうすれば、ハッシュタグ検索でバスケットとまったく無関係のハッシュタグ検索をしていたユーザーたちがその1枚を目にすることになります。
猫好きな選手が、猫を抱いている1枚の画像を見たことから、「この大きな人は誰? バスケットの選手なの?」ということで、リーグに興味をもってくれる扉になることもわるわけです。
・女性を意識した企画も実施
インスタグラムやツイッターでは、女性ファンをさらに取り込むための参加型企画として、クリスマスやバレンタインデー企画といった女性向けの特別イベントなどを実施しています。
女性をターゲットとする企画や投稿を行うことによって、アリーナに足を運ぶ女性ファンも確実に増えています。
SNSを用いたイケメン選手投票といった、ビギナーのファンが気軽に参加できるような企画もあり、SNSによって多くのファンを惹き付けているのです。
また、ファンに大いにウケたのが、リーグの人気選手5人がユニットを組んで曲をリリースするという「エイプリルフール企画」です。
本格的なジャケット写真やPVまで用意し、リアリティ抜群の企画でしたが、もちろんエイプリルフールのジョーク。
その「本気ぶり」がSNSで大きな話題を呼んだのは言うまでもありませんが、デビュー曲のタイトルが「FAKE NEWS」というものだったことも「最高のセンス」などと、ファンは拍手喝采でした。
そんな遊び心もまた、SNSユーザーとの親和性が高いものだったのです。
ファン投票・SNS投票によるオールスター・MVP選出
2017年に開催されたオールスター戦は、「SNS連動オールスター」というコンセプトを掲げて行われました。
「ソーシャルリスニング」を行い、ファンの画期的なアイディア活用を促進し、SNS選出による「SNS 選手選出枠」まで設けたのです。
さらに「チームマネージャー対決企画」 といったユニークな企画を行うなど、徹底的にSNSを活用しました。
また、オールスター戦のMVPも、SNS投票で決めるという画期的な試みが行われました。
試合終了後に、会場とB.LEAGUE公式でMVP候補の選手を発表し、指定のハッシュタグを投稿することでMVPを選出するという仕組みです。
得票状況は、会場のビジョンにてリアルタイムで分かる仕組みとなっていて、これにはファンも大喜びでした。
このようにSNSをフル活用した結果、ファンを巻き込んだ本当の「オール」スターとして大成功を収めたのです。
試合をライブ配信でみれる取り組みも
B.LEAGUEでは、ソフトバンクの「Yahoo!プレミアム」(月額462円)の会員が、会員特典として視聴できる動画配信サービス「バスケットLIVE」を通じて、試合のライブ配信をしています。
ただ試合を中継するだけでなく、最近では、AI技術を活用した自動映像制作ソリューションの「Keemotion」を用いたライブ配信を実施するなど、最新のテクノロジーを活用して、より魅力あるコンテンツを提供しているのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
急成長を続けるプロバスケットボールリーグの「B.LEAGUE」が成功している要因を、SNS活用に着目して説明してみました。
若者や女性ファンの獲得に、リーグがSNSをいかにうまく活用したか、おわかりいただけたと思います。
B.LEAGUEはまだまだ成長過程です。
これからも、積極的にSNSを活用してユニークなサービスを我々に届けてくれることでしょう。
大いに期待したいところですね。
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