日本プロ野球のFAとは?FA選手のランクについても解説!

日本のプロ野球を追っていると、「FA」という言葉を聞く機会があります。特にオフシーズンになると、FA権をどの選手が行使するのかが、毎年大きな話題になるもの。

しかし、FAとは何か、詳しくは知らない、という人も少なくないでしょう。

そこで、本記事では、FAとは何か、FA権を取得するにはどのような条件を満たさなければいけないのか、分かりやすく解説します。

プロ野球、FAとは

「FA」の正式名称は、フリーエージェント(Free agent)。選手が所属チーム以外の好きなチームとも契約を結ぶことができる状態、または、自由契約をする権利を持っている選手自体を指します。

FAは、さまざまなプロスポーツで使われている用語ですが、日本では主に「日本プロ野球」で使われており、毎年、FA権を持つプロ野球選手の去就が新聞で話題になりますが、このFAは、「国内FA」と「海外FA」との2種類に分けられます。

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

国内FA

国内FAとは、日本のプロ野球に所属しているすべての球団と契約可能になる資格をもつことを意味しており、権利を得る条件とは、一定の年数プロ野球の球団で働くというもの。

2021年現在、適応されているのは2008年に決められたルールで、このルールによると、2006年までにドラフトで入団した選手と2007年以降に高校卒業後にドラフトで入団した選手の場合、合計8年間、そして、大学生または社会人で入団した選手は、合計で7年、出場選手として登録されていればFA権を獲得できます。

海外FA

海外FAは、世界のどの球団とでも自由に選手契約できる権利を意味する言葉。海外FAは、出場選手として登録された年数が合計9年となる場合、取得することができます。

FA権を獲得にするために必要となる年数

FAの権利は、規定の年数、球団に所属していれば得ることができる、というわけではありません。必要となるのは、「出場選手登録」つまり、「1軍」に合計で「145日」登録されるということ。

怪我などで選手登録が末梢され、登録された日数が「145日」未満の場合、FA権は取得できません。

ただし、1年目に100日だけ選手登録されて、2年目に45日登録された場合、合計で1年分チームに所属した、という扱いにしてもらえます。

しかし、同じ年に、146日以上選手登録されていたとしても、あまった日数を他の年の分として使うことはできません。たとえ150日選手登録されていようが、145日より多い分は切り捨てて1年分チームに所属した、という扱いになる、と理解しておくと良いでしょう。

FA権利取得の救済措置

FA権は、原則、145日の選手登録をもって1年所属となるのですが、状況によっては救済措置を受けられることがあります。

グラウンドで怪我をして登録が抹消された場合、最大60日は選手登録しているという扱いになります。グラウンドで故障して、何度か登録抹消しまった場合も、累計で60日までは救済措置を受けられます。

ただしこの故障による特例措置を受けられるのは、前シーズンでの試合出場数が145日以上の選手だけ。この救済措置を受けると、次の年は同じ特例措置は受けられません。

FA権の行使と再取得

FA権の行使ができるのは、土日祝日を除き、日本シリーズが終わった次の日から「7日」の間のみ。行使しなかった場合には次年に持ち越しとなり、行使した場合も、その後4年間(登録日数580日)、選手として働けば、再度取得することができます。この際に獲得できるFA権は、海外FAです。

外国人選手のFA

日本のプロ野球では、「外国人選手」の扱いは特別ルールで定められていて、外国人選手は、「外国人枠」の範囲でしか、出場できない、とされています。現行の規定では、1チームで登録可能な外国人選手は、野手と投手合わせて4名まで。

外国人選手も、日本の球団に規定年数所属していれば、FA権を取得することができますが、外国人選手のFAは特別ルールに基づきます。

そのルールとは、FA権(国内FA)を取得した外国人選手は、その翌年から外国人枠から外れる、というもの。なお、FA権を行使しないという場合も、この特例措置が適用されます。

FAのルールにある「ランク」とは

写真提供 = Marcelo Cidrack / Unsplash.com

FAとは、選手の活動の自由度を高めるための制度です。しかし、選手が所属しているチームとしては、有力選手が他の球団に移ってしまうため、戦力が落ちてしまうという危険性をもつもの。

この問題を解決するため、日本プロ野球では、FA選手の移籍先のチームから移籍前のチームが補償を受けることができるルールが設けられています。

どの程度の補償を受けるのが適当かを判断するために、現在のチームで何番目に大きな「年俸」を貰っているかによって、A、B、Cの3種類にランク分けされています。

Aランク

「Aランク」と判断されるのは、選手が所属球団の年俸ランキングの1位から3位に入っていた場合。

選手が移籍前に所属していた球団は、「選手の年俸の50%」に当たる補償金と、相手側の選手1名(獲得制限外)を獲得できます。

ただし、相手側の選手を得る代わりに、選手の年俸の30%に当たる補償金を選ぶことも可能。この場合、年俸の80%に当たる補償金を得られることになります。

Bランク

「Bランク」は、FA選手が、所属球団の年俸ランキングの4位から10位にいた場合。

所属していた球団は、「FA選手の年俸の40%」に当たる補償金と、相手側の選手1名(獲得制限外)を獲得できます。

ただし、相手側の選手を得る代わりに、FA選手の年俸の20%の補償金を選ぶことも可能。この場合、合計60%の補償金を得ることになります。

Cランク

「Cランク」は、FAの選手が、所属球団の年俸ランキング11位以下にいる場合。この場合の補償はありません。

補償にあたって獲得できない選手

前述したように、Aランク、または、Bランクの選手を得た側のチームは、補償として1人選手を与えなくてはいけません。しかし、自分のチームで28名の選手までは「プロテクト」として、相手側のチームが選ぶことができないように守れます。

この時、外国人選手も補償の対象外。

これは、外国人選手がFA権を得た場合も同じです。

FA権を獲得した注目選手と最新の動向

2021年でFA権の行使が注目される選手は、次のようになっています。

Aランクの「山崎康晃(DeNA)」「宮崎敏郎(DeNA)」「梅野隆太郎(阪神)」、Bランクの「大瀬良大地(広島)」「九里亜蓮(広島)」「嘉弥真新也(SB) 」「祖父江大輔(中日)」「岸孝之(楽天)」。

このうちDeNAの宮崎敏郎選手は、すでに横浜DeNAに残留することをを宣言しています。横浜DeNAが提示した、これまで三浦監督しか受けなかった異例の「6年契約」が、宮崎選手がFA権を行使しなかった大きな理由になったようです。

宮崎選手は現在32歳ですから、契約終了時には38歳になっています。つまり選手側としては生涯ベイスターズでいくという宣言ですし、球団側としても引退まで面倒をみるという宣言をしたことになります。

まとめ

日本プロ野球では、FA(フリーエージェント)権を行使すると、好きな球団と選手契約ができるようになります。

原則として8年間、1軍の選手に選ばれると国内FA権を獲得。また、9年間出場選手登録されると、外国も含めて自由に契約可能な海外FAの権利を取得できます。

日本プロ野球では、選手がFAで移籍する場合に、FA選手を放出した側が、FA選手を獲得した側から補償を受けられるようになっています。FA選手の年俸によってAランクからCランクに分けられて、ランクによって補償内容が決定されます。

(TOP写真提供 = Hyoshin Choi / Unsplash.com)


《参考記事一覧》

なぜ横浜DeNAの宮崎敏郎はFA権を行使せず異例の6年契約でのチーム残留「生涯ベイスターズ」を決断したのか?(Yahoo!ニュース オリジナル THE PAGE)

【日程】FA宣言2021年を特集 調査・交渉結果・補償内容(高校野球ニュース)

 外国人枠 日本プロ野球(Wikipedia)

フリーエージェント 日本プロ野球(Wikipedia)

フリーエージェントについて | 2019年度公示(NPB.jp 日本野球機構)

野球のFAとは?意味や条件、ポスティングとの違いを徹底解説!(スポジョバ)

プロ野球 FA宣言特集 2021年(高校野球ニュース)

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