ボクシング選手には、アマチュアとプロボクサーがいますが、その違いは何なのでしょうか。
結論からいえば、プロテストに合格したボクサーが「プロボクサー」と呼ばれています。
しかし、プロテストに合格すると、実際ボクサーはどのような資格が得られるのか気になりますよね。
本記事では、プロボクサーになるために必要な資格や収入、向いている人の特徴などについて解説しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
プロボクサーとは
拳にグローブを着用し、パンチのみで闘う格闘スポーツ「ボクシング」。世界的にも人気のあるスポーツで、オリンピックでも古くから正式種目となっています。
また、日本でも人気の高いスポーツの1つで、日本でも過去にボクシング・ブームが起こっており90人以上の世界王者が日本から誕生しています。
一般的に、ボクシング選手のことを「ボクサー」と呼びますが、そのなかのプロフェッショナルとして、活躍している方々がプロボクサー。ちなみに、プロフェッショナルとは、下記の2つを満たす人のことを指します。
- 特定の活動に関して能力が高く技能に優れている方
- その仕事で評価を得ている方
アマチュアボクサーのなかにも、能力が高く技能に優れている方はいます。
しかし、一般的にはボクサーを仕事を生業としており、そこで評価(賃金)を得ているのがアマチュアとプロの明確な違いといわれています。
プロボクサーになるために必要な資格
プロとなるためには、どのような資格が必要なのでしょうか。ここでは、プロボクサーの資格について、詳しく解説しています。
プロボクサーは資格がなくてもなれる
実はプロボクサーになるために、必要な資格というのはありません。
賃金が得られる仕事としてボクシングをしていれば、その時点でプロです。ただし、日本ではボクシングで賃金を得るために、興行試合を行っている団体に選手登録しなければなりません。その際、選手登録にはライセンスが必要となります。
日本で、団体への選手登録に必要となるライセンス取得のための試験(プロテスト)を実施している団体が、日本ボクシングコミッション(JBC)。
JBCでは、日本のプロボクシング競技を統轄しており、下記の団体にも加盟しています。
- 世界ボクシング協会(WBA)
- 世界ボクシング評議会(WBC)
- 国際ボクシング連盟(IBF)
- 世界ボクシング機構(WBO)
- 東洋太平洋ボクシング連盟(OPBF)
そして現在、日本では、JBCに無届で興行試合を行うことは禁止されています。
つまり、プロとなるために必要な資格はありませんが、日本でプロ活動するためにはこのJBCが発行するライセンスが必要になります。
ライセンスの取得方法
プロボクサーには、ライセンスという仕組みが存在します。
そして、JBCが発行するライセンスには、A級・B級・C級という3つの種類があり、その概要について下表にまとめました。
等級 | 概要 |
A級 | 8回戦以上(男子は8ラウンド・10ラウンド・12ラウンド制で、女子は10ラウンドまで)の試合に出場することが可能 |
B級 | 6回戦(6ラウンド制の試合)に出場することが可能 |
C級 | 4回戦(4ラウンド制の試合)に出場することが可能 |
まずは、JBCが実施しているプロテストに合格するとC級が取得できます。
その後、試合で4勝(引分は0.5勝に換算)すればB級に昇格でき、B級取得後に2勝(引分はやはり0.5勝に換算)するとA級に昇格できます。
そのため、プロになるためにはプロテストを受ける必要がありますが、ボクシング経験があれば誰でも受けられるということではありません。
受けるためには、下記の3つの条件を満たしている必要があります。
- 日本プロボクシング協会(JPBA)加盟のジムに所属している
- テストの申し込み時の年齢が16~34歳の範囲である
- コミッション公認のドクターの診察を受け、健康状態に問題がないと判断されている
ライセンスの有効期限は1年ですが、健康状態に問題がなければ毎年1月に自動的に更新されます。ただし、37歳になると自動的にライセンスは失効してしまいます。
海外なら、ライセンスがなくてもプロボクサーになれる
ライセンスが必要となるのは、日本国内や日本の団体が海外で行った興行試合に出場するときのみです。そのため、海外の団体でプロボクサーを目指す場合は、資格(ライセンス)がなくてもプロになれます。
例えば、メキシコのCBLやFECOMBOX、タイのTBC、ルンピニー・スタジアム、PATといった団体は、ライセンス制度はなく団体と関係のあるプロモーターと契約ができれば、その時点でプロボクサーです。
そのため、日本で何らかの理由でライセンスの更新ができなくなった・剥奪された元プロボクサーのなかには、資格なしにプロ活動ができる海外で復帰する方もいます。
プロボクサーの収入
プロボクサーの収入は、試合をすることで得られるファイトマネーのみ。つまり、試合に出場できなければ、ほとんど収入がありません。
また、プロボクサーの試合のファイトマネーも、一律ではありません。選手の人気度や試合の注目度、テレビ放送の有無などによって、金額が大きく違ってきます。
しかも、唯一の収入源であるファイトマネーが入る試合も、年に数回出場できればよい方です。
ちなみに、日本ランカー(10位以内)になれば、一試合のファイトマネーが約30~100万円、日本チャンピオンとなれば100万円以上にもなるようです。しかし現実は、ほとんどのプロボクサーがボクシングで得られる収入だけでは生活できていません。
そのため、プロボクサーとしてのファイトマネーだけで生活できない方は、ジムでトレーナーをしたり別の仕事をして収入を得ていることがほとんど。一般的には、日本チャンピオンや世界チャンピオンにならなければ、ボクシングだけで生活はできないといわれています。
プロボクサーに向く人
なんといってもプロボクサーは、肉体的にも技術的にも優れていることが求められます。しかし、その両方が優れている方のすべてが、プロボクサーに向いているということではありません。
肉体的にも技術的にも優れていることに加えて、下記のような方はプロボクサーに向いているといえるでしょう。
- ハングリー精神が強い
- 負けず嫌い
- 闘争心がある
それでは、詳しく解説します。
ハングリー精神が強い
ハングリー精神が強い方は、プロボクサーに向いています。
プロボクサーにとって避けて通れない減量を耐えることのできる、ハングリー精神がなければ、つらい減量を乗り切り、試合前日の計量までに規定体重を作ることはできません。
また、前述したように、プロボクサーは収入が得られないことも珍しくありません。少ない収入でプロを続けていくためにも、ハングリー精神は必要といえるでしょう。
負けず嫌い
一般的に、負けず嫌いな方とは、ライバル意識が高く競争に常に負けたくない方のこと。そのため、負けず嫌いなプロボクサーは、物事への瞬発力が高く、力を一気に出せる傾向が強いです。
また、目標に向けて強い意志を持って努力できるということも、負けず嫌いなプロボクサーの特徴の1つ。「誰にも負けたくない」という精神から、プロボクサーにとって大切な競争心が働くのでしょう。
闘争心がある
強い闘争心は、プロボクサーに必要です。
そもそも、闘争心が強いプロボクサーには、向上心がみられるため「さらに上を目指そう」と自分を奮い立たせることができます。
さらに、闘争心が強いプロボクサーは達成したときの喜びを知っているため、どんな困難があっても一途に取り組むことができるでしょう。
まとめ
今回は、プロボクサーになるための方法や必要な資格、収入などについて解説してきました。
結論をいえば、プロボクサーになるために、特別必要な資格はありません。しかし、日本でプロ活動をするためにはライセンスが必要となります。
たとえプロボクサーになれたとしても、ボクシングだけで食べていけない可能性が高いですが、それでも本気でプロになりたいのであれば、まずはJPBA加盟のジムに所属して、ライセンス取得を目指しましょう。
(TOP写真提供 = Joel Muniz / Unsplash.com)
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