SDGsのプロスポーツビジネスへの影響 ~SDGsはどうスポーツを変えるか

2兆ドルと推測されるSDGs(エスディージーズ)の市場規模。

その視点を取り入れた取り組みがスポーツビジネスの分野でも進んでいます。

SDGsとは何か、また、SDGsはスポーツビジネスにどのような影響を与えるのか、分かりやすく解説していきます。

SDGsとは

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年の国連サミットですべての加盟国が合意した2030年を達成年限とする「持続可能な開発目標」のこと。

2001年から始まった8ゴール21ターゲットの開発途上国向けの目標であるMDGsの発展形であり、17ゴール169ターゲットの細分化された目標となっています。ここで重要なのは、「誰一人取り残さない」という理念のもと、人間ひとりひとりの行動に目標達成が委ねられているという点です。

2019年9月に開催されたSDGsサミットで、グテーレス国連事務総長は、達成状況に危機感を感じ、これからの10年は「行動の10年」として達成加速化の必要性があると表明しました。

日本では、2016年5月に総理を本部長、官房長官及び外務大臣を副本部長、全閣僚を構成員とするSDGs推進本部を設置し、年2回本会合を開催しています。

また、2016年12月にSDGs実施指針を策定し、2019年12月に改定を行っていますが、改定では当初4年間の取り組み現状分析に基づき、日本における状況に即して再構成した、8つの優先課題と主要原則を改めて提示しました。

日本政府は、2017年から「ジャパンSDGsアワード」として、SDGs達成に向けて優れた取り組みを行っている企業・団体を表彰。また、2018年から「SDGs未来都市」を選定しています。2020年までにすでに国内93都市が選定され、地方におけるSDGs推進の取り組みが進められています。

ただ、日本におけるSDGsの国民全体への認知度はまだまだ低く、2020東京オリンピック開催によりスポーツの力でSDGsを拡大しようとしていた目論見は新型コロナ感染症で延期、感染症対策でSDGsどころではない、というのが本音のようです。

SDGsが注目される理由・SDGsの取り組みによるメリットとは

スポーツビジネスの分野で進SDGsの取り組み。

注目される理由と、その取り組みによるメリットについて、見ていきます。

・SDGsが注目される理由

SDGsが注目される理由はチームや企業がSDGsに向き合い取り組むことで、チームや企業にもメリットがあることが理解されてきたため。SDGsの活動がニュースに取り上げられることで、スポーツに関心がない人々がチームや企業のファンになってくれるなど、SDGsへの取り組みがマーケティングとしても機能するとの評価が得られてきたのです。

また、従来のCSR(企業の社会的責任)などの活動が企業にとっては単なるコスト発生活動と見なされていた一方、SDGsは取り組み次第では、企業の前向きな持続可能な価値向上になることが認知されてきたことも理由として挙げられます。

・SDGsに取り組むことで資金面でのメリットも

現在、投資判断をリスク・リターンの二次元評価から、社会的にインパクトを与える取り組みを行っている企業や団体に資金を融通し、インパクトを加えた三次元で評価をしようという動きがあります。

ある委員会のアンケート調査では、日本におけるこの社会的インパクト投資は2019年度で約4,480億円。2018年度の約3,440億円を上回り、投資プレイヤーが拡大していることが分かります。

また、投資の分野では、ESG(環境・社会・企業統治)に熱心に取り組んでいる企業に対し投資を行うというESG投資ファンドも現れています。

今後はESGに加えSDGsへの取り組みも投資判断になることが予想され、取り組み次第では資金面でのメリットも得られるでしょう。

スポーツの世界でSDGsの取り組みが進む

「持続可能な開発目標」であるSDGs。

スポーツの世界で進むSDGsの取り組みについて、見ていきましょう。

・気候変動問題への取り組みにIOCやFIFA、東京2020組織委員会も参加

SDGsへのスポーツ界での大きな取り組みの一つである2018年12月に発表された「Sports for Climate Action Framework」は、気候変動問題に対するスポーツ界の取り組みのフレームワークです。

IOC、FIFA、東京2020組織委員会などの団体が参加、スポーツによってSDGsの目標を達成しようという世界的な活動になっており、注目されています。

・オリンピックレガシーという考え方

1964年の東京オリンピックの際には、 オリンピックでの施設建設はインフラ整備の一環として捉えられていました。

しかし、2020東京オリンピックでは、オリンピックレガシーという考え方で、「イベントが終わった後、使われない施設が残ることでは、持続可能な社会づくりという理念とはかけ離れてしまう、オリンピックのある2020年で終わりでなく、その後のことを考えた設備利用や環境づくりが重要」とされた取り組みが行われています。

・地域コミュニティーとのつながりを大切にしているアメリカのスポーツチーム

 SDGsの先進国であるアメリカでは、野球やバスケットボールチームが地域コミュニティーに根付き、コミュニティーが求めていることを目標に努力する、という意識が強くあります。

チームによっては、その拠点である地域コミュニティーの問題である、食料廃棄物の循環や貧困層・ホームレスへの食料分配、地域のゴミ拾いや、ポイント制で試合チケットが手に入るインセンティブなど、社会と一体となった持続可能なチームづくりを行っています。

日本のスポーツにおけるSDGsへの取り組み

写真提供 = Vasyl Shulga / Shutterstock.com

日本のスポーツにおけるSDGs活動というと、Jリーグの地域をホームにした地域密着型の諸活動や、ラグビートップリーグでのがん撲滅への寄付活動などがあります。

ここでは、2つの例を取り上げてご紹介します。

①BリーグのSDGs活動 「B.LEAGUE Hope」

Bリーグは、SDGsに向き合った社会的責任活動を「B.LEAGUE Hope」として推進しています。

そして、「地球(Planet)=地球環境、循環型社会など」「平和(Peace)=防災、平和など」「人類(People)=多様性の包容、健康、働き方など」の3つの領域で、財団やNPO法人と連携した事業を行っています。

その取り組みとして、世界初となる長期療養を必要とする子供たちの退院復学支援のTEAMMATESプロジェクトや地震・豪雨の災害復興支援活動などがあります。

②東京DIME  3×3のプロチームのSDGs活動

2020東京オリンピックの正式種目の1つであるバスケットボールからの発生種目3×3(スリー・エックス・スリー)。

東京に拠点を置くプロ3×3チームの東京DIMEは、2014年3月に創立したチームですが、チームカラーのグリーンに合わせて、SDGsゴールのうちの3つ、「3 すべての人に健康と福祉を」、「13 気候変動に具体的な対策を」、「15 陸の豊かさも守ろう」をチームのテーマ「DIME GREEN SDGs」に選んでいます。

SDGsの活動として、SDGsの周知をはじめ、地元渋谷を中心とした美しいまちづくりや環境負荷の少ない製品の開発、SDGs活動支援金を各団体に寄付して報告、などの取り組みを進めています。

まとめ

SDGsの17のゴールは、いずれも持続可能な社会を目指す活動です。

人々を巻き込む力を持つスポーツ分野でSDGsの取り組みが広がることで、SDGsへの貢献意識が盛り上がり、SDGsが国民を巻き込む大きな活動になることが期待されます。

( TOP写真提供 = ojantos / Shutterstock.com)


《参考記事一覧》

JAPAN SDGs ACTION PLATFORM (外務省)

【対談】スポーツの力で社会変革のムーブメントを。社会的に持続可能なスポーツイベントとは【未来メディアカフェVol.22に向けて】(2030SDGsで変える)

インパクト投資とは (GSG国内諮問委員会)

ABOUT US 活動概要 (B.LEAGUE Hope)

【プロバスケ×SDGs】チーム独自の推進活動「DIME GREEN SDGs」新設のお知らせ(PR TIMES)

最近話題の「SDGs」「ESG投資」とは?SDGsとESGの関係や違いも解説(HEDGE GUIDE)

 
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