主に中年層に人気の高かったゴルフですが、いま、その人気は若者に及んでいます。
本記事では、若者プレーヤー増加の真相を探るとともに、新規プレーヤーを集めたゴルフ業界の今後の課題について解説します。
ゴルフ業界における新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの拡大に伴い、さまざまな分野に影響が及んでいますが、ゴルフ業界もその1つ。
ゴルフ業界における新型コロナウイルスの影響として
- プレーヤーの増加
- ゴルフ用品の生産が追いつかない
ということが挙げられます。
1つずつ、分かりやすく見ていきましょう。
プレーヤーが増加し、ゴルフ用品の売り上げの大幅増加
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ゴルフ人気が急上昇しています。
その理由として、広大な屋外でプレーができることと、感染リスクが低いことが挙げられ、新たにゴルフを始める若者も増えてきているのです。
2020年のゴルフ場予約数は過去最高を記録。人気上昇が伺えます。
また、これに伴い、ゴルフ用品の売上も大幅に伸びています。
松坂屋名古屋店では、全体の販売数は落ち込んでいる中、ゴルフ用品の売り上げは増加。購入者の年代は若者が多く、2020年6月と2021年1月とを比べると、20代が41%、30代が23%増加しているとされています。
ゴルフ用品の生産が追いつかない
ゴルフブームでゴルフ用品の需要が高まる一方で、生産が追いつかないという状況が発生しています。
その原因として、コロナ禍で工場が一時閉鎖に陥ったり、人員削減などにより、ゴルフ用品の生産能力が落ち込んでしまったことなどが挙げられます。
いつ製品が納期されるのかもわからないということから、プレーヤーたちへの影響が懸念されています。
若手プレーヤー急増の真相
2020年6月時点のゴルフ場予約サイトの会員構成を見ると、20代の割合は5.6%、30代は16.0%。また、40代は28.6%、50代は26.2%となっています。
このことから、ゴルフは依然として中年層に人気が高いことが伺えます。
しかし、総務省の世帯主の世代別ゴルフプレー代を見ると、前年と比べて50代、60代、70代の支出が減少しているにも関わらず、20〜30代のゴルフプレーの支出は大幅に増加。この要因として、リモートワークで運動不足を懸念する若者が増え、室内でトレーニングをするジムではなく、3密を回避できるゴルフに注目が集まったということが挙げられます。
ゴルフ業界の今後の課題
ゴルフ業界は今、多くの新規プレーヤーを獲得していますが、既存プレーヤーを常連プレーヤーにすること、そのためのマーケティングを行なうことが求められています。
既存プレーヤーを常連プレーヤーにする
既存プレーヤーから新規プレーヤーを増やすには、まず既存プレーヤーを常連プレーヤーにしなければなりません。
既存のプレーヤーに対する取り組みとして、ゴルフのモチベーションを高めるということが挙げられます。
その1つの手段となるのが、ゴルフ検定の実施です。
ゴルフ検定に合格した人に対して練習場やコースの割引、技術取得のためのサポートが受けられるなどの特典を設けることによって、既存プレーヤーの獲得につながるでしょう。
また、既存プレーヤーのモチベーションを高めて常連とするための取り組みは、結果として新規プレーヤーの招致に役に立ちます。
新規プレーヤーをサポートする
いくらモチベーションを高めても、そのハードルが高すぎると、継続するのは難しいもの。したがって、新規プレーヤーをサポートする仕組みも必要となります。
そのために有効なのが、しっかりと教える仕組みと、サポートする機会を作ること。
教えるプログラムの例として、ティーチングプロのプログラムをシステム化し、安定したティーチングができるようにすることなどがあります。
ティーチングプロを増やせば、様々なゴルフ場にレッスンプロを派遣することが可能となります。そのための取り組みとして、ティーチングプロの評価や報酬制度を整備し、ティーチングプロとして生活できるようにする活動が行われています。
また、練習場やスクール、レッスンサービスを増やすことで、既存プレーヤーだけでなく新規プレーヤーが参加しやすい仕組み作りが進められています。
既存プレーヤーと新規プレーヤーが安心してレッスンを受けられるシステムが徐々に作られているといえるでしょう。
コロナ禍で獲得した新規プレーヤーに継続的にプレーしてもらうためにゴルフ業界がすべきこと
コロナ禍で、多くの若者を獲得したゴルフ業界。
今後も継続してプレーしてもらうために、デジタル技術を活用することが有効な手段としてが得られます。
マーケティングの世界でも、今やデジタルの利用は欠かせないもの。ゴルフ界のマーケティングにもデジタルマーケティングが導入されています。
会員のデータを集め、分析する
マーケティングには、会員のデータを集め、分析することが欠かせません。
ゴルフ場などが集めている会員データとして、
- ゴルフ場に来場した日付や回数
- ゴルフ場で購入した商品情報
- スコア情報
などがありますが、こうした情報は、多くのゴルファーから必要とされるゴルフ場にするために日々活用されています。
レッスンにデジタル技術を導入
収集した会員データはサービスに役立てるだけでなく、ユーザーのゴルフ上達に貢献するためのデジタル技術の開発にも役立てられています。
例えば、ゴルフ動画の撮影やスイングの撮影などによって自分のスイングを見直す技術や、3Dセンサーによって、自分のスイングフォームを瞬時にチェックできる機能などによって、自分のスイングの良い点や悪い点を洗い出し、効率的にゴルフの上達ができるようになっているのです。
また、飛距離データやスコアを管理できるスマートフォンアプリなども開発されていますが、これらのユーザー向けのデジタル技術の発展は、施設向けのデジタル技術の発展と同じくらい重要なことといえるでしょう。
まとめ
コロナ禍において、人気の上昇がみられるゴルフ業界。
ゴルフを始めた多くの若者たちに、いかに継続的にプレーしてもらえるかが、ゴルフ業界の今後の大きな課題となるでしょう。
《参考記事一覧》
コロナ下でゴルフ人気拡大 3密回避、新たに若者も(SankeiBiz)
若者ゴルファー激増は本当か?業界各所を総力取材(GEW ゴルフ用品界社)