従来は、マスク姿でスポーツをしている人はほとんどいませんでしたが、コロナ禍で一変。エチケットの意味でもマスクをしてスポーツをすることが一般的になりました。
スポーツ選手は呼吸をしてたくさん酸素を取り込み、パフォーマンスを発揮します。一方、コロナ対策ではウイルスを吸い込まないように注意しなくてはなりません。二律背反する問題をどう解決したらよいのでしょうか。本記事では、用途に合わせたスポーツマスクの選び方などをご紹介しています。
スポーツマスクの選び方
スポーツマスクとは
スポーツ用のマスクです。機能やサイズ、色、デザインなど、昨年の新型コロナ感染症の発生当初は、種類が少なく生産量も少なかったため品薄の状況が続きましたが、その後、多くのメーカーで開発され、機能性や、色、デザインなど、豊富な種類で発売されるようになりました。
特徴としては、着用しながらスポーツをすることを前提として作られているため、息苦しさを軽減してくれるものが多くあります。しかし、残念ながら現時点では医療用レベルまではウイルス予防の効果はなく、マスクとは区別して「フェイスカバー」と呼んでいるものが多いです。スポーツをする際にもマスク着用がエチケットとされる状況では、マスク着用を心がけましょう。
スポーツマスクを選ぶ際のポイント
①酸素を透過し、ウイルスを防ぐ
マスクは何のために装着するかですが、ウイルスの体内への取り込みを防ぎ、また、陽性者がウイルスを他人に感染させないために装着します。
そういう意味では、口や鼻から入り込むウイルスの大きさよりも網目の小さいものが理想です。しかし、医療用のN95マスクを装着しながらスポーツをして亡くなった方がいたように、そのようなマスクですと酸素の吸入が不足することになり、危険です。
酸素の透過は大きいものの、ウイルスの吸入は少ないといった、二律背反する目的を叶えてくれるような理想的な素材が開発されれば、問題は解決できそうです。現時点であれば、医療用のマスクも作っているメーカーの、通気性がよく息がしやすいものを選ぶとよいでしょう。
②動きにフィット
スポーツはどうしても動きを伴うものですので、激しい動きのある種目ほど動きにフィットしてずれないマスクが必要になります。耳掛けタイプのものが多いのですが、ベルトやゴム紐でマスクのずれを防ぐタイプのものもあります。耳掛けタイプですと、長い時間の装着で耳が痛くなるものがありますので気をつけましょう。
③吸湿性
スポーツマスクに限らず、マスクをしていると内側が汗で蒸れますね。特に真夏では、マスクするのも避けたいぐらいの暑さになります。かいた汗を、できるだけ早く吸収して外に出す機能がある素材のマスクが理想です。
④速乾性、抗菌
マスクも汗に濡れたままでは息苦しくなりますし、細菌が繁殖しやすく不潔です。できるだけ早く乾く素材のものが使いやすいです。繰り返し使えるように、簡単に洗えて、乾きやすく、抗菌加工がされている素材のマスクが理想です。
⑤UVカット機能
真夏の炎天下では、紫外線(UV)が多く地表に到達します。曇りの日でもUVの7割は地表に到達するため、屋外でのスポーツにはUVカット効果の高いマスクがおすすめです。
⑥冷感機能、保温機能
暑い夏にひんやりする冷感素材を使ったマスクが人気です。一方、寒い冬などのトレーニング用には、保温機能があったり、吸湿発熱素材を使ったりしたタイプや、ネックウォーマーと一体になったフリース地のマスクもあります。
スポーツマスク着用の際の注意
スポーツマスクを着用する上での注意は、熱中症と呼吸困難です。マスクなしと比べると発汗量は多くなり、気温が暑い中での水分不足で熱中症になりやすいです。マスクをしている保湿効果から、乾きに鈍感になりがちですが、喉に渇きを感じたら水分補給をするなど、マスクをしない時よりこまめな水分補給が必要です。
また、マスクをすることでの酸素不足は明らかですので、屋外でのプレーや、相手プレーヤーと離れて行う競技ではマスクを外したり、比較的通気性のよいマスクに換えたりなど、マスクの使い分けをするとよいでしょう。
くれぐれも自分の身は自分で守る判断を行なってください。
ブランド別スポーツマスク
ナイキ NIKE ベンチュラー
軽量で呼吸しやすい立体3D構造のマスクです。大きめのサイズで口元をすっぽり覆う事ができ、長さ調整と取り外し可能なストラップで、頭にループさせたり、耳にひっかけることもできます。東京五輪ではアメリカ代表選手が白を着用し、話題となりました。保護ケース付き、市販品のカラーはブラックのみで、サイズはXS〜Lの4サイズあります。
アディダス フェイスカバー
通気性に優れ、快適なつけ心地を実現したフェイスカバーです。シンプルにブランドロゴと、アディダスオリジナルのロゴをあしらったものがあります。3色、男女兼用の大人向けサイズです。3枚入り。
ミズノ マウスカバー
水着や陸上ウエアでも使われるストレッチ素材を使用、カラーも24色と豊富で人気商品です。中でも「アイスタッチ」素材を内側に使ったタイプは、熱放出がよく、肌に触れた際の清涼感が夏に最適と評判です。本体はポリエステル・ポリウレタンでできており、単色タイプは9色、プリントタイプは7種類15色、アイスタッチタイプは4色、いずれも3サイズです。また、冬用に吸湿発熱素材「ブレスサーモ」を使ったタイプも3色、3サイズであります。
ヨネックス スポーツフェイスマスク
独自の涼感素材「ベリークール」は、汗に反応して熱を吸収する植物由来のキシリトールを生地に使った素材で、すでに同社のスポーツウエアなどでにも使われている素材を採用したマスクです。表地はポリエステル90%とポリウレタン10%で伸縮性があり、カラーは4色で、サイズは紐で調節ができます。
ザムスト マウスカバー
医療用サポーターメーカーとして45年以上開発・製造してきた日本シグマックスのブランド「ザムスト」のスポーツマスクです。サポーターにも使われている、不織布の10倍もの通気性のある素材のダブルラッセル生地を使用しています。立体構造で息がしやすく、洗濯可能です。2枚入り。
おすすめのマスク
現時点のスポーツマスクとしては、医療用マスクの開発ノウハウがあるメーカーや、独自の研究所で研究されて作られたスポーツマスクがおすすめです。
アンダーアーマーやアシックスの商品がそうですが、それ以外に気になるサムライワークスのナノフィットマスクなどをご紹介します。
アンダーアーマー UAスポーツマスク
2020年3月に医療用マスクを開発、その開発技術でスポーツ用に作られたマスクです。本体はポリエステル100%、フィルター部分は通気性に優れたポリウレタンフォームと立体構造で、運動時も呼吸がしやすく、裏地のアイソチル生地で肌触りも涼しく保てます。UVカット機能や撥水・速乾、抗菌加工もされており、機能性とファッション性で人気です。保護ケース付き、4色、5サイズから選べます。
アシックス アシックスランナーズフェイスカバー
2020年9月に販売開始以来、入手困難ながら通気性と快適性のよさで評判のよいスポーツマスクです。後頭部でゴム紐を止めるのでフィット感が増し、飛沫の拡散を抑えながら息のしやすさも追求したマスクです。アシックススポーツ工学研究所でランニング中の呼吸の量や頻度、飛沫の距離などを研究・分析して開発されました。カラーはネイビーブルーのみ、サイズもLワンサイズです。
サムライワークス ナノフィットマスク
日本製で医療用レベルのナノフィルターを使用しながら、不織布の5倍呼吸がしやすく、伸縮性も高くてフィット感のあるマスクです。速乾性、抗菌効果、UVカットもあり、ナノフィルターも50回以上洗濯しても性能は変わらないとのことです。本体はポリエステル93%、ポリウレタン7%、3色、大人用ワンサイズです。
まとめ
スポーツマスクの選び方から、商品の紹介をしました。マスクをして炎天下にスポーツをすることになるとは一昨年には考えてもいませんでしたが、様変わりしました。記事を参考にして頂き、状況に応じたスポーツマスクの使い分けをされるとよいと思います。
繰り返しますが、スポーツマスクをする上での注意は、熱中症と呼吸困難です。マスクなしと比べると発汗量は多くなり、酸素不足は明らかですので、屋外でのプレーや、相手プレーヤーと離れて行う競技などではマスクを外すなど、自分の身は自分で守る判断を行なってください。
(TOP写真提供 = Victor He / Unsplash.com)
《参考記事一覧》
スポーツメーカー・ブランドのマスクまとめ。運動時も涼しく呼吸しやすい生地素材が特徴 (MELOS)