現在、スポーツビジネスに大きな影響を与えているAI。その有用性から、東京オリンピックでも色々なポイントで使用されることが決定しています。また、将来的には、選手やチーム、試合の未来を予測し、より的確なアドバイスが送れるようになることも予想されているのです。そこで今回は、そんなスポーツビジネスにおけるAIの活躍を紹介します。これを読むだけでAIとスポーツビジネスの関連が少しでも分かれば幸いです。
スポーツ業界がAI導入する理由は?
現在、スポーツ業界のみならず、さまざまな業界がAIを取り入れています。そして、スポーツ業界では、色々なところでAIを取り入れる動きが活発化しているのです。
なぜ、スポーツ業界がこぞってAIを導入しているのか。そこには2つの理由が存在しています。その2つの理由とは、マーケティングと選手の強化です。
AIは名コーチになる可能性がある!?
AIによる選手強化は、色々な競技、チームが取り入れています。また、選手専用のアプリを作成し、過去の対戦データや画像を保存することで、いつでもどこでも研究できるシステムを導入しているところもあるほどです。
また、陸上の世界では、細かいコーチングのみならずどの競技、スポーツに向いているかを身体的特徴から導き出し、個々の能力に適合した競技ができるようにしようという動きもあります。
どの競技を子供にやらせるかは親が決定権を握っている場合が多い、というのが現状です。しかし、子供の特徴にピッタリはまったスポーツが小さいうちから分かれば、やるべきスポーツを判断でき、才能を伸ばすことができるでしょう。
野球界では、ポジションは勘と経験で決めているが…
現在の球界では、ポジション、打順、投手起用はコーチや監督が人間の目線で行っている場合が多いです。
しかし、AIによるコーチングができるようになれば、その試合によって適した打順やポジショニングが可能になり、成功体験を収めることでより選手の実力や自信を引き出すことができます。
また、実際の教育的場面でも、コーチが手取り足取り教えるのではなく、AIコーチのデータを使用し、自分で考えてやってみるという練習方法が可能になるのです。
AI野球って何?試合終了までに決着がつく!?
昔、野村克也氏が行ったことでその名が世間に広がった「ID野球」
しかし現在では、ID野球よりもコンピュータを駆使し、試合を支配するAI野球というのがプロ野球の世界に広がっているのです。
一足先にAI野球を取り入れたソフトバンクホークス
パ・リーグの強豪「福岡ソフトバンクホークス」は、どの球団よりも先にAI野球を導入しました。先述した、選手専用のアプリの開発も、ホークスの実践例です。
投手のアプリでは、自分が投げた投球データが即時に分かるようになっています。回転数まで判明するので、投手とコーチは色んな対策を練ることが可能なのです。さらに、タブレットによって相手打者を徹底研究し、バッテリーの攻め方の参考にできるので、試合を有利に運べます。
この戦略を可能にしているのが、ヤフードームに設置された15台のカメラです。常に試合を記録し、データ化することで、緻密な分析ができているのです。
野球に「投了」が認められる日が来るかもしれない
AIは、さまざまな不確定要素から、最適解を導いてくれます。そのため、AIが発展し続け、精度の高いAIが開発されれば、評価値によって試合の有利不利が判断できるようになるかもしれません。そうなると、試合の途中降参もあり得るかもしれませんね。
現にホークスでは、作戦を立ててくれるAIを開発中だとか。
野球はいろんな選手がチームにいて、起用、道具、きっかけなどによってプレーが結果に影響します。
なので、試合を分析するためにはビッグデータとよばれる膨大な量の情報が必要なのです。
こうした情報を正確に分析できるシステムが開発されれば、あとはデータだけ更新し続けることで、レベルの高い分析が可能になり、そのサイクルでどんどんと進化し続けていきます。
AIの精度が高まり、評価値まで登場してくれば、それらを基準に試合を運び、どうしても逆転不可能になったら降参できるようになるかもしれません。
2020年の東京オリンピックでも活躍する可能性のあるスポーツビジネスにおけるAI
ここまでは、現場の選手に関するAIの活躍を見てきました。ここからは、2020年の東京オリンピックにまつわる事柄を中心に、スポーツビジネスに関するAIのエピソードを見ていきましょう。
東京オリンピックではAIが活躍するとすでにいわれている
2020年に開催される東京オリンピック。かねてから、AIの活躍の場がたくさんあるといわれています。
最初にAIが活躍する場として、観光案内が話題になりました。しかし、競技の採点や渋雑緩和にも大いに役立つことが予想されているのです。
AIによる採点システム
競技でもっとも問題が起こるのが、採点競技です。現在ではVTRによる判定が行われるようになっていますが、審判の好みやカメラの角度によって採点に差が出ているのも事実です。
そこで、AI判定を導入することになりました。今回、導入されるのが、富士通が開発した「3D センシング」によって採点するAIです。3Dによって正確に動きを把握して、技を判断。人間の目で行うアナログ判定よりも正確、かつ迅速に採点が可能なのです。
選手にとっても、こういったAI採点はメリットが大きく、採点基準が明確化していれば、採点基準へ向けたトレーニングができるので、より効率的に技術を磨けます。
さらに、観客にとっても得点理由が明確化することで、競技がよりわかりやすくなり、今よりもっと楽しめるようになると予想されています。
混雑の緩和
東京オリンピックで問題になっているのが、混雑です。東京では、さまざまなイベントの際に混雑しているので、オリンピックとなれば混雑が激しくなることは安易に予想できます。
そこで登場するのが混雑緩和型AIです。このAIは、膨大なデータから30分後の混雑状況を予測し、発信します。
こうすることで、自然と渋滞の少ない方へ車を誘導できるようになります。その結果、混雑が緩和されるというわけです。
現在、必要になるデータを取得しています。果たしてAIは東京オリンピックの渋滞をどの程度緩和することができるのでしょうか。注目しましょう。
選手を守る!ケガをする前兆も予測できるAIの能力!
AIによるコーチングは、選手の強化や試合の戦略だけにとどまりません。選手のケガを前もって予測し、選手を守ることにも使えそうなのです。
実現のためには膨大なデータが必要
AIによるケガ予測。確かに可能ですが、現状難しいといわざるを得ません。選手のその日の状態はもちろんのこと、これまでの履歴や、メンタル状態など様々なデータの収集が必要なためです。
また、これらの判断はデータが多ければ精度が高い判定がなされますが、逆にデータが少ない新人や若手アスリートに関しては使用が難しいのです。
将来的につかえれば選手生命をさらに長くできる
怪我の前兆を予測できるAI機能がもし実現すれば、選手生命をもっと延ばせるようになるでしょう。
また、どのタイミングで辞めることが適切かという判断が可能になることで、選手の大きな励みになると予想されます。
引退するタイミングが判明すれば、その後のキャリアプランを考えておくこともできるからです。
いずれにしても、的確な練習と、ケガ防止、そして引退年齢をAIによって知ることで、選手生命はこれからどんどん長くなっていくことでしょう。
まとめ
スポーツという業界では、特に競技面においてAIの使用はまだまだ広がってはいません。
しかし、その中でも、AIを活用し選手を強化、成績を残しているチームもあるのです。
また、スポーツビジネスに目を向ければ、さまざまなポイントでデジタル技術が使われています。
そして、こうした動きは今後活発化していくことが予測されます。
スポーツ界におけるAIの発展に注目することは、これからのスポーツ界を知る上で欠かせないことなのは間違いないのです。
これからのスポーツビジネス×AIの活躍に注目し、期待していきたいと思います。
参考記事一覧
AIはコーチングが得意?!為末大氏がみるAIとスポーツの可能性(IBM)