バスケットボールの反則ルール、トラベリングについて考えてみよう~意味と反則の内容、トラベリングを起こす場面と回避策について

「トラベリング」とは、バスケットボールの反則の1つ。バスケットボールをしている人はもちろん、観ていて耳にしたことがあるという方も少なくないでしょう。本記事では、トラベリングの概要をはじめ、とられやすい場面や回避する方法などについて、ポイントを紹介します。また、新しく設けられたルール「ゼロステップ」とは何かについても、分かりやすく解説します。

バスケのトラベリングの意味とは?

トラベリングの意味

そもそも「トラベリング」とはどういう意味でしょうか? 「トラベル」は「旅行する」を真っ先に思い浮かべる方が多いでしょうが、オックスフォード英英辞典によると第一の意味には、「ある場所から他の場所へ行く、移動する」という意味があります。また、「ーイング」と進行形であることから、止まっているのではなく、動きがある言葉であることが分かります。

バスケットボールでのトラベリング

バスケットボールでは、ボールを持って何歩でも歩いてよいとすると、バスケットではなくラグビーのような種目になってしまいます。とはいえ、一歩も動けないとなると、つながりが無く動きが少ないプレーになりますので、バスケットボールのルールでは、ボールを持って移動してよい範囲(歩数)を2歩に定めています。ただし、ピボットという動きを使い、片足を軸足(ピボットフット)にして動かさなければ、もう片方の足は自由に動かすことができます。

反則になるか否かのポイント

そこで、トラベリングの反則になるかならないかのポイントとなるのは、軸足が動いてしまうか否か、または歩数の数え方になります。

基本的な例として、味方からパスをもらった場合を考えてみます。最初に左足を踏み出したら左足が軸足となり1歩目となります。次に右足を出すと2歩目となり、そこまでは反則になりません。

その後に、①1歩目の左足が動いてしまった、または、②3歩目として左足を踏み出してしまった、のような時には反則になります。

特にシュートの際のステップで反則を取られると、得点にならないので、試合においても大きな差になってしまいます。

新ルール「ゼロステップ」について

トラベリングの反則には、「ゼロステップ」という考え方が取り入れられました。「ゼロステップ」とは、足が設置した状態でボールをもらった場合は、「0歩目」となる、または、ドリブルをしてシュートに向かう際にドリブルを止めた時のステップは1歩目とせず「0歩目」とするということです。とはいえ、ゼロステップは全く新しい概念ではなく、今まで曖昧であったステップの考え方をはっきりさせるために定められたと言えるでしょう。

このことにより、ゼロステップをマスターすることで、従来よりも1歩多く使えるため、ユーロステップやギャロップステップといったプレーを行いやすくなりました。

ユーロステップ(ジノビリステップ)とは

ユーロステップとは、アメリカの選手たちの圧倒的な身体能力に対抗するために生まれました。技術的には、相手ディフェンスをかわすことを目的に使われ、ボールを持った後に、左・右、または右・左にステップを踏むプレーです。

このユーロステップはアルゼンチン出身のマヌ・ジノビリ選手が、キャリア当初はイタリアリーグに所属してこのステップを使っていたことから「ユーロステップ」や「ジノビリステップ」とも呼ばれるようになりました。過去の彼の動画を観てみると、ゴール下でのステップは変幻自在、観ていて楽しくなってきます。

ギャロップステップとは

ギャロップステップとは、ジャンプをしながら相手をかわすステップで、ぴょん・ぴょんと2回連続まで両足着地が可能となります。名前の由来は馬術の走法からと言われています。

動きながらのプレーで、着地が両足であれば2回両足ジャンプのプレーもトラベリングの反則にはなりません。ただし、着地が両足でないとトラベリングを取られますので注意が必要です。

トラベリングが起こりやすい4つの場面

写真提供 = Gene Gallin / Unsplash.com

ここでは、トラベリングが起こりやすい主な場面について4つを紹介します。いずれもバスケットボールという競技ならではで、相手がいるスポーツであることから起こる①④、攻守が交代するようなスピーディーな場面で起こる②、特殊なステップから来る③があります。

①ディフェンスがプレッシャーをかけてくる場面

バスケットボールは相手のいるスポーツですので、自分勝手にプレーすることができません。相手がどこにいるのか分からずプレーしていると、ディフェンスが立ちふさがりドリブルできず、反則になるケースがあります。

また、2人以上のディフェンスに囲まれプレッシャーをかけられた場合も、パス先が見えず足が動いてトラベリングになってしまうこともあります。

②ボールを突き出す瞬間

ボールをドリブルで突き出す前に、軸足が先に動いてしまう場面でトラベリングの反則を受けるケースがあります。このケースでのトラベリングがよく起こることを審判も知っているので、特に足の動きを見ています。また、ドリブルのつき始めはオフェンス側も急いでいるので、先に足が動いてしまうことで起こります。

③ギャロップステップを行う場面

ギャロップステップは、ステップの特徴から、片足もしくは両足でジャンプして両足で着地します。着地後は足を動かすことはできません。足が動いてしまってトラベリングを取られるケースがあります。

④ルーズボールに飛び込んで床に寝ている場面

ルーズボールとは、ボールが転がり誰のボールでもない状態を呼び、頭から飛び込んで取りに行くことが多いです。確保したボールを味方に渡すのはよいのですが、ボールを持って転がるか、立ち上がるとトラベリングになります。

トラベリングを回避する方法は?

例としてあげました、トラベリングを取られることの多い4場面において、回避するためにはどうすればよいでしょうか?回避するための方法として以下のコツがありますので、覚えておきましょう。

①ディフェンスをよく見る

自分勝手のプレーでは相手ディフェンスの動きがよく見えません。ボールをもらう前にディフェンスの状況をあらかじめ把握しておくことが、回避のコツです。さらに、次の動きまで考えておくとスピーディーな攻撃につながるでしょう。また、相手に囲まれた場合には、頑張ってピボットを使って味方へのパス先を探しましょう。

②ドリブルを先につく

足よりも先にボールをつくことで、ドリブルのつき出す瞬間に取られるトラベリングの反則は回避できるでしょう。これは日頃からの習慣にするとよいでしょう。

③着地した後のプレーを考えておく

ギャロップステップでのトラベリングの反則は、着地した後に足が動いてしまうことから起こります。着地後はシュートか、パスしかできないので、ギャロップステップをする際には、その後のプレーをあらかじめ考えておきましょう。

④ルーズボールの処理では、ボールをつかんで相手に渡さない

ルーズボールの処理でトラベリングを取られる原因は、ボールを持って床を転がったり、味方がいないので持ったまま立ち上がったりすることで起こります。ボールをつかんだ際に味方が周りにいない場合には、とりあえずボールをつかんでキープしましょう。

まとめ

バスケットボールのルールにあるトラベリングについて、意味と反則の内容、トラベリングが起こりやすい4つの場面と、回避するための4つのコツについて説明しました。

「ゼロステップ」の考え方については、「ゼロステップ」は審判の判断で反則に取られるおそれがあるため、今まで通りのステップを維持し、試合では使わないほうがよい、という意見もありますが、より幅の広いプレーができる可能性が広がることでもありますので、正しく理解して練習し、取り入れていきましょう。

(TOP写真提供 = Markus Spiske / Unsplash.com)


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