日本のスポーツ産業は、東京オリンピック・パラリンピック開催をきっかけに、2025年には、2012年の約3倍の約15兆円の市場規模になると予想されている成長産業です。但し、このスポーツ産業活性化は施設や設備等の建築・改修業を軸に考えられており、新しいビジネスの創造などには十分生かされていないというのが現状です。スポーツとIT分野との融合のスポーツテックの分野に徐々に成功例が見られるように、アイディアと行動力次第では、新たなビジネスチャンスを生かせる将来性がある産業といえるでしょう。
そこで、スポーツビジネスをこれから仕事としようと考えている方や、現在関わっていて新たなヒントを得たいと思っている方に、スポーツビジネスに関する書籍を10冊選んでみました。教科書、入門書から実用書まで幅広く選びましたのでそれぞれ解説します。
スポーツビジネス 最強の教科書
『スポーツビジネス 最強の教科書』(平田竹夫著/東洋経済新報社)
「スポーツビジネス 最強の教科書」は、スポーツビジネスの全体像を学ぶのに最適な本です。著者の平田竹夫氏は、元通産官僚でスポーツビジネス拡大を検討。Jリーグ発足にも関わっており、この業界では著名な人物です。スポーツのビジネスモデルや、海外の様々なプロスポーツやスポーツリーグの豊富な事例、メディアやスポンサー、用具メーカー、スタジアム運営まで、スポーツに関わる事業者の事業ごとの解説もあり、入門書としておすすめの1冊です。
スポーツビジネスの教科書 常識の超え方
『スポーツビジネスの教科書 常識の超え方』(池田純著/文藝春秋)
「スポーツビジネスの教科書 常識の超え方」は、DeNAの経営参入を機に、史上最年少35歳の球団社長が、5年間で来場者数を増やし黒字化、再生させた極意をまとめたものです。著者の池田純氏は、商社、広告代理店を経てDeNAに入社、斬新な様々な施策で「やれば、できる。」を実践しました。スポーツビジネスを学ぶ好例で、すべてのビジネスに通じる経営上のヒントもあります。
稼ぐがすべて Bリーグこそ最強のビジネスモデルである
『稼ぐがすべて Bリーグこそ最強のビジネスモデルである』(葦原一正著/あさ出版)
バスケットボールのBリーグは、トップリーグが乱立し混乱している中、サッカーJリーグで初代チェアマンを務めた川淵三郎氏がリーダーシップを取り、作業チームを立ち上げ、Jリーグでの実体験やノウハウを用いつつ、周りを巻き込みデジタルマーケティング等を活用し改革が進められました。「稼ぐがすべて Bリーグこそ最強のビジネスモデルである」はBリーグを立ち上げた記録でありながら、スポーツビジネスを学ぶ上で重要なヒントも得ることができます。
MLSから学ぶスポーツマネジメント
『MLSから学ぶスポーツマネジメント』(中村武彦著/東洋館出版社)
アメリカの4大スポーツといえば野球、アメリカンフットボール、バスケットボール、アイスホッケーですが、「MLSから学ぶスポーツマネジメント」では、現在勢いがあり、アメリカとカナダのプロサッカーリーグである、メジャーリーグサッカー(MLS)の成長のノウハウについて学ぶことができます。4大スポーツに学びつつ、国に根付いていなかったサッカーというスポーツを如何に成長させたか、日本人として初めてMLSに勤務した著者が舞台裏を解説しています。
スポーツの経済学
「スポーツの経済学」の著者である小林至氏は、東大卒でロッテマリーンズにプロ野球選手として入団、のちにソフトバンクホークスの球団経営でも実績を残した人物です。この本では、オリンピックやサッカーFIFAワールドカップ、NPBとMLB、北米プロスポーツリーグ、大学スポーツ、欧州サッカーのそれぞれの経済学について実例と統計を分析し、欧米のスポーツビジネスに大きく後れを取っている日本の現状と原因を論じています。また、著者の多彩な観点から、日本でのスポーツビジネスは今後最も成長が期待できる有望市場であると述べ、スポーツビジネスを成功させるためのヒントを示しています。
スポーツビジネスを知るための基礎知識
『スポーツビジネスを知るための基礎知識』(浦久保和哉著/文眞堂)
「スポーツビジネスを知るための基礎知識」は、これからスポーツビジネスに関わろうとする方が知りたい事柄が14章に分けて解説された入門書です。第1章「スポーツマネジメントとは」、第2章「日本のスポーツをとりまく環境」から始まり、スポーツビジネスについて、スポーツマネジメントの基本と実際、スポーツマーケティング、スポーツ施設のマネジメント、会計と財務の基本、スポンサーやライセンス、放映権の問題等、項目別にわかりやすくまとめられています。
変わる!日本のスポーツビジネス
「変わる!日本のスポーツビジネス」は、「変わる」をキーワードに、日本のスポーツ界が近い将来どうなっていくか?という疑問に答えようという内容となっている本です。プロスポーツだけでなく、学校スポーツや大学スポーツ等のアマチュアスポーツにもビジネスの視点を持って運営して行くことが大切と捉え、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、スポーツで社会問題を解決してゆくヒントが得られます。
図表で見るスポーツビジネス
『図表で見るスポーツビジネス』(佐野昌行・黒田次郎・遠藤利文著/そうぶんしゃ)
スポーツ産業は、トップレベルのプロスポーツを頂点としつつ、ジュニアやシニアなど幅広い年齢層のスポーツ愛好者を対象としていますが、「図表で見るスポーツビジネス」は豊富な図表を使い、6章にわたってスポーツ産業の概要から、指導、施設・設備・用品、医療・コンディショニング、プロスポーツ、イベントと旅行の各分野を解説し、スポーツ産業で活躍するための手引書となっています。
究極の“コト消費”であるスポーツビジネス 成功のシナリオ
『究極の“コト消費”であるスポーツビジネス 成功のシナリオ』(久保田圭一著/日経BP)
「究極の“コト消費”であるスポーツビジネス 成功のシナリオ」は、コンサルティング会社が専門家の観点からスポーツビジネスについて解説した本です。まず全体のスポーツビジネス市場について概観し、スポーツビジネスを行う当事者たちが抱える課題を分析、新規ビジネスを創出するための方法を解説します。またスポーツビジネスの拡大に向けて、データ活用による新たな価値創造や、最新テクノロジーとの融合によるスポーツ市場の将来性について論じています。
プロスポーツビジネス 私たちの成功事例
『プロスポーツビジネス 私たちの成功事例』(東邦出版著/東邦出版)
「プロスポーツビジネス 私たちの成功事例」は、スポーツビジネスに携わる各業界トップランナー9名が成功事例や仕事論を語る1冊です。スポーツに関するマーケティング、データ分析、施設、ビジネスモデル変革、旅行、クラブ運営、ブランド戦略、アジアマーケティング戦略、メディアのそれぞれの分野において、どうスポーツビジネスを捉え、成功したかという事例から、将来へのヒントが得られるでしょう。
まとめ
スポーツビジネスに関する書籍を10冊紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
日本のスポーツ産業は、東京オリンピック・パラリンピック開催を起爆剤に、従来の施設や設備投資だけでなく、放映権やIT産業との融合によって大きく将来性が期待できる産業です。
今回紹介した書籍からヒントを得て、将来性あるスポーツビジネスの新たな分野を切り開いて行ってください。
(TOP写真提供 = Thampapon / Shutterstock.com)
《参考記事一覧》
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