スポーツビジネスには、必ずといってよいほどついて回るのがスポンサーです。
そして、このスポンサーを獲得するのがスポーツビジネスを成功させるポイントであるともいえます。
2025年にはスポーツビジネスを15兆円規模の産業にしようという目標に向けて動いている今、スポーツ業界の拡大に伴って、さまざまな企業が参入してきています。
スポンサーになることによってどのようなメリットがあるのか、スポーツビジネスの分野では、どういう取り組みが見られるのかについて、分かりやすく紹介します。
スポンサーがスポンサーになることによるメリットは?
企業がスポンサーになるメリットはさまざまです。
ここからは、代表的なメリットを紹介します。
会社の認知度アップ
ピッチやスタジアムの看板、ユニフォームロゴなど観客が多い場所に多く記載することで、会社の認知度アップが期待できます。
そのため、社名変更をした企業や、設立して日が浅い企業など、会社の名前をもっと広めたいという企業が、スポンサーになるケースが多くあります。
こういった企業を相手にする場合は、テレビやネットなどのCMとの競合が発生しやすくなります。
人気のある競技でないと、なかなか契約に結びつくのが難しいパターンもあるでしょう。
企業イメージの向上
企業がスポンサーになる理由の1つにイメージアップがあります。
スポーツ選手が懸命にプレーする姿が企業イメージと組み合わさることで、企業のイメージ向上を狙うことができます。
対象チームの成績や活動が良好な場合、お互いにとって良い関係を結ぶことができますが、選手の素行によってトラブルが起きたり、契約違反の行為をすることによって契約取り消しになることもあります。
また、チームが負け続けてしまう場合、勝敗以外の価値を見出すことができなければスポンサーが去ってしまうこともあるようです。
地域とのつながりができる
地元チームや出身選手が活躍すれば、地域に注目が集まります。
地域に注目が集まると、地域や地域の経済が活発化し、需要が高まります。
その結果、地元の企業が活性化し、企業イメージが良くなるという変化も期待できます。
そこで、地域と密着している企業は、地域の活性化という希望をチームや選手に託しているのです。
スポーツビジネス市場の目標は2025年に15兆円
スポーツ庁は、2025年までにスポーツビジネスの市場規模を15兆円にするという目標を設定しています。
この15兆円を達成するためには何が必要なのか、そして、現状はどうなっているのか解説します。
2012年における市場規模は5.5兆円
2012年のスポーツ市場規模は5.5兆円でした。
つまり、2012年からの13年間で市場規模が3倍になるということを目標にしているのです。
10兆円規模の拡大ですから、大規模な改革が必要となるでしょう。
スポーツビジネス市場の割合
そもそも、スポーツビジネス市場はどのような形で儲けているのでしょうか。
2012年の5.5兆円の内訳を見てみると
・小売業:1.7兆円
・スポーツ施設:2.1兆円
・興行・放送:1.7兆円
という内訳です。
この数字を15兆円にするために、以下のような規模拡大の目標が立てられています。
・スタジアム、アリーナ:3.8兆円
・アマチュアスポーツ:0.3兆円
・プロスポーツ:1.1兆円
・周辺産業:4.9兆円
・IOT事業:1.1兆円
・スポーツ用品:3.9兆円
つまり、既存のスポーツ産業の規模を拡大し、分散化することで目標を達成しようというものです。
2020年にはオリンピックが開催されるなど、スポーツ市場規模の拡大は期待されていますが、市場規模の拡大には、もっと根本的な改革が必要となるようです。
50兆円規模を誇るアメリカを目指すのか
アメリカのスポーツ市場は50兆円という規模の大きさを誇っています。
なぜ、ここまでの差が生まれるかと言うと、学生スポーツの規模が影響されているのです。
例をあげると、大学アメフトは年間5000万人、バスケは3200万人もの観戦者を集めるなど、日本のプロ野球の2500万人を大きく上回っているといえるのです。
アメリカでは、大学アメフトやバスケ以外のスポーツも人気があり、生活の中に自然とスポーツ観戦が根付いています。
アメリカを参考にするのであれば、日本のスポーツも生活に密着させる必要があるといえるでしょう。
スポーツビジネスはITにより変化
スポーツビジネスはITの活用によって変化しています。
ここからは、活用されているITについて紹介します。
T2PACの取り組み
マイナースポーツは、ネットでの発信をメインとして、改革を起こそうとしています。
卓球のT2PACでは、卓球のプロリーグ化をすすめることで、メジャースポーツ化を狙っているのです。
世界各国から24人のトッププレーヤーを集め、4チームに分けて、半年間で228試合を行っています。
そして、このT2PACはネットでの視聴をメインとしており、youtubeliveなどで配信されているのです。
卓球などの競技はテレビでの中継がなかなかされてこなかったジャンルであり、ネットを利用することで、規模を拡大しようとしています。
スポーツ中継の大手ダゾーン
ダゾーンは、現在、さまざまなスポーツの生配信や見逃し配信を行っています。
スマホやパソコンでスポーツを観戦する方は、ダゾーンという名前を1度は耳にしたことがあるでしょう。
ダゾーンは、2016年、Jリーグと独占契約を結びました。
これによって、今まで試合を見るためには衛星放送と契約し、時間をかけなければ見られなかったJリーグが、簡単に見られるようになったんです。
まさに、「今みたいスポーツをすぐ見ることができる」というネット中継の強みを存分に活かしたビジネスモデルといえるでしょう。
イエニスタとトーレスがJリーグに参戦したのも、こういった環境の変化が大きく影響しているともいわれています。
スポーツに関するいろんな情報を検索できるサービスが充実
スポーツを楽しむ方々にとって、いろいろな情報を検索できるサービスが充実しています。
たとえば、スポーツカレンダーアプリの「スポカレ」は、スポーツの予定情報に限定したカレンダーアプリです。
話題の選手や人気競技などの日程情報も配信しているので、見逃しを防止するのにも効果的とされています。
オリンピックに向けて、新しいスポーツ観戦のスタイルを実感できることでしょう。
求められている人材とは?
スポーツ業界の企業で求められる人材像は、次のとおりです。
向上心のある人
まずは、向上心のある人が求められています。
向上心を持ち、自分の能力を高めようとする人は、周囲からの信頼を得やすい人であるともいえます。
そういった人材は、社内の信頼を得てチームワークを良くするだけでなく、取引先にも信頼されるのです。
ビジネス感覚のある人材
世の中は常に変化しています。
その変化に影響されすぎた場合良いビジネスは出来ませんが、その一方で、対応しなければ取り残されてしまいます。
大事なのは、うまく対応するためのバランスです。
世の中の流れを察知し、うまく対応することができるビジネス感覚に優れた人材が求められています。
新しいアイディアを生み出す人
新しいアイディアを生み出すことも、スポーツビジネスに必要な要素であるといえます。
初めての事業を立ち上げる意欲やアイディアを持っている人材は、ビジネスの新しい可能性を広げるにふさわしい人材であるといえるでしょう。
スポーツビジネスの分野における企業の取り組み
ここからは、スポーツビジネスの分野における企業の取り組みついて、見ていきましょう。
JTB
旅行会社で有名なJTBは、スポーツ・エンターテイメント事業にも力を入れています。
具体的な事業内容は、スポーツマーケティングや企業運動会、自治体主催スポーツイベントやチケットシステムなどです。
スポーツを通して、人々の身体の健康を促進しようという願いがあるようです。
データ事業で一歩抜け出すNTT
NTTのスポーツ事業では、データ経営研究所を設け、巨大プロジェクトを発足しました。
その根幹にあるのは、スポーツ事業の基本要素、「観る」・「支える」・「する」・「創る」という4つのポイントです。
こういったポイントに独自の情報通信網を活かすことで、スポーツビジネスをしています。
楽天
大手ネット企業の楽天は、球団の買収など、スポーツにも力を入れています。
チームの運営だけでなく、会員限定でNBAの試合を生配信するサービスやスポーツ観戦の合間に60秒間のオークションを行なうサービスなど、多角的な事業を展開しています。
スポーツビジネスの変革期
色々な企業がスポーツ業界に参入し、大きなスポーツイベントの開催を控える日本では、スポーツ産業の変革が求められています。
大きな大会などが開催され、世界に向けてサービズを発信する必要が出てきているのです。
こうした流れに取り残されないためには、抜本的な意識改革が必要といえるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
スポーツビジネスには、現在、いろんな企業が参入してきています。
参入企業が多くなるにつれて、サービスも多様化され、競争も激化しています。
市場の拡大にはまだまだ課題がありますが、2025年の目標に少しずつ向かっているのです。
参考記事一覧
スポンサー メリット 企業が期待する7つのこと(スポーツで飯を食う)
15兆円を目指す「スポーツビジネス市場」、未来考察への俯瞰図を見る(ビジネス+IT)
マイナースポーツの常識を打ち破るT2PACの取り組み(スポーツビジネス)