ワールドカップの金メダル|知られざる逸話と技術を紹介!

サッカー界の最高峰の大会とされる、サッカーワールドカップ。優勝したチームにトロフィーが渡されるイメージが強くありますが、トロフィーだけでなく、メダルも渡されることをご存知でしょうか。チームに1つしか授与されないトロフィーと違い、一人ひとりが手にすることができるメダル。

そこで今回は、ワールドカップの金メダルについて

  • 素材は何か?
  • 金メダルに関する逸話とは?
  • 金メダルに隠された工夫とは?

といったポイントから説明します。

ワールドカップ金メダルの素材とは?

Worldcup
FIFA
写真提供 = Edison Veiga / Shutterstock.com

ワールドカップの金メダルの素材が気になる方もいるかもしれませんが、メダルの素材に関して明確な規定はありません。

しかし、ワールドカップのメダルは、オリンピック憲章で定められている基準に準じた原料で作られています。

金100%ではない

ワールドカップの金メダルは、純金100%ではありません。

では、何で作られているのか、というと、前述したとおり、オリンピック憲章で定められている基準に準じた素材を用いているとされています。

オリンピック憲章では、「純度92.5%以上のシルバー製のメダル生地、表面に6g以上の金メッキを施したもの」と定められています。

したがって、ワールドカップのメダルもシルバー製で、金メッキを施してあるものであるといえるでしょう。

オリンピックのメダルの原料を定めた理由は、開催国や地域によって経済的な不利が起こらないようにするためです。つまり、開催国によって粗末なメダルにならないようにしている、ということです。

過去にはこするとはがれるメッキの時も

オリンピック憲章に準じた素材でワールドカップのメダルを作っている、と前述しましたが、過去には、こすると簡単に剥がれてしまう金メッキが施されたメダルであったこともあります。

それは、1960年に韓国で開催されたアジアカップのことです。

自国で開催されたアジアカップで韓国代表は優勝し、実績を残しました。

しかし、その際に授与された金メダルは本物の金ではなく、金色の塗料が塗ってあるものでした。塗り方も雑だったため、コーティングをこすると、簡単に剥がれてしまうほどのものだったとされています。

その大会以来、14回のアジアカップが開催されましたが、韓国は予選敗退やグループ敗退などで優勝を逃し続けています。

「偽メダルの呪い」とも言われましたが、この時に授与されたメダルは、2014年から順次、本物のメダルとの交換が進められています。

なお、メダルを交換した翌年のアジアカップでは準優勝に輝くなど、成績を残しています。

呪いが解けかけているのかもしれません。

このようなエピソードが語られるほど、スポーツの大会においてメダルというのは特別なものなのです。

ワールドカップの金メダルは大会ごとに仕様が異なる

ワールドカップの金メダルは、大会ごとに仕様が異なります。

オリンピック憲章では、メダルのサイズは、直径60ミリ、厚さが3ミリであることとされています。

1位と2位のメダルは、純度が1000分の925以上の銀を素材とし、そこに6グラムの純金でメッキが施されているのが金メダルです。

素材に関しては規定があるものの、メダルの仕様は自由であり、デザインなどは大会を運営する国や地域に委ねられています。

これは、ワールドカップも同じです。

オリンピックでは純金が使われていたことも

1912年のストックホルムオリンピックまでは、純金製の金メダルが配られていました。

しかし、ストックホルム以降、オリンピックで授与される金メダルの素材が純金製ではなくなりました。

その理由は、種目が増えることで、メダルの必要数が増えてしまったためです。

もし仮に、すべての金メダルを純金で作るようにすると、負担する費用が大きくなるため、開催できる国が限られてしまいます。

つまり、開催国選考に不平等が生まれてしまうのです。

オークション出品されたことも

選手や関係者にしか配られないメダル。

貴重なものであり、授与された人は手放さないものと思われますが、そこで大事件が起こりました。

その事件が起こったのは2018年。

1998年のワールドカップで3位に輝いたクロアチアに送られたメダルが、オークションに出品されていたのです。

クロアチアは、1998年の大会で3位に輝いた後も強豪チームとして活躍し、2018年のロシア大会では準優勝しています。

ワールドカップのメダルは世界に30個しかない貴重なもの。

そのメダルが出品されたこと自体、大きな波紋を呼びましたが、不可解なのが出品された理由とされています。

なぜなら、クロアチアでサッカー選手はスターであり、お金に困って出品するとは考えにくいのです。

したがって、オークションに出品されたメダルが盗難品なのではないかとの噂も流れましたが、真相は今も不明です。

2002年日韓ワールドカップのメダルには数字の刻印も

2002年の日韓ワールドカップのメダルには、裏面に細かい2つの刻印が彫られています。

1つは、BERTONIという文字です。

ベルトーニと読みますが、ベルトーニとは、1971年以降、ワールドカップのトロフィーを作っているイタリアの老舗の銀細工師集団です。

高い技術力を誇る職人集団であり、ベルトーニの刻印が入っているということは、最高品質の証明となるのです。

2つ目は、肉眼では確認できない数字ですが、この数字は、本物であることを証明するためのもの。

後で発売されたレプリカや模造品と本物とを識別するために彫られています。

どちらの刻印も、職人ならではの緻密な細工。

高い技術力と職人のこだわりが散りばめられたメダルは、まさに、歴史あるワールドカップにふさわしいといえるでしょう。

まとめ

ワールドカップの金メダルは、純度の高い銀の上に純金でメッキを施したものです。

素材についての明確な基準はありませんが、職人たちが魂を込めてメダルを作っています。

ワールドカップを観戦していると、なかなか目に入らないメダルですが、優勝チームのメダルのデザインに注目してみるのも面白いかもしれません。

(TOP 写真提供 = Fabio Diena / Shutterstock.com)


《参考記事一覧》

THE WORLD CHAMPIONS (THE DOUGOUT)

韓国がアジアカップ優勝できない理由は“偽メダルの呪い”? 58年間タイトル逃す(FOOTBALL CHANEL)

オリンピックの金メダルの素材と価値が意外とすごくない理由は?(Timeshare)

トロフィーの様々な素材と製造法(宮坂徽章)

クロアチア国内騒然、98年W杯3位のメダルがオークションに(AFP)