テレワークが広がり運動不足の方が増える中、筋トレが人気です。ボディメイクには目標があるとよいですね。昔からある競技のボディビル選手権は敷居が高そう、と思う方にはフィジークはいかがでしょうか? フィジークとは何か、競技の内容、フィジークでの体の作り方を紹介します。
フィジークとは?ボディビルとの違いについても解説
フィジークとは?
フィジークは英語の「physique」で、オックスフォード英英辞典では「person’s physical build and muscular development」、訳せば「人の体格と筋肉の発達」。ここでは、ボディコンテストのフィジークについて説明します。
トレーニングの歴史
ここで、トレーニングの歴史について紹介しましょう。肉体あるところにトレーニングありで、肉体トレーニングは人類が生まれてから行われて来ました。紀元前2500年前には、古代エジプト、ヨーロッパ、アジアなどで始まっています。そもそもの目的は兵士の適性を見極めるためと言われており、当時は身近な子牛を担いだり、石を持ち上げたりの鍛錬でしたが、3世紀にはダンベルの原型と言われるハルテレスという器具が発明されています。
ボディビルの歴史
世界初のトレーニング本は、「近代ボディビルの父」と呼ばれるユージン・サンドゥが1894年に著した「サンドゥの体力養成法」です。サンドゥは1889年の怪力コンテストで優勝、1901年にはイギリスのロイヤル・アルバート・ホールで、世界初のボディビルコンテスト「グレート・コンペティション」を主催するなど、ボディビルダーであり実業家でもありました。日本では、サンドゥの著書に感銘を受け、1938年に「怪力法」を著した若木竹丸氏が、日本最初のボディビルダーとされています。1956年にはJBBFが第 1回のボディビルコンテストを開催しています。
フィジークの歴史
日本でもボディビルのコンテストは続けられて来ましたが、「筋肉がムキムキ過ぎる」「ボディビルのビキニパンツを履くのに抵抗がある」との意見があって、若者を中心にボディビルを敬遠する動きがありました。2013年にフィジークの大会がアメリカで始まり、日本でもJBBFやそれらの抵抗感を抑えたマイルドな感覚のボディコンテストの団体が増え始め、今ではフィジークのコンテストブームになっています。
ボディビルとフィジークの違い
同じ体を鍛えるボディビルとフィジークですが、コンテストとしてのボディビルとフィジークの違いを説明しましょう。
①体重
ボディビルは筋肉量が評価されるため体重が重くなります。また、筋肉のカットと呼ばれる筋肉の溝の掘りの迫力が評価基準となります。一方のフィジークは筋肉をつけ過ぎると減点対象になりますので要注意です。
②ウエスト
ボディビルダーはウエストにも筋肉をつけるためウエストが太くなります。一方、フィジーカーはウエストを細くし、胸や背中の筋肉をつけて逆三角形の上半身を強調する体の方が評価が高くなる傾向があります。
③髪型
ボディビルでは髪型は評価の対象にはなりません。一方のフィジークでは髪型も含めて全体のバランスが評価の対象となります。
④表情やポージング
ボディビルよりもフィジークでは、審査員に気に入られるような表情やポージングが大切になります。その際には広い背中の筋肉を見せられるバックポーズが大事で、いかにステージ上のポージングで審査員の方々に好印象を与えられるかがフィジークでは重要です。
⑤衣装
ボディビルではビルパンやブーメランパンツと呼ばれる、覆う面積の狭いパンツを着用します。下半身も評価されますので鍛える必要があります。一方のフィジークではサーフパンツを着用します。下半身は評価されませんが、トータルでの体の印象を良くするためにバランス良い鍛え方が必要になります。また、サーフパンツのデザインも評価の対象になりますので、自分の鍛えた体を美しく見せるデザインを選ぶことが大切になります。
フィジークの評価基準
フィジークの評価基準の主な点は以下の通りです。
- 肩と背中の筋肉の発達による逆三角形(Tシェイプ)がはっきりしていること
- 肩幅は広く、ウエストは細く、比率で2対1(Vシェイプ)
- きれいに割れた腹筋
- バランスや形などのプロポーション(比率)や、髪型、表情、衣装(サーフパンツ)に至るまで、見た目の印象が重視される
- ビーチでかっこいいと言われる体が高評価される
フィジークに出場するためにはどうしたらいいの?
競技にはプロとアマチュアの選手がおり、違いはプロの大会への出場権があるかどうかとスポンサー契約がもらえるかです。まだ日本では認知度は低いフィジークですが、海外では認知度が高く、注目度も高いです。
・フィジークの大会
フィジークの大会は、プロとアマチュアに分かれ、男性と女性に分かれ、さらに年齢と身長によって階級が分かれます。
JBBFの基準で言いますと、男性は、年齢40歳以下と40歳超に分かれ、40歳以下は168センチ以下、172センチ以下、176センチ以下、176センチ超の4階級、40歳超は172センチ以下、172センチ超に分かれます。
一方の女性は、40歳以下のみで158センチ以下、163センチ以下、163センチ超の3階級に分かれます。
オールジャパンは、JBBFが主催する大会で、ドーピングに厳しい大会です。
ベストフィジークジャパンは、BBJという団体が主催する大会で、書類審査、地方大会を経て全国大会に出場します。
・日本のフィジーク団体
日本でのフィジークの団体ではJBBFとFWJ(旧NPCJ)が有名です。
日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)の前身は、1955年に設立された日本ボディビル協会で、1956年に日本で第1回のボディビルコンテストを開催しました。1967年には国際的な大会であるIFBB世界大会に選手を初派遣、1982年に社団法人日本ボディビル連盟に改称、2013年に現名称になりました。2014年からフィジークの大会も開催しています。
FITNESS WORLD JAPAN(FWJ)は2020年 1月にNPCJから改名した団体です。FWJはIFBBプロリーグと提携しており、FWJ主催大会で上位入賞するとIFBBプロになることができます。
他にも、BBJやSSA、NPCなどの団体が大会を開催していますのでチェックしてみてください。
フィジークに求められる理想の体になるには……
フィジークは評価される上でのポイントがボディビルと違います。そのポイントを注意して日々のボディメイクに励みましょう。
・フィジークに求められるボディメイク方法
筋肉を過度につけると減点の対象になります。全体で見てバランス良くかっこいい体が理想です。筋トレで鍛える部位は、胸、肩、背中、腹筋で、一度に鍛えにくいため、部位毎にスケジュールを立てて鍛えましょう。フィジークではサーフパンツを履くこともあって、下半身の筋肉は審査の基準ではありません。ただし、体脂肪率は部分的に下げることはしづらいため、全体のバランスを良くする程度の下半身トレーニングは必須です。
一気に筋肉を増やすバルク期と、筋肉は落とさず脂肪を落とす減量期を繰り返し行うトレーニングを行いますが、減量期には有酸素運動を取り入れたり、HIITという短時間で高負荷のトレーニングを取り入れたりします。脂肪を落とし過ぎるとフィジークでは肌の色つやが悪く貧相になり、減点対象になりかねないので注意しましょう。
・フィジークに求められる食事
通常の筋トレ中の食事と変わりませんが、特に注意する点は、カロリー、タンパク質、脂質のコントロールです。減量期には、摂取カロリーより消費カロリーを増やすことが大切です。筋肉を付けるためには食事で、脂質を少なく、良質なタンパク質の摂取を行いましょう。試合前の半年間は、卵、納豆、ローストビーフ、干し芋、塩分なしのささみ缶などの脂質が少ないタンパク質が中心の食事になります。タンパク質が不足する場合には、食事以外にもプロテインの摂取が必要になります。
まとめ
フィジークについて、フィジークとは、ボディビルの歴史やフィジークの歴史、フィジークとボディビルの違いや、フィジークの大会出場を目指すための注意点などを紹介しました。
まだ、日本では海外に比べると知名度の低いフィジークですが、最近ではフィジークの日本プロ選手も出てきてこれからの競技です。
筋トレに目覚めた方や大会に興味ある方は、それぞれの大会で特徴がありますので、自分に合ったコンテストへの出場を目指してみてはいかがでしょうか。
(TOP写真提供 = Yogendra Singh / Unsplash.com)
《参考記事一覧》
フィジークとは?ボディビルとの違いを競技の観点からも解説 (Activel)