鹿島アントラーズは「サッカーだけにとらわれない」 小泉文明社長が考える、これからのビジネスとフロント人材

2019年のメルカリによる経営権取得後、Jリーグの中でも先進的な取り組みを続ける鹿島アントラーズ。2021年にはクラブ創設から30年の節目を迎え、経営方針である「Vision KA41」のアップデートと今後の事業構想では、「フットボール」以外にも「コミュニティ」「ブランド」「スタジアム」「ドリーム」が重点領域として改めて示された。

これからアントラーズのビジネスが拡大していく中、フロントを中心により多様な人材も必要になる。小泉文明社長にアントラーズのこれからと、いま求めるフロント人材について聞いた。

鹿島アントラーズのモットーは「地元に愛される」

――メルカリがオーナーになって以降、様々な取り組みや改革が行われてきました。現在、クラブが目指すものとは何でしょうか。

第一に、「地元に愛されるチーム」がモットーです。アントラーズはチーム設立からの歴史が長く、地元の応援も熱い。私も幼いころから鹿島アントラーズの試合を観戦してきましたし、Jリーグ開幕当時の世代からその次、そしてまた次へと、親子3世代にわたって試合を観戦していただいているサポーターの方もいます。

これまでにアントラーズが獲得した主要タイトルは20個。「伝統あるサッカーチームが街にある」ということが地元の元気につながっていると、一人のファンとして思っています。

――試合以外の魅力づくりも進められています。

カシマスタジアムでは、試合日の開場時間が3時間前になっています。ファンの方々には出店いただいている地元企業の「食」や「体験」などを試合前から楽しんでいただき、試合以外の時間も含めてスタジアムで過ごしてほしいからです。

他には、「カシマスタジアム夏祭」と題してヨーヨー釣りやわたあめ、射的、スーパーボールすくいといったブースを出したり、「Dear Ladies」と題した女性ファンを意識した企画を行い、選手が「Dear Ladies」企画にあわせてプロデュースした限定タオルの販売や、等身大サイズの選手と一緒に写真を撮影できるフォトスポットを用意するなど特別な体験も提供しました。

カシマスタジアムのある鹿嶋市の人口は約7万人ですが、スタジアムにはコロナ禍以前の平均で約2万人が集まります。県外から来られるようなファンの方々も多くいらっしゃるというのも理由です。

――ファンの方々や地域と向き合っていくと。

昨年発表した事業構想の中でも、5年から10年の長期スパンで新たなスタジアム構想について考えていくと示しました。目指すのは、スタジアムを中心としたまちづくりです。そうすると、ますます社会性を求められる存在になっていきます。

2020年2月には鹿嶋市と、2021年5月には行方市と地方創生事業に関する包括連携協定を締結しました。これは市の様々な課題解決に向けた取り組みを一緒に行うものですが、その中のひとつとして地域の企業や自治体のデジタル化(DX)を進めています。目指すのは、地方のサイズにあったスマートシティです。これからさらにアントラーズをハブにした新たな地域づくりに挑戦しています。

「サッカー以外」のビジネスが増える

――クラブが担う役割が広がると、フロントの仕事も幅広くなりそうです。

クラブの改革を進めていく中で、地域との関わりがより多くなっていくでしょう。私たちは「ノンフットボールビジネス」という言い方をしますが、サッカー以外のさまざまな事業を増やしていきたいと考えています。

会社としては「複合型」の組織になり、関わるステークホルダーも多くなります。つまり、ホームタウンの5市が持つ資源や、パートナー企業が行う事業、そして市民やファン・サポーターなど、クラブがハブとなってつなげることで新たな事業を作っていきたいと思っています。

2020年度からは小学校でプログラミング教育が必須になりましたが、クラブのパートナー企業と組んでホームタウンの小学生を対象にプログラミングの授業を行うという取り組みも行っています。

また、パートナー企業にはクラブやスタジアムを「実験の場」としてもらい、各社が持っている技術や製品をテスト的に試せるようにしており、将来的にパートナー企業がマネタイズができるように進めています。アントラーズはスタジアムの指定管理者でもありますから、その点は強い。こういった数あるチャンスを活かしてビジネスをしたいという方に、ぜひ鹿島アントラーズで働いていただきたいですね。

――現在、鹿島アントラーズではフロント人材を募集中です。

クラブでは現在、マーチャンダイジングの職種を募集しています。アントラーズのブランドやキャラクターを軸とした商品のプロデュースを行っていただきます。また、コーポレートソリューションの職種では、アントラーズの「社内DX」を担当いただきます。

(本インタビュー後、「地域社会連携」担当の募集もオープン。MICEやワーケーションなどのトレンドに沿って、スポーツツーリズム商品の企画・サービス提供を担う。その他にデジタルコミュニケーション、広報PR、経理の求人も)

新しいことに取り組む上では、既存のものごとにとらわれない考えを持って日々業務を行ってほしいですね。「地元に愛されるチーム」ということで基本的には鹿嶋で働いていただきますが、フルフレックスタイム制でも働けますし、社内コミュニケーションはSlackを取り入れてリモートワークができる環境も提供しています。ぜひ鹿島アントラーズというクラブでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

マーチャンダイジングは中核であるフットボールビジネスの収益柱のひとつで、歴史ある「アントラーズブランド」を継承し、発展させられる醍醐味がある。地域社会連携の取り扱うスポーツツーリズムはノンフットボールビジネスの柱のひとつで、プロサッカークラブでは珍しく、新しいモデルが切り拓かれるだろう。そしてこれら事業サイドをサポートする、コーポレート側のコーポレートソリューションもまた、DXという大きなミッションに立ち向かう。
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