1月16日開幕のテニス全豪オープン。公式パートナーDUNLOPが目指す、「100周年のその先」

テニス・グランドスラムのひとつである全豪オープンが1月16日から開幕する。2019年からDUNLOPが公式パートナーとして公式ボールの供給を行っているが、現在ではそれだけにとどまらないパートナーシップを展開している。大会開幕を前に全豪オープンを主催する豪テニス協会と、DUNLOPブランドをグローバル展開する住友ゴム工業のキーパーソンに伺った。

毎年注目を浴びる全豪オープン

昨年11月、三重県四日市市で開催された全豪オープンのジュニア大会本戦へとつながる国際大会「2023 DUNLOP Road to the Australian Open Junior Series in Yokkaichi」。この現場に豪テニス協会の大会運営責任者を務めるイザベル・ジュメル氏も訪れていた。初来日となった同氏は熱心に大会視察を行う中、今月に始まる全豪オープンについても事細かに話してくれた。

1905年から続く全豪オープンはこれまで5つの都市で110以上の大会を開催。1988年からメルボルンパークに場所を移し、現在では南半球で開催されるスポーツイベントとしてトップクラスの規模にまでなった。

1月16日から開幕する今大会では、予選を含めた3週間で90万人以上の観客動員を見込む。パンデミック前は観客の約3分の1は海外からの来場者で、観戦チケットの販売だけではなく滞在先のホテルとのパッケージを含めたプランも提供するなど、マーケティングに工夫を凝らす。

世界各国から訪れる来場者に「最高の観戦体験」を提供することを目指し、新しい取り組みにも挑み続ける。2022年にはグランドスラムとして初めてメタバース(仮想空間)を採用し、世界的なスポーツ大会としては初めてNFTコレクションの発行も行った。

「私たちは絶対に自己満足に浸ってはいけないと心がけています。革新的であり続け、困難に立ち向かい、さらに良くしていくためには何をすべきかを常に考えています」(ジュメル氏)

イザベル・ジュメル氏:豪テニス協会でインターナショナル・エンゲージメントとステークホルダーリレーションズを管轄している。四日市テニスセンターにて

近年人気が高まっているラケットスポーツ、パデルとの協働も行う。昨年からDUNLOPともコラボレーションを行い、全豪オープン期間中には国際大会「オーストラリアン・パデル・オープン」を開催。パデルコートの設置やバット、ボールの貸し出しが行われ、テニスファン以外にもタッチポイントを広げる。

パデルは競技人口が約2000万人と言われ、世界で急速に伸びているスポーツのひとつ。ナダルやジョコビッチなどトップアスリートも愛好家として知られている。こうした新競技を取り込んでいくことも、テニス界にとって良い効果をもたらすと期待を寄せる。

全豪オープンとDUNLOPが育むパートナーシップ

全豪オープンでは昨年からパデルコートも設置。パデルファンの来場やテニスファンのパデル体験をすすめる。写真提供=住友ゴム工業

全豪オープンの魅力のひとつは、その開催時期だ。1月の南半球は夏。そのため冬の寒い季節を迎える欧米から温暖な気候を求めてプレーヤーもファンもやってくる。一方で、今後重視するのはアジア太平洋地域からの来場者を増やすこと。その点でテニス界をリードするDUNLOPとのパートナーシップは大きな意味を持つ。

「全豪オープンにとってDUNLOPは素晴らしいパートナーです。グローバル企業であり、ボールだけでなく、テニス業界全体で強いブランド力を持ちます。お互いにとって利点があると思います」(ジュメル氏)

全豪オープンは100カ国以上で放送され、1年で最初のグランドスラムであることから視聴者も多い。日本では250万人以上が加入するWOWOWで生中継、オンデマンド配信が行われる。

「DUNLOPとのパートナーシップが特別なのは、ボールサプライヤーにとどまらず、共同でイベントを開催するパートナーであることです。実現するためには多くの計画、労力、献身性、人材が必要になりますが、DUNLOPの素晴らしいチームを私たちは高く評価しています」(ジュメル氏)

大会を通して「ブランド体験」を届けていく

鈴掛 彰悟氏:住友ゴム工業株式会社 スポーツ事業本部 テニスビジネス部でグローバルマーケティングとプロツアーを統括

DUNLOPが全豪オープンとの取り組みを実施していく中で大切にしているのは「ブランド体験(エクスペリエンス)をテニスファンに届ける」ことだ。大会期間中は会場でフォトスポットやボールプールなどを展開する。ボールプールでは「100周年記念ボール」を探す体験型ゲームも実施するという。

2023年は、DUNLOPがテニス用品事業を開始して100周年を迎える節目の年。同社スポーツ事業本部テニスビジネス部でグローバルマーケティングとプロツアーを統括する鈴掛彰悟氏はこう話す。

「私たちは次の100年を見据えて“新しいイメージ”をつくっていきたい。これからの世代にアプローチしていくために、面白くて楽しい催しをしていきたいと思います。同時にこれまで培ってきたレガシーも大切にしていきます」(鈴掛氏)

全豪オープン期間中には、年間グランドスラムを2回達成したテニス界のレジェンドであり、DUNLOPのアンバサダーを務めるロッド・レーバー氏を招いたイベントも行う。先述の四日市での大会を勝ち抜き、全豪オープンジュニアに招待された選手たちには、レジェンドと一緒に会場内で練習をできる「チャンピオンズ・プラクティス」も用意される。

昨年は木下晴結選手(左)と原崎朝陽選手(右)が参加し、ダブルスでグランドスラム優勝を果たしたオーストラリアのレジェンド、アリシア・モリク氏(中央)と「チャンピオンズ・プラクティス」を行なった。写真提供=住友ゴム工業

これまで築き上げてきたレガシーを次世代のために――。常に未来を見据える両者の理念があるからこそ、2023年の大会は特別な意味を持つ。

「今年の全豪オープンではDUNLOPの100周年を共に祝いたいと思っています。様々なアクティベーションを行うと思いますが、過去を振り返るだけではなく未来を見据えていきたい。今後も大会を共に拡大していくようなコラボレーションをしていきたいと思います」(ジュメル氏)

メーカーとして見据える「未来のためのものづくり」

DUNLOPは大会のスポンサードを行うが、そのコアビジネスはテニス用品を扱うメーカーだ。ボールやラケットなどの製品の品質を高めるなど、「選手第一」を念頭に置く。その姿勢は大会のサポートにも表れている。

「全豪オープンでは少しでも選手たちが良い準備をできればと、出場予定の選手たちに事前に練習ボールを提供しています。選手らは世界各国で調整を行うので所在地はバラバラですが、各国のDUNLOPのサプライチェーンを巻き込んで段取りしています」(鈴掛氏)

公式球の提供は全豪オープン本体だけでなく、前哨戦となるユナイテッド・カップ、ホバートとアデレード、そして車いすテニス、ジュニア大会など全てで行っている。使用される試合球は、なんと約15〜20万球。DUNLOPはマスターズATP1000の大会でも公式球を提供するが、こちらは約2万球。全豪オープンの規模の大きさが理解できる。

公式ボールは現在、容器に付属していたプラスチックの蓋を廃止して提供している。写真提供=住友ゴム工業

現在では積極的にサステナビリティにも取り組む。全豪オープンでは昨年大会から公式球の筒はプラスチックの蓋なしで提供し、0.34トンのプラスチック使用量の削減も実施した。「ATPツアーで最も多くの大会でボールを提供するブランドだからこそ、DUNLOPがテニス業界をリードして、1年の最初の大会である全豪オープンからSDGsでも世の中に貢献できるように取り組んでいます」と鈴掛氏。

「常識を疑い、常に未来への新しい道を探し続ける」――。DUNLOPが次の100年を創造していくためには、この考えをパートナーにも共感してもらうことも必要だ。それを理解する理想的なパートナーが、全豪オープンであるともいえる。同社の未来に向けた取り組みもまた、この1月にオーストラリアから始まる。

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