テレビショッピングから、スポーツビジネスの世界へ。ジャパネットが目指すもの (4)スポーツの価値を「ジャパネット流」で伝えていく

お茶の間のテレビショッピングで知られるジャパネットたかたを筆頭に、8つの事業会社を束ねる(株)ジャパネットホールディングスが、新たな中核事業に据えるのがスポーツ・地域創生だ。2017年にはJリーグのV・ファーレン長崎をグループ会社化し、2023年を目指し「長崎スタジアムシティプロジェクト」も進める同社。陣頭指揮を執る髙田旭人代表取締役社長 兼 CEOに、スポーツの価値を「ジャパネットならでは」の方法で最大化する秘訣を聞いた。(聞き手は田邊雅之)

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改めて感じる、スポーツの価値

写真提供=V・ファーレン長崎

――御社が展開されようとしている様々な事業の中で、スポーツの位置づけというのはどのようなものになるのでしょうか? 髙田社長は常々、ご自身が目指しているのはあくまでも街づくりあって、スポーツはその中のひとつのコンテンツであるという言い方をされてきた。実際、長崎には食や観光、ランドマーク、文化や歴史などの魅力的なコンテンツがたくさんあるわけですが、その中でスポーツだけが提示し得る価値、スポーツにしか果たせない役割は何だとお考えですか?

「もともと私は野球をやっていましたし、スポーツは全部好きで。観るたびにワクワクしながら、何か不思議な力があるなというのを実感していました。今はサッカークラブを実際経営するようになって、自分が真剣に強化にも関わる立場になった。でもサッカーというのは、ちょっと言い方に誤解があるかもしれないですが、ボールを網に入れるシンプルなゲームじゃないですか。

だけどみんな仕事で疲れていても、週末サッカーが行われて試合で点が入ると、あんなにうわーっと心から弾けることができる。しかも試合で負けたらみんなイラっとしてめちゃくちゃ愚痴を言うのに、火曜ぐらいになったら『次、頑張ろう!』みたいなムードになっている。

スポーツが持つこういう力は言葉で表現しにくいというか。オリンピックにしても、別に日本がメダルを取ったから自分の人生が変わるわけじゃないのに、やはりみんな心から日本を応援する。甲子園での高校野球にしても、パッとチャンネルを変えて最後に逆転した選手が泣いていたら、こっちも思わず泣きそうになる。あれは普通では味わえない感覚だし、やはりスポーツはすごいなと思いますよね。

でもそういうすばらしい側面があるからこそ、一方ではその感動的な要素の陰に隠れて、クラブ経営やスポーツ界で働く人の報酬をちゃんと整備してこなかった。それが従来の日本における、スポーツビジネスだと思っていて。だから、その二つの部分をきちんと両立させていく(人々に感動を与えるスポーツの良いところは確保しつつ、しっかり待遇や環境も改善していく)というのは、是非、取り組んでみたいですね」

――最後に指摘された部分は、日本のスポーツビジネス全体にとって最も重要な要素ですね。そのようにして健全な状態を作りつつ、御社とV・ファーレン長崎がタッグを組むことによって、長崎や日本全体を元気にしていくというのがビジョンになるのでしょうか。

「正直、V・ファーレン長崎が強くなってJ1に上がれば、どこかのチームがJ2に落ちる形になってしまう。たしかに長崎は強くなる努力をしていても、トータルで見れば日本全体は変わらないと思っているんです。

だからこそ長崎は、普通のチームじゃないチームを作っていかなければならない。平和の象徴であったり、敵をリスペクトするとか、おもてなしの精神を伝えたりするようなチームを作っていく。あるいは人間力がめちゃくちゃ高くて、敵だけど試合を観ていたら思わず応援したくなるようなチームを作らないと、意味はないと思っているんです」

V・ファーレン長崎「ならでは」の価値を発信していく

――チームが強くなった後は、V・ファーレン長崎でなければ得られないバリューを提示していかなければならない。

「そうなんです。サッカーに興味のない人にとっては、川崎フロンターレが1位だろうが鹿島アントラーズが1位だろうが、何も人生は変わらないし、ただ1位が入れ替わっただけになる。だけどV・ファーレン長崎が強くなって何かメッセージを発信できれば、やはりそこには新しい価値が生まれてくるんです。

その意味でも私は、先日、全英女子オープンで優勝した渋野選手は素晴らしいと思っていて。彼女は大会に勝ったことによって、笑うことの大切さを改めて多くの人に教えてくれたじゃないですか。自分たちも、ああいうことができるチームを作らないとダメだなと思いますね」

――そのような独自の価値、存在意義を確立していく上でも、新スタジアムは非常に有用なツールになると。

「そう思います。私はよく社員に言っているんですが、もともとジャパネットというのは、衝動買いをしてもらう会社なんですね。朝、起きた時に掃除機を買おうとは思ってない人たちに、テレビを観て『あの掃除機、なんかいいな』思って、買っていただけるようにする。しかも絶対に後悔をさせずに、本当に喜んでもらえるようにしていかなければならない。

そこがジャパネットの付加価値なんですが、そもそもV・ファーレン長崎や長崎という場所に関しては、あまりにも魅力が伝わっていないと思っていって。さっき言っていただいたような、長崎の魅力や美味しいものの魅力、あるいは選手にしてもすごく性格のいい選手が多いんですけど、彼らががむしゃらに頑張っている姿が届いていないんですね。

でも試合に選手が出て行く時に、打ち合わせをしている様子を動画で撮影してスマホで観られるようにすれば、その姿は全国に拡まっていく。試合直後も、選手からのコメントをそのままリアルタイムで流せば、選手がいかに真剣に人生を懸けているかという感動をみんなに伝えていける。そういうことをやっていきながら、もっともっとリアルにいいものが伝わっていったり、みんながハッピーになれるような仕組みを作っていくのは、スタジアムがあればできるだろうと。

実際、私は試合前と試合後に、スタジアムだけの専門の番組も作ろうと思っているんです。海外では(イングランドの)プレミアリーグなどがやっていますけど、スタジアム内にあるスタジオで、2時間前から予想スタメンを紹介したり、あるいは試合が終わったら30分間、振り返りの番組をやったりしていく。それを実現するためには、やはりハード(インフラ)が必要になりますから」

スポーツが持つ“人の心を動かす力”を大切にし、長崎の魅力を日本中に発信していく。だからこそ、スポーツ界で働く人々の環境や待遇はしっかり改善していかなければならない――。ジャパネットグループを率いる髙田旭人社長は、こう熱っぽく説いた。最終回はスポーツビジネスの魅力と難しさ、そして未来への青写真を伺う。


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