現場ノウハウとグローバル視点で「世界レベル」へ。スポーツビジネス講座の連携から見えた未来

国内スポーツビジネス教育の中心地となることを目的に、『ぴあスポーツビジネスプログラム(PSB)』と『HALF TIME Global Academy(HALF TIMEアカデミー)』が連携。PSBのプロジェクト責任者であるぴあの長野雄二氏とHALF TIME代表の磯田裕介、そして、PSBでは常任講師を、HALF TIMEアカデミーでは学長を務めるBlue United Corporation代表の中村武彦氏に、これまでの歩みと見えてきた今後について聞いた。

スポーツビジネスで重要な「原理原則」

ぴあスポーツビジネスプログラムのプロジェクト責任者を務める、ぴあ株式会社 長野雄二氏

――ぴあスポーツビジネスプログラム第1期が終了しました。振り返るといかがですか?

長野雄二氏(以下、長野):PSBには、大きく分けて経営視点とぴあのナレッジという2つの特徴があります。特に経営視点については中村さんを中心とした講師から講義ベースで原理原則を学び、そこから導き出される事例と実践を幅広く考えてもらうなど、プログラムのベースになっています。

コロナ禍という状況でしたが、感染防止対策を徹底した上であえて対面での実施を継続しましたので、数週に一度、受講生同士による直接の情報交換や議論が活発化し、お互いの高い熱量も共有できたのが非常に良かったです。インプットだけではなく、アウトプットを重要視するところがPSBの大きな魅力なのですが、現場でどのように運用されているのか、スタジアムはどうなっているのかという深い部分もお伝えできました。

中村武彦氏(以下、中村):私は(米NYから)リモートでの参加でしたが、無事に7ヶ月間に及ぶ第1期を終えられた、しかもここまで立派な形でできたのはスタッフのみなさんの細やかな計画や進行の賜物でしたね。

――HALF TIMEアカデミーはこれまで4期を終えました。

磯田年間で120名ほどの方に受講していただきました。HALF TIMEアカデミーは海外講師からオンラインで世界最先端のスポーツビジネスを学べるのを特徴にしています。

スポーツ業界で既に働いている方々やこれからスポーツ界に入りたい社会人をはじめ、大学生から大学院生の方々まで受講していただきました。原理原則から事例の紹介まで、講師の方々に幅広くお話しいただいて、グローバル視点で学ぶ機会を提供できたと思います。

中村:パンデミックが起こった後にニーズを捉えたユニークな講義になっていると感じます。両プログラムに共通して言えることは、事例をひとつ説明してアイデアを「披露」するだけではなく、その原理原則、つまり「どうしてそれが必要なのか」という部分に主眼を置いているところです。

受講生はそれぞれ異なる環境に身を置いています。ですので、原理原則に立ち返って自分なりのアイディアを柔軟に出せるようになってもらうことが重要だと考えます。

HALF TIMEアカデミーは、本来自分でアポを取って通訳を雇い、現地に出向いて話が聞けるか聞けないかという講師の話を濃縮した形で、自宅にいながらにして受講できます。まさにテクノロジーを駆使した、時代に沿ったユニークなプログラムですね。

「Think global, act local」

ぴあスポーツビジネスプログラム常任講師、HALF TIME Global Academy学長を務める中村武彦氏(Blue United Corporation CEO)

――PSBは来年4月、HALF TIMEアカデミーは今月11月から次期が始まります。どういった方々に受講いただきたいですか?

長野PSBでは、受講生に対してスポーツ界での次のステップに立つサポートをさせていただきながら、できるだけ早く現場に行っていただきたいという思いがあります。第1期の受講生は社会人と学生が半々でしたが、第2期からはキャリアチェンジを具体的に検討している社会人を積極的に募集していきたいと考えています。

磯田 HALF TIMEアカデミーでは、世界基準で考えて日本の文化に合わせた行動ができるということを引き続き大事にしていきたいので、国外にも視野を向けたい方々に受講いただきたいです。また、これからスポーツ界にチャレンジしたい方だけでなく、すでにスポーツ界にいらっしゃり、更にスキルアップをしたい方々にも受講してほしいですね。

中村スポーツビジネスはまだ新しい業界なので、従来のやり方にとらわれずに新しい発想をもたらせるような方に受講いただきたいですね。スポーツは言語のように世界とつながっているので、スポーツを通して世界とつながりたいという感覚も必要だと思います。

「自分は日本人だから日本のことしか考えない」という人はさすがにいないかもしれませんが、だからといって「海外がこうだから自分もこうしなきゃいけない」という訳ではなく、「海外はこうで、であれば日本人である自分はどうしていったらいいのか」と考えられるようになることが理想的です。

――両プログラムでは今年4月から連携が始まりました。

磯田まずは第1回目として、受講生同士の交流をさせていただきました。オンラインでグループに分かれて、お題を出してディスカッションする機会を作れたのはよかったですね。

長野ビジネス界で既にご活躍されている方がいらっしゃるなど、大きく性質の異なるHALF TIMEアカデミーの受講生と触れられたことで、PSBの受講生には、「Think global, act local」の重要性を肌で感じていただけたと思います。連携のスタートラインに立てたというところでしょうか。

中村スポーツビジネス講座といっても、競り合うものではないですからね。スポーツ界の発展という同じ目標を持つ方々が集まるそれぞれの講座ですので、価値を共有できていることが私は嬉しいです。一方で、違う特徴を持っている者同士が集まるのはとても良い刺激にもなります。

プログラム連携 海外研修も?

HALF TIME株式会社 代表取締役 磯田裕介

――今後はどういった連携を行っていくのでしょうか?

磯田HALF TIMEアカデミーは海外の事例を扱っているので、PSBとご一緒することで海外はHALF TIME、国内はPSBと役割分担を明確にし、連携できると思います。海外が常に良いわけではないですし、日本が常に良いわけでもない。連携によって、それぞれがより素晴らしいサービスになると思います。

長野我々はスポーツビジネスの入門編なので、受講生にはさまざまなところから刺激を受けて、もっと勉強しなきゃという気持ちにつなげてもらいたいと思っています。今後の活躍に活かせる関係性を築いてもらうことも一つの目標なので、HALF TIMEアカデミーとの連携は将来に向けて非常にプラスになります。

磯田将来的にコロナがもう少し落ち着たら、海外クラブやスタジアムに訪問して、リアルに学べるような機会を提供したいですね。

長野中村さんがニューヨークにいらっしゃいますし、3社で協力すれば実現できるのではないでしょうか?(笑)

中村海外研修については同感です。私は土地柄、色々な国の人たちとお会いしますが、いくつになっても勉強熱心な日本人はすごいなと感じています。海外の良いものをどんどん取り込んで、それをさらに向上させられる。それが日本の持ち味だと思っています。だからスポーツビジネスでも、自分たちも世界レベルになろうという想いがあるのだと思います。

私は日本のスポーツビジネスは非常に高いレベルまでいくと思っています。1人でできることには限界がありますが、いろいろな人を巻き込むことで大きなことが実現できる。PSBとHALF TIMEアカデミーで、その実現に向けたコラボレーションができたらと思います。

■ぴあスポーツビジネスプログラム

https://fan.pia.jp/psb/

2022年4月に開講する第二期の1次募集を公式サイト内の「応募フォーム」にて11月14日(日)まで受付中。若干の募集となる2次募集は12月6日(月)より開始予定。

■HALF TIME Global Academy

https://biz.halftime-media.com/f_lps/academy-5

2021年11月に第5期が開講。11月16日(火)に開催するプログラム説明会には、中村武彦氏も登場。参加登録は〈こちら〉から。