仕事も競技も「トップを目指す」 デュアルキャリア採用開始から半年。アスリートと企業の「変化」とは?

「アスリートのためのデュアルキャリア採用」によりバリュエンスグループに加わったアスリート社員たち。働き始めて既に半年を経過した者もいる。競技を続けながら従業員として働く彼らのリアルな感想は、いかようなのか。嵜本晋輔CEOと共に、2人のアスリート社員に話を聞いた。

1人は昨年9月入社の布施周士さん(26歳)。現在、関東サッカーリーグ2部の南葛SCでプレーする。南葛SCは人気サッカー漫画「キャプテン翼」をモチーフにしたチームで、原作者の高橋陽一さんが代表取締役を務めている。もう1人は昨年12月に入社した越川和紀さん(24歳)。総合スポーツクラブである品川CCの3人制バスケットボール(3×3)チーム「品川CC WILDCATS」でプレーする。2人は普段、ブランド買取専門店の「なんぼや」でコンシェルジュ(鑑定士)として接客し、顧客のブランド品を査定して買い取るなどしている。仕事着であるスーツをバシッと着こなしてインタビューの場に現れた。

嵜本氏にとって、デュアルキャリア採用で会社に加わったアスリート社員の生の声を聞くのは実は初めてのこと。また、2人にとっても嵜本氏と直接、対談する初の機会。ビジネスパーソンとしても、アスリートとしても成長できていくことは可能なのか? 2人は少し緊張しながらも本音で語ってくれた。

接客に高級ブランドの査定 職場のリアル

布施周士さん(左)と越川和紀さん(右)。共に現役アスリートであり「なんぼや」コンシェルジュでもあるデュアルキャリアを歩む

布施さんは「なんぼや」北千住店に、越川さんは船橋店に勤務し、コンシェルジュとして接客や持ち込まれたブランド品の買い取りを行っている。ルイ・ヴィトン、エルメス、プラダ・・・高級ブランドは数多あり、モデル数を含めると膨大な品数になる。デュアルキャリア採用を経て入社した2人は、1カ月の研修でこれらのブランドの知識を学び、すぐ店舗で働くことになった。

布施さんは入社するまでブランド品への関心は決して高く無かったが、研修や店舗の先輩の指導もあって、仕事をこなせるようになった。

「ブランドの知識はなく、ブランド名の読み方もわからない状態でしたが、研修をして頂いたり、先輩方にわからないことを聞いたら何でも優しく教えてもらえ、助けられました」(布施さん)

今では顧客から褒めてもらう経験も得て、仕事の喜びも感じられている。

一方、越川さんはもともとブランド品に興味があったこともあり、最初こそ戸惑ったが今では日々の業務を楽しみ、自信もつきつつあるようだ。

「ブランドが好きだったので、(研修や日々の業務で、ブランドの)知識を学んでもストレス無く、すっと頭に入ってきました。まだまだ勉強不足なんですが、(商品の)状態の良し悪しも所感を持てます。もしわからなかったら、先輩方に聞く。(買取・値付けは)難しいですが、手に負えないわけではありません」

「失敗してもいい。どんどんチャレンジを」

バリュエンスグループCEO 嵜本晋輔氏。元Jリーガーの嵜本氏自身が、アスリートの背中を押している

とはいえ、ブランド品の査定、買取の業務となると、リスクもある。当然商品の知識が頭に入っていなければ値段をつけられない。仮に1000円の価値しかない物を10万円で買いとってしまうと大きな損害になる。偽物が持ち込まれて気がつかずに高値をつけて買い取ってしまう可能性もある。

入社してからまだ経験が浅い2人がこなせるのは、バリュエンスが社として助ける仕組みを作っているから。持ち込まれた物の価値がわからなければ、店舗にいる優秀な先輩スタッフが協力してくれるし、カメラを通じて遠隔で本社にいる査定のスペシャリストにも助けてもらえる。

ただ、基本的にはその人自身の能力が第一だ。ブランド知識のアップデートを怠らない。

「最初の頃、お客様がハンカチを持ってきたが何かわからなかった。ノーブランドかなと思っていたら、実はエルメスの商品だったこともあります(苦笑)。覚えることはたくさんありますが、知っていないと接客できません。次の接客がある時までに、きちんと覚えるようにしました」(布施さん)

嵜本CEOの考え方も、従業員の成長の後押しをする。

「私自身、失敗を経験しました。値段が付かないものを50万円で買ったりとか、50点くらいの中に1点だけ買取対象外の商品が混じっていて気がつかなかったりとか。(この仕事で)絶対通る道なんですよ。でも、買わないよりは買って覚えた方がいい。うちは買取りで失敗しても、損害額をコンシェルジュに弁償させません。(弁償させると)買い取れるものでも買わなくなり、機会損失につながるからです」

そして2人に「失敗してもいい。そんな事で会社は傾かない(笑)。どんどんチャレンジしてください」とアドバイスした。

デュアルキャリア、競技にもプラス

店舗の先輩のように、「デュアルキャリア採用で入る選手に、教えられるようになりたい」と話す布施さん

デュアルキャリア採用を通じてバリュエンスに加わった2人。今回の仕組みは、収入面だけでなく、アスリートとしての成長にもプラスに作用しているという。

大学を卒業して社会人でも競技を続ける場合、大きな壁になるのが仕事と競技の両立だ。プロ選手でない限り、多くの選手は会社勤めをしながら練習や試合に参加する。当然仕事が忙しい時は、練習に遅れることもあるし、試合に参加できないこともある。競技能力も上がってこないだろう。バリュエンスのデュアルキャリア採用は、そこに対して切り込んでいる。

まず2人が勤務する店舗は、所属チームの練習場所に行きやすい場所にある。事前の面談で、配属店舗を考慮してもらえた。

布施さんの場合、所属チームの練習は平日夜で試合は土日に行われる。練習がある時は、店舗の先輩も「今日は練習だよね?早く上がっていいよ」と理解がある。早めに練習場に到着して、ストレッチなど体の準備にも取り組むことができる。

「前職では練習時間にギリギリだったり、遅れたり、仕事で朝が早かったりすることもあって、なかなか競技に集中できていませんでした。今は午後5時で上がらせてもらえ、競技に集中できます。体づくりや筋トレもでき、間違いなく競技力があがっていると思います。(アスリートでも)働ける環境を整えてくれて、ありがたいです」

越川さんもアスリートとしてプラス面が大きいという。

「僕は大学卒業後に就職しなかったのですが、その理由は、バスケ以外の時間を割くのがパフォーマンスの低下につながると考えていたからでした。でも金銭面では、当時は現在の収入の半分以下で少なかった。今は仕事をして収入も上がり、練習もできている。収入があれば良い食事をとれますし、良い道具もそろえられる。(競技専門になっていた時より)逆に競技に集中できていて、パフォーマンスは間違いなく上がっています」

現在フルタイムの早番業務で、午前9時半から午後6時半まで働き、午後8時から新木場である練習に参加している。練習に常に参加できることで、試合に出られるチャンスを得られやすくなっているという。

「チームメイトには学校の先生や銀行員がいますが、仕事次第で練習に間に合わないこともあります。練習に来てない人は(試合での)チームに入りにくいこともある。僕は今の働き方で対応できるようになり、基本的に練習にいけますので、(試合に出る)チャンスは増えます」

顧客対応の経験 アスリートとしての成長にも

「なんぼやでエリアトップの成績、そして日本代表を目指す」と越川さん

バリュエンスで働く環境が、アスリートとしてもプラスになっているが、布施さんや越川さんにとって、職場での仕事経験も競技にプラスになっているという。

布施さんは、店舗での接客を通じて、相手のことをより考えるようになったという。

「お客様にはリピーターになってもらうことが一番良い。そのために、接客で僕たちがどう見られているのかと考えないといけません。サッカーでもチームメイトのことをより考えるようになりましたし、皆が自分のことをどう見ているのかを考えて『こうした方が良い』と考えることが増えました」

布施さんのポジションはボランチ。ピッチの中盤で360度周囲を意識し、味方へのパスを出す機会の多いポジションである。仕事の経験が、プレースタイルにも好影響が出ている。

越川さんは接客で得たコミュニケーション能力が3×3でも活きているという。

「僕は結構人見知りで、初対面の方が苦手でした。でも、お客様は皆『はじめまして』。バスケの3×3の現場でも、コミュニケーションを多くできるようになりました」

嵜本CEOはアスリートの持つポテンシャルが、必ずビジネスシーンでも大きな力を発揮すると信じている。2人を含めたデュアルキャリア採用でバリュエンスに加わったアスリート社員たちに、大きな期待をかけている。

「アスリートがビジネスでも活躍できるという価値を証明したい。2人が仕事でも活躍すると、『俺もできるかもしれない』と(他の)アスリートたちの視野も広がる。アスリートとして養われた目標の置き方や改善の仕組みを、バリュエンスの業務の中でも発揮してほしいですね」

目指すはJリーガー、オリンピック出場

デュアルキャリア採用を経たアスリート社員として、布施さん、越川さんは目標に向かって突き進む。

「南葛SCは葛飾区からJリーグを目指しています。今はまだ関東リーグ2部ですが、順調に昇格しています。僕自身、Jリーガーというのが夢であり目標。一度はサッカーをやめようと思っていましたが、南葛SCからチャンスを頂いた。そのチームでJリーグを目指すことに貢献したい。また、僕に色々と教えてくれた先輩のように、僕みたいなデュアルキャリア採用で入る方に教えられるようにしたい。そして(営業の)数字も常にトップを目指したいです」(布施さん)

「選手としてもコンシェルジュとしてもトップを目指していきたい。選手としてはトップでも日頃のコンシェルジュとしての成績が良くないなど、どっちつかずにはなりたくない。3×3の選手として日本代表、オリンピックを目指しつつ、なんぼやの千葉エリアでトップの成績を残せるように日々取り組みます」(越川さん)

2人は仕事と競技の両立で過去に苦い経験をした。他のアスリートでも、競技を続けたくても、仕事環境や収入面から、アスリートとしての能力を100%発揮できないでいる選手は多くいるだろう。バリュエンスが取り組むような、アスリートのデュアルキャリアが浸透すれば、もっと多くのアスリートが輝けるチャンスを得られるだろうし、ビジネスシーンでも活躍できるだろう。

「壮大な実験」として始めた取り組みが、どうバリュエンスを、アスリートの環境を、そして日本の社会を変えていくのか、嵜本CEO自身も上を見つめる。

「デュアルキャリアは、一つのものに依存するのではなく二つのものに100%コミットする考え方です。終身雇用制度が終わりつつある中で、能力が高い人ほどデュアルキャリアに進んでいく。2人の経験は、これからの社会人生活において貴重な経験になるはずです。スポーツも仕事も、どちらもキャリアが形作れるようにやってほしいですね。

またバリュエンスにおいても、アスリートである2人の姿勢を社員に見てもらうことで、好きなことを見つけ、夢中になってもらう。企業として、もうひとつ上のステージに行くことができるでしょう」

■対談の模様はこちらから

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