【選書】FC今治、大分トリニータ、ザスパクサツ群馬…Jクラブに学ぶ経営と組織マネジメント

今月のHALF TIME推薦書籍は、「ニューノーマル」の中シーズン再開を迎え、ピッチ内外で新たな取り組みを進めるJクラブにまつわる3冊をピックアップ。岡田武史氏がオーナーを務め今季からJ3リーグ昇格を果たしたFC今治、片野坂監督のもとJ1で戦う大分、経営危機を脱してJ2復帰を果たしたザスパクサツ群馬の3クラブの軌跡には、経営や組織作りのヒントが詰まっている。

群青の航海FC今治、J昇格まで5年の軌跡

『群青の航海―FC今治、J昇格まで5年の軌跡―』(江刺伯洋著、東洋館出版社)

元日本代表監督の岡田武史氏がオーナーを務め、2020シーズンからJ3リーグに昇格したFC今治。元日本代表選手の加入や先進的な地域貢献活動でも大きな注目を集めている。

本書は、四国リーグ、JFL、Jリーグへとステップアップを続けるFC今治の、2015年から5年間の苦難と躍進を、ホーム戦の実況も務める地元放送局のアナウンサー・江刺伯洋氏が描く。 岡田武史氏がチームオーナーに就任してからの5年間でチームはどう変わり、今治の町はどう変化したのか。これはサッカークラブとそのホームタウンの成長の記録であり、サッカークラブが持つ地域社会への可能性を示すストーリーだといえる。

カタノサッカークロニクル 片野坂知宏の挑戦

『カタノサッカークロニクル 片野坂知宏の挑戦』(ひぐらしひなつ著、内外出版社)

2019シーズンのJ1において、リーグ最少のチーム人件費でありながら、9位フィニッシュを果たした大分トリニータ。その立役者が片野坂知宏監督だ。シーズン途中にエースを引き抜かれ、戦術を研究され、対策を講じられながらJ1残留を成し遂げたその手腕が評価され、J1最優秀監督にも選ばれた。

本書では、大分トリニータの番記者として片野坂監督を4年間追い続けた著者・ひぐらしひなつ氏が、片野氏の哲学、サッカー観、チームづくりをあぶり出す。ピッチサイドでの情熱的な振る舞いや明るい人柄でファン、サポーターから愛される片野坂監督の素顔、そして彼の優れた組織づくりの秘密がわかるはずだ。

乾坤一擲 ザスパクサツ群馬社長・奈良知彦「人生最後の大勝負」

『乾坤一擲 ザスパクサツ群馬社長・奈良知彦「人生最後の大勝負」』(伊藤寿学著、内外出版社)

2017年にJ3に降格するも、2年でのJ2復帰を果たしたザスパクサツ群馬。クラブは、今シーズンから元日本代表の大前元紀選手が入団したことでも注目を集めている。

そのザスパクサツ群馬の社長を務めるのが、奈良知彦氏だ。同氏は、前橋商業高サッカー部監督や県内高校の校長などを歴任した教職者であり、経営もプロサッカーも未経験。それでも、J3降格による経営の大危機からザスパクサツ群馬を再生させ、J2復帰へと導いた。

群馬在住のスポーツライター・伊藤寿学氏が、未経験から大きな成果を上げた奈良氏の経営改革と人間育成に迫った本書。より良い組織を作るためのヒントが詰まっているだろう。


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