元サッカー日本代表監督の岡田武史氏が会長を務め、新たな地方クラブの旗手として活動を行うFC今治。目下注目されるのは、2023年に開業予定の新たなスタジアム「里山スタジアム」だ。クラブ運営会社と、スタジアム設計を手がける梓設計の各幹部が、「スポーツビジネスビジネスジャパン オンラインセミナー」でその構想と現在位置を紹介した。
365日みんなが楽しめる地方スタジアム
セミナーの前半では、株式会社梓設計 常務執行役員・プリンシパルアーキテクトの永廣正邦氏が、同社が手掛けるスタジアム・アリーナ設計の現状と、今後求められる機能や要件を解説。
同氏は、国内ではスポーツ施設の稼働率が低いことや、施設内設備のIoT化が遅れていることなど、スタジアム・アリーナの潜在力が十分に発揮されていないと指摘した。また、少子高齢化と地方の過疎化が進む中、地方創生の一環としてスポーツが一層求められていることにも言及。
そんな中、里山スタジアムでは、「地域住民が親しみを持てる環境づくり、まさに里山のような心の拠り所となること」を目指したという。そのため、サッカーの試合以外にも、他のスポーツの試合やイベント会場、避難場所、コワーキングスペース、教室などに柔軟に活用することが基本計画となっている。
「心の豊かさ」を大切にするクラブ、社会へ
後半のセッションでは、FC今治を運営する株式会社今治.夢スポーツ 代表取締役社長の矢野将文氏が登壇。民設民営の里山スタジアムという一大プロジェクトについて、資金調達方法から今後の展望までを概説した。
矢野氏は、FC今治が目指す「心の豊かさに価値を見出し、大切にする社会づくり」というビジョンを紹介し、世界で通用するチームを作るというサッカーの目標と共に、サッカー以外のアプローチも進めていくと述べた。この考えはまさに「試合以外も楽しめる」新スタジアムとして具現化されることとなる。
地域住民の愛着や誇り、地元の子供たちの教育機会や、心身の健康。FC今治はなぜこれらを大切にするのか?それは、「非財務価値を財務価値につなげること」に尽きると矢野氏は話す。つまり、財務諸表に載らないようなクラブの提供価値を高めることで、それが巡り巡ってスタジアムや試合のチケッティング、観光関連の収入になり、クラブへ循環していくという発想だ。
セッション終了後は、受講者からの質問が多く寄せられた。里山スタジアムの設備設計についてや、資金調達の実際の課題など、スポーツ界での関心の高さがうかがえた。セミナーの内容は、以下からアーカイブを視聴できる。
次回テーマは「バスケットボール」
次回となる9月15日の第4回は、現役Bリーグ選手で日本バスケットボール選手会会長の田口成浩氏が登壇。同氏は昨シーズン千葉ジェッツのBリーグ優勝に貢献すると、今シーズンは古巣秋田ノーザンハピネッツに移籍しプレーする。モデレーターを務めるのはNHK-BSのバスケットボール番組MCも務めてきたフリーアナウンサーの 神田れいみ氏。
コロナ禍が続くなかの昨シーズンを振り返りながら、9月末の今シーズン開幕に向けて、選手やリーグの今後の展望を語る。
第4回セミナー概要
開催日時:2021年9月15日(水)17:00~18:15/オンライン
参加費:無料(事前申込)
申込方法:公式Webサイトより
参加人数:300名(先着順)
登壇者:
田口 成浩氏(日本バスケットボール選手会会長/秋田ノーザンハピネッツ)
神田 れいみ氏(フリーアナウンサー)
主催:日本スポーツ産業学会、株式会社コングレ
メディアパートナー:HALF TIME株式会社
公式Webサイト:https://www.sportsbusiness.jp/onlineseminar/20210915/
※セミナーのスポンサー企業も募集中。問い合わせは公式Webサイトより