アスリートマネジメントとは|事務所と契約するメリット・デメリットを紹介

契約やスポンサーの獲得をアスリート自ら行うとなると、競技に専念する時間を削らなくてはなりません。

また、才能があるにもかかわらず、その能力を評価されずに引退するアスリートも。

そこで注目されているのが、契約交渉をはじめ、スポンサー獲得やメディア出演、セカンドキャリアの支援など、さまざまな側面からアスリートを支える「アスリートマネジメント」です。

本記事では、アスリートマネジメントとはなにか、そしてアスリートが享受できるメリットや気をつけるべきポイントはどういうものがあるのかを解説します。

アスリートマネジメントとは

アスリートマネジメントとは、アスリートの選手契約や移籍交渉、認知度アップや収入アップのサポート、パフォーマンス向上のための活動など、さまざまなサポートを行うこと。

アスリートを支える存在として、近年、注目されている仕事です。

アスリートはスポーツ選手として現役で活動できるのには限界があり、引退後つまりセカンドキャリアの事を考えなければなりません。

しかし、スポーツの世界しか知らないアスリートが社会に出た際に、職を失ったり、収入が大きく減少するケースが多く、大きな問題となっています。

例えば、野球選手の平均年俸は3985万円といわれていますが、2019年の平均引退年齢は28.2歳。引退した選手の多くが会社勤めをしており、年齢を考慮すると引退した選手達の平均年収は400万円程と予想されます。

NPBの「セカンドキャリアに関するアンケート」では、48.4%の選手がセカンドキャリアに不安があると回答。つまり、アスリートは現役でいるうちからセカンドキャリアについて不安を感じているのです。

アスリートの不安を解決し、競技に専念できるようにする。それこそがアスリートマネジメントの役割であるといえるでしょう。

「事務所入り」する選手は増加中

「事務所入り」するというと、女優や歌手、声優など芸能人にかぎったイメージがある人も多いと思いますが、近年、「事務所入り」する選手が増加中です。

その理由と事務所入りするメリットについて、見ていきましょう。

何故「事務所入り」するのか

前述したように、引退後のセカンドキャリアに不安を感じているアスリートは多いもの。

したがって、現役時代に各方面に顔を出して人脈を広げたり、メディアに出て知名度をあげたいと感じています。

しかし、現役選手として競技活動をしながらセカンドキャリアに向けての活動をするのは困難なこと。

その活動を支えてくれるのが「事務所」なのです。

「事務所入り」することによって自身は選手活動に専念したい、という思いを抱くことで「事務所入り」しているのだといえるでしょう。

「事務所入り」のメリット

事務所入りをすることによって得られるメリットは2つ。

それは、

  • 各方面に人脈を作ることができる
  • 競技のサポートをしてくれる

ということ。

まず、各方面に人脈を作ることができる、ということですが、スポーツ選手は優秀な成績をおさめれば、メディアへの露出が増えます。

そして、メディアへの露出が増えれば、各方面に人脈をつくることができます。

各方面に人脈を広げることができれば、引退後にスポンサーとなってもらうことが可能となるのです。

次に、競技のサポートをしてくれるということですが、事務所入りすれば、契約更新のサポートやスポンサー獲得、練習設備の充実や用具のサポートなどアスリートの競技に関して最大限のサポートをしてもらうことができます。

つまり、アスリートにとって必要不可欠な要素に対するサポートを最大限享受できるため、自分の競技により集中した環境を作る事ができるのです。

「事務所入り」しているアスリート

いまや、事務所入りしているアスリートは数多くいますが、ここではその一部を紹介していきます。

プロ野球 松田宣浩選手

松田宣浩選手は、アスリートマーケティング株式会社に所属しているアスリートです。

メディア出演やイベント出演、スポンサーなどのサポートを受けて活躍しています。

ラグビー 藤田慶和選手

藤田慶和選手は、アスリートマーケティング株式会社に所属しているアスリートです。

メディア出演やスポンサー等のサポートを受けて活躍しています。

新体操 畠山愛理選手

畠山愛理選手は、株式会社スポーツバックスに所属。

テレビなどのメディア出演の他、イベント出演などのサポートを受けて活躍しています。

このほか、事務所入りしているスポーツ選手は数多くいます。

どんな選手がどんな事務所に所属しているのか気になる方は、調べてみるのも面白いですよ。

マネジメント契約を結ぶ際の注意点

アスリートの競技生活以外をサポートするアスリートマネジメント。

契約を結んでいる選手は増えていますが、契約を結ぶ際、どうすればいいのか分からない、という人も少なくありません。

マネジメント契約を結ぶ際の注意点として挙げられるのが

  • マネジメントの範囲を決めておく
  • 報酬の配分を決めておく
  • 肖像権・パブリシティ権の範囲を確認

ということ。

1つずつ見ていきましょう。

マネジメントの範囲を決めておく

まず決めておきたいのが、自分の契約するマネージメント会社にお願いしたい業務です。

つまり、マネジメント契約における主たる目的を定めておきましょう。

多くの場合、契約更新時の交渉やメディア出演、講演依頼やCM出演などのタレント活動の窓口となってもらうことがその目的として挙げられます。

そのポイントは本業、つまり自分の競技との両立をはかること。

人脈を広げることは、セカンドキャリアの活動にとっても重要なことですが、競技以外の活動がメインとなって競技に集中できないのでは、本末転倒です。

したがって、競技最優先の契約を結ぶことが大切です。

また、そのマネジメントの範囲を決めておくことも欠かせません。

契約更新時の交渉やメディア出演、講演依頼やCM出演などのタレント活動の窓口となることなど、マネジメントの範囲は広いので、どこまでをマネジメントしてもらうのかを決めることが大切です。

報酬の配分を決めておく

マネジメントを頼む場合、その活動によって得た報酬をどう分けるのか、を事前に確認しておくことも重要なポイントです。

0から名前を売り出す必要がある芸能人に対し、アスリートは競技で活躍すれば名前が売れていきます。

つまり、事務所はアスリートを0から育てるというより、一定以上の知名度や個人の価値がある人をより有効に育てていくといえるのです。

報酬の配分はマネジメント会社とアスリートのそれまでの経緯や、どれだけ広報活動などに時間をかけてきたかによって変わりますが、報酬の配分率のおおよその相場感は下記のイメージです。

アスリート:マネジメント会社=50%:50%
この割合は大手広告代理店や芸能事務所などに多いもの。マネジメント会社にとってかなり高い配分率となっています。

アスリート:マネジメント会社=60〜70%:30〜40%
アスリートとマネジメント会社の報酬の配分として一般的な配分がこの割合です。多くのマネジメント会社やプロダクションがこの配分での契約をしています。

アスリート:マネジメント会社=70〜85%:15〜30%
アスリートにとっては良心的な配分。ネットやオンライン系のマネジメント会社に多い形です。

アスリート:マネジメント会社=85%〜:〜15%
これは、マネジメント会社にとって薄利多売の形といえるでしょう。クラウドファンディングなどのサービスでこの配分率になることが多いです。

肖像権・パブリシティ権の範囲を確認

マネジメント契約を結ぶ場合、契約の段階で肖像権やパブリシティ権をプロダクション・マネジメント会社に一任することが多いもの。

そこで、契約の際には、必ず肖像権とパブリシティ権をチェックしましょう。

しかし、実際にはメディアに出演した際に勝手に写真を使用されたり、スマホなどで撮影された動画などをSNSに使用されるケースなどがあるなど、アスリートが権利に関して処理することが難しく、アスリートの意図していないところで肖像権を使用されてしまう事があります。

上記のケースでは、アスリートが法的手段を行使することができますが、マネジメント会社に全面的に協力してもらう条項を契約書上に追加してもらうことがベストです。

アスリートマネジメントの事業を展開している企業

現在、アスリートマネジメントを展開している企業には

  • 株式会社スポーツビズ
  • Footbank株式会社
  • 株式会社ジェイロック
  • イーマ株式会社

などがあります。

マネジメントの範囲や特徴はそれぞれの企業で異なるので、どういうマネジメントをしてもらいたいのかでマネジメント企業を探すと良いでしょう。

まとめ

アスリートマネジメントとは何か、その契約のポイントについて紹介しましたがいかがでしたでしょうか。

現役時代には競技生活に専念する環境を、そして、引退後も活躍の場を得ることができるアスリートマネジメント。

今後ますます活用するアスリートが増えることが予想されます。

(TOP写真提供 = Indypendenz / Shutterstock.com)


《参考記事一覧》

2019年度年俸調査結果を発表しました(日本プロ野球選手会 公式ホームページ)

セカンドキャリア(NPB)

戦力外選手/現役引退選手の平均年齢(12球団平均)(NPB)

契約選手・団体一覧(アスリート・マーケティング株式会社)

スポーツマネジメントの会社一覧(全国)(Baseconnect)

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