夏のオリンピックの中でも、「2秒」程度というごく短い時間で演技が終了する「飛込競技」は、スリリングな魅力があります。
この記事では、飛び込みの魅力をもっと知りたい人のために、飛込競技にどんな「種目」があり、どういった「ルール」で運営されているのか、そして演技の「採点」はどのようにされているのかを説明していきます。
また、飛び込みの種類にはどのようなものがあるのか、飛び込みを練習したい場合にどうすればよいのかなども解説します。
飛び込みのルールや採点方法
「飛込競技」は、水泳の競技の1つです。水面より高い位置からプールに飛び込み、「演技」の美しさや技術力を競います。飛込競技は、1904年のオリンピックには、すでに競技として採用されていた伝統競技です。
- 飛び板飛び込み(スプリングボード・ダイビング)
- 高飛込み(プラットフォーム・ダイビング)
飛込競技には、上記の2種目があります。また、これらにはそれぞれ「個人の部」と「ペアの部(シンクロナイズドダイビング)」があります。
日本では、まだ飛込競技を楽しむ人が少なく設備もそれほど整っていませんが、ヨーロッパやアメリカではとても人気が高いスポーツの1つとなっています。
飛び板飛び込みの基本的なルール
飛び板飛び込みは、水面からの高さが1メートル、もしくは3メートルの「飛び込み板」から飛び込む種目です。板は「ジュラルミン」でできていて、高い弾力性を持ちます。この板の反動を利用して、空高くジャンプしてからプールに飛び込みます。
ジャンプした後、空中で体を回転させたり、ひねったりといった演技を行います。この空中での演技と、着水時のフォームの美しさで得点を競います。
飛び板飛び込みは、ジェラルミンボードの反動で高く跳ねながら演技をおこなうため、難易度が高い種目だと言えます。
高飛び込みの基本的なルール
高飛び込みでは、5メートル、7.5メートル、10メートルのどれかの高さにある「飛び込み台」から、プールに飛び込みます。飛び込み台は、飛び込み板とは材質が違い、あまり弾力性はありません。
そのため、高くジャンプするというより、板から下に落ちるような形で競技が行なわれます。高飛び込みでも、着水するまでのわずかな時間に、さまざまな演技を行います。着水時のフォームも、飛び板飛び込み同様に評価ポイントになります。
高さ10メートルの地点から落下する場合、重力によって、着水時には時速50キロメートルもの速度になっています。そのため、恐怖を克服して、精神状態を保つことが重要です。
飛び込み演技の組み立てルール
飛び板飛び込みでも高飛び込みでも、事前にどんな演技をするかを「演技種目申込用紙」に記入して提出しなければいけません。
演技の選び方には、「自由選択飛び」と「制限選択飛び」の2種類があります。自由選択飛びは、選手自身が好きな演技を選べます。制限選択飛びは、演技で選べる「難易率」が決められていて、その数値内でおさまるように演技を組み立てます。
飛込競技の採点方法は?
飛込競技は、着水するまでの「演技」の完成度と「着水時」のフォームで採点されます。採点は5人、もしくは7人の審判が行います。
審判5人の場合は、最高点を出した審判と最低点を出した審判の2人を除いた「3人の点」を合計します。7人の場合は、上位、下位それぞれ2人を除いた真ん中の「3人の点」を合計します。これらの点数に、演技の「難易率」を掛けたものが得点となります。
各審査員の点数は、10点、9.5点、9点と、10点から0点までの間を0.5点刻みでつけられます。
ペア種目の場合は、演技の審査員とは別に「同調性」を判定する審判が増え、合計9人か11人になります。こちらでも、高得点と低得点を付けた審判を除いた「5名の点数」が採用されます。
飛び込みの種類
飛込競技の演技内容は、次の3つの要素の組み合わせで決まります。
- 飛び込み方向
- 着水するまでの姿勢
- 宙返りの数
このうち宙返りの数については、原則として、着水までにおこなった宙返りの数が多いほど高難易度の演技だとみなされます。
飛び込みの方向は6種類ある
飛び込みの方向は、以下のように第1群から第6群までの6種類があります。
- 第1群 前飛
- 第2群 後飛
- 第3群 前逆飛
- 第4群 後踏切前飛
- 第5群 捻り飛込
- 第6群 逆立ち飛込
「前飛」は、飛び込み板(飛び込み台)から前方向に踏み切って、そのまま前方に飛び込みます。「後飛」は、板に向かって後ろ向きに立ち、そのまま後ろに飛び込みます。
「前逆飛」は、前に向いて踏み切って、後ろ回転(バク宙)をしながら飛び込みます。「後踏切前飛」は、板に向かって後ろ向きに立ち、前に回転(宙返り)しながら飛び込みます。
「捻り飛込」は、第1群から第4群までの飛び込み方に、「ひねり」を加える飛び込み方法です。「逆立ち飛込」は、台の上で逆立ちをして、そのまま飛び込みをします。逆立ち飛込だけは、高飛び込み専用の飛び込み方法となっています。
飛び込みの時の姿勢は4種類ある
飛び込む際の姿勢には、次の4種類があります。
- 伸型(A)
- 蝦型(B)
- 抱型(C)
- 自由型(D)
「伸型」では、腰も膝も曲げず、両足を揃えます。ただし、腕の位置については任意です。
「蝦型」では、膝はまっすぐに伸ばし両足も揃えますが、腰は曲げます。
「抱型」では、腰も膝も曲げ、腕で足を抱え込む姿勢をとります。
「自由型」は、ひねりを入れた飛び込みで使う姿勢であり、AからCまでの型を好きなように組み合わせて使うことができます。
飛び込みの練習方法とコツ
飛び込みの練習をする場合、まず、その「プール」が飛び込みを許可しているかどうか確認しなければいけません。普通のプールでは、たいがいの場合、飛び込みが禁止されています。
飛び込み禁止のプールで飛込競技の練習をするのは、まわりに迷惑になるだけでなく、自分も怪我をしてしまう危険性がありますので、絶対にやめましょう。
飛込競技の練習の流れ
初心者が飛込競技をおこなう場合は、次のような手順で飛び込みに慣れていきます。
- 飛び込み姿勢の練習をする
- 着水の練習をする
- 高さ1メートルの飛び込み台から慣らしていく
- 反復練習をする
いきなり飛び込むのではなく、まず飛び込む際の「姿勢」の練習をします。キレイなポージングを取れないと、着水時に変な落ち方をしてしまう可能性があります。
次に、プールサイドから着水の練習をして、指先からスムーズに入水できるようにします。水しぶきがあまり立たず、着水時にお腹や足などを打たないフォームを会得しましょう。
ここまできたら、高さ1メートルの飛び込み台から実際に飛び込みをしていきます。そして1メートルに慣れたら、3メートル、5メートルと、高い台からの飛び込みの練習をします。
以後は、美しい飛び込みができるまで、反復練習を続けていきます。
まとめ
飛び込みは水泳競技の1つです。低いところに設置された「飛び込み板」でおこなう「飛び板飛び込み」と、高いところに設置された「飛び込み台」からおこなう「高飛び込み」の2種目があります。
飛び込む際には、宙返りをしたり、体を捻ったりといった演技をおこないます。この演技の精度と美しさと、着水フォームで「採点」がおこなわれます。
飛び込みの練習をしたい場合、飛び込みが許可されている「ダイビングプール」を探してみましょう。ただし「飛込認定」を持っていないと勝手に練習はできません。最初は、講師についてもらって飛び込みについて学びましょう。
(TOP写真提供 = Markus Spiske / Unsplash.com)
《参考記事一覧》
高飛び込みを習ってきました。飛び込み競技教室の体験談・感想( SwimmingLovers 水泳愛好家のブログ)
水泳の飛び込みを練習する5つのステップと2つの注意点( Zehitomo Journal)