1896年のアテネ五輪以降、夏季オリンピックは東京大会が32回目。冬季オリンピックは次回の北京大会が24回目となります。以下、過去のすべての五輪開催地を振り返るとともに、最近始まったユース五輪の開催地、オリンピック開催地が決まるまでのプロセスやオリンピック開催をめぐる課題点なども探っていきます。
オリンピックの歴代開催地
1896年に第1回近代オリンピックがアテネで開催されて以来、前回2016年のリオデジャネイロ大会まで、31回の夏季オリンピックが行われました。
冬季大会は、1924年シャモニー・モンブラン大会に始まり、2018年の平昌大会まで23回が開催されています。
以下、これまでの歴代開催地(中止になった大会も含む)に加え、既に決定している今後の大会の開催地をご紹介します。
夏季大会
第1回(1896年) アテネ(ギリシャ)
第2回(1900年) パリ(フランス)
第3回(1904年) セントルイス(アメリカ)
第4回(1908年) ロンドン(イギリス)
第5回(1912年) ストックホルム(スウェーデン)
第6回(1916年) ベルリン(ドイツ)※中止
第7回(1920年) アントワープ(ベルギー)
第8回(1924年) パリ(フランス)
第9回(1928年) アムステルダム(オランダ)
第10回(1932年) ロサンゼルス(アメリカ)
第11回(1936年) ベルリン(ドイツ)
第12回(1940年) 東京(日本)※返上→ヘルシンキ(フィンランド)※中止
第13回(1944年) ロンドン(イギリス)※中止
第14回(1948年) ロンドン(イギリス)
第15回(1952年) ヘルシンキ(フィンランド)
第16回(1956年) メルボルン(オーストラリア)・ストックホルム(スウェーデン)
第17回(1960年) ローマ(イタリア)
第18回(1964年) 東京(日本)
第19回(1968年) メキシコシティー(メキシコ)
第20回(1972年) ミュンヘン(西ドイツ)
第21回(1976年) モントリオール(カナダ)
第22回(1980年) モスクワ(ソ連)
第23回(1984年) ロサンゼルス(アメリカ)
第24回(1988年) ソウル(韓国)
第25回(1992年) バルセロナ(スペイン)
第26回(1996年) アトランタ(アメリカ)
第27回(2000年) シドニー(オーストラリア)
第28回(2004年) アテネ(ギリシャ)
第29回(2008年) 北京(中国)
第30回(2012年) ロンドン(イギリス)
第31回(2016年) リオデジャネイロ(ブラジル)
第32回(2020年) 東京(日本)
第33回(2024年) パリ(フランス)
第34回(2028年) ロサンゼルス(アメリカ)
冬季大会
第1回(1924年) シャモニー・モンブラン(フランス)
第2回(1928年) サン・モリッツ(スイス)
第3回(1932年) レークプラシッド(アメリカ)
第4回(1936年) ガルミッシュ・パルテンキルヘン(ドイツ)
第5回(1948年) サン・モリッツ(スイス)
第6回(1952年) オスロ(ノルウェー)
第7回(1956年) コルチナ・ダンペッツオ(イタリア)
第8回(1960年) スコーバレー(アメリカ)
第9回(1964年) インスブルック(オーストリア)
第10回(1968年) グルノーブル(フランス)
第11回(1972年) 札幌(日本)
第12回(1976年) インスブルック(オーストリア)
第13回(1980年) レークプラシッド(アメリカ)
第14回(1984年) サラエボ(ユーゴスラビア)
第15回(1988年) カルガリー(カナダ)
第16回(1992年) アルベールビル(フランス)
第17回(1994年) リレハンメル(ノルウェー)
第18回(1998年) 長野(日本)
第19回(2002年) ソルトレークシティ(アメリカ)
第20回(2006年) トリノ(イタリア)
第21回(2010年) バンクーバー(カナダ)
第22回(2014年) ソチ(ロシア)
第23回(2018年) 平昌(韓国)
第24回(2022年) 北京(中国)
第25回(2026年) ミラノ/コルチナ・ダンペッツオ(イタリア)
ユースオリンピックの開催地
ユースオリンピックは、14歳から18歳までのアスリートを対象として行われる総合スポーツ大会で、IOC(国際オリンピック委員会)が主催します。
オリンピック同様に4年に一度の開催で、夏季大会と冬季大会があります。以下、これまでの開催地をご紹介します。
夏季大会
第1回(2010年) シンガポール(シンガポール)
第2回(2014年) 南京(中国)
第3回(2018年) ブエノスアイレス(アルゼンチン)
第4回(2022年) ダカール(セネガル)
冬季大会
第1回(2012年) インスブルック(オーストリア)
第2回(2016年) リレハンメル(ノルウェー)
第3回(2020年) ローザンヌ(スイス)
オリンピックの開催地はいつ決まる?
オリンピックの開催地はいつ決まるのでしょうか。
IOCの原則では、開催の7年前に決めるのが通例です。
随分前に決まるのだなという印象もありますが、必要な競技場や選手村を建設し、インフラ等を整備するなど準備が大変です。
さらに運営に必要となる資金を調達するのにも時間が必要となります。
開催地決定までの流れは、まず開催を希望する都市は8年前までに立候補することになっています。
立候補の申請をするとIOCから質問状が届き立候補した理由や、「資金面に不安がないか」や「国を挙げて支援してもらえるか」といった質問に回答する必要があります。
その後の書類選考の結果、まずは5都市が正式候補都市に選ばれます。
やがて都市評価委員会のメンバー16人が各都市を現地視察し、報告書をまとめます。
このようなプロセスを経て、開催7年前の年にIOC委員会で投票が行われ、開催地が決定するのです。
オリンピック招致に立候補する都市が減少?その理由とは?
2020年の東京オリンピックの次は、2024年大会はフランスのパリでの開催が決定し、さらに2028年はアメリカのロサンゼルスでの開催が既に決まっています。
しかし、近年ではオリンピック開催地に立候補する都市が年々減少していることが懸念されています。
2004年にアテネで夏季五輪が開催されましたが、当時立候補したのは世界に11都市でした。
ところが、2016年のリオデジャネイロ大会の時は7都市に減り、2020年東京大会では5都市でした。さらに2024年パリ大会では、わずか2都市しか名乗りを上げなかったのです。
その理由は、自治体がオリンピックを開催したいと意思表示をしても、地元住民が強行に反対して断念するという事態が増加しているからです。
例えば、2024年のオリンピックに立候補をしようとしたアメリカのボストンでは、地元での反対運動が起こり、2015年に招致から撤退を決めました。
カナダのカルガリーでも、住民投票の結果、圧倒的多数で2026年の冬季オリンピック招致から撤退しています。
では、なぜ地元住民はオリンピック招致に反対するのか。理由はオリンピックを開催することによって財政的な負担があまりにも多大になることが大きいようです。
東京オリンピックでは、招致時に8000億円程度を見込まれたいた開催費用が実際には3兆円もかかると言われて、問題となっています。
近年での実態を見ても、2014年ソチ冬季五輪では510億ドル(約5兆円以上)もの大金がつぎ込まれました。
年々肥大化する一方のオリンピック・パラリンピックは、もはや自治体にとって財政的なデメリットが大き過ぎるのです。
また、環境への負荷も心配されます。しかも、大会終了後に有益な活用が見込まれる施設が決して多くないことも懸念されています。
オリンピックに向けて多くの競技施設を建設したリオデジャネイロでは、その後ほとんどの競技施設が放置され、環境面でも危険な存在となっているのが現状です。
今後は、なるべく既存の施設やインフラを活用するなど、コスト削減が可能な方向を目指す方法も模索されそうです。
いずれにしても、今後オリンピックを開催できるのは、財政的に裕福な都市でないと困難かもしれません。
まとめ
以上、オリンピックの開催地に着目して、これまでの開催地や今後の課題などをまとめてみました。
過去の開催地をあらためて見てみると、一部の国や地域に集中しているような感覚にもなりましたが、財政面の不安などを考慮すると、新規の都市がオリンピックに立候補するのは難しいかもしれませんね。
実際に、東京以降のパリやロサンゼルスは、過去に開催実績のある都市ばかりです。今後のオリンピック開催都市に注目していきたいと思います。
(TOP写真提供 = lazyllama / Shutterstock.com)
《参照記事一覧》
なぜオリンピック招致から撤退する都市が相次いでいるのか(NEWS JAPAN)
オリンピックの正式種目と開催地の決め方(共立女子大学・共立女子短期大学)
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