サッカー中継やテニス中継などで見られるビデオ判定は、ソニーが提供するVARというシステムによるものです。
このシステムを開発したのは、ホークアイという会社です。
ホークアイはソニーが買収した企業ですが、このホークアイの技術とソニーの技術力とを融合させることで、ビデオ判定が可能となるVARが開発されました。
今回は、VARはどういうシステムなのか、また、ソニーがスポーツビジネスに参入したのはなぜなのか、紹介します。
ソニーが提供!話題のVARって何!?
通信機材大手の「ソニー」は、様々なスポーツにVARを提供しています。VARとは、ビデオ判定による審判支援システムのこと。わかりやすく言えばビデオ判定のことです。
スポーツでは、正しい判定が難しいときがありますが、そんなときにVARを使用することで、より正しいフェアなジャッジが可能になるのです。
VARとはビデオ判定のこと!
VARは、ビデオアシストレフリーと呼ばれるものであり、一般的にはビデオ判定と言われています。
何年も前から導入されているのがプロ野球です。
プロ野球では、ベンチが要求すればビデオ判定を行うようになっていて、判定が微妙なシーンをVARで再現し、正しいジャッジを可能としています。
このビデオ判定システムであるVARは、徐々にその適応範囲を広げていて、オリンピックなどの国際大会でも多くの競技で導入されています。
VARは、ラインギリギリの判定が難しいバドミントンやバレーボールなどの競技でも導入されていますが、サッカーでは試合のスピード感が落ちるとして敬遠されてきました。
常に状況が動き続けるサッカーでは、試合を止めてしまうことに対する抵抗があるようです。
そのため、一部のヨーロッパリーグ(オランダなど)ではすでに導入されているものの、日本やサッカー大陸の南米では、今だに導入されていません。
サッカーで使える基準は?
サッカーでは、VAR使用を要求できるのは主審のみとされています。
他の審判はもちろん、監督や選手が要求することはできません。ちなみに、選手が要求した場合、イエローカードとなります。
その理由は、「テンポが悪くなってしまうから」です。
サッカーの場合、試合のテンポも大事にされているので、それを妨害するようなシステムは歓迎されにくいのです。
そのため、主審も試合の結果に左右される場面に限り、VARを使用できます。
試合の結果を左右する場合とは、具体的には次のような場合です。
・ゴールが決まったかどうか
・PKかどうか
・警告、退場に関する判定
・選手の見間違い防止
サッカーのような得点が入りにくい競技では、ゴールが決まったかどうかやPKを行うかどうかの判定は試合に大きく影響します。
また、ファウルの度合いにより警告、退場の判断をくださなければならない場合も、客観的に見直す必要があります。
このように、ゲームの勝敗にダイレクトに影響する場合のみVARの使用が認められているのです。
ソニーがスポーツビジネス業界に参入したワケとは?
さて、そんなVARですが、実は日本の大企業である「ソニー」が大きく関わっています。
スポーツの審判支援システム(VAR)を開発したのはホークアイという企業ですが、そのホークアイをソニーが買収したことで、VARはソニーの技術となりました。
VARの技術をソニーが使えるようになったことで、得意のカメラ・映像部門などの部門と融合。
高画質のカメラで判定することで、より精度の高い判定が可能になったのです。
VARはすでに20競技に取り入れられていますが、このシステムを導入する競技はこれからも増えていくでしょう。
ソニーのVARのすごいところ!
ソニーのVARのすごいところは、サッカーのような判定が困難なスポーツのジャッジを助け、観客に好印象を与えることにあります。
フェアプレーだからこそファンの心をひきつける魅力がある
大きい競技大会だと、観客もヒートアップしますよね。そこで疑惑の判定などが起きると、最悪の場合、暴動に繋がります。
そこで、VARの出番です。
判定が分かりにくいシーンをスタジアムや中継で再現することによって、ファンがジャッジに納得できるようになるのです。
また、VARによってファウルギリギリのプレーや選手のごまかしをしっかり判定することができるため、アンフェアなプレーをする選手が減るなど、フェアプレーが期待できるようになります。
実際に、ヨーロッパのリーグ戦でVARを導入したところ、そういった行為(シミュレーション行為)が前年に比べて43.7%減少しました。
また、本格導入されたワールドカップでのレッドカードは合計4枚(以前は10枚以上はあった)になるなど確実な効果が表れています。
エキサイティングでスリリングな演出も!
VARの導入は、正しい判定をするだけでなく、エキサイティングでスリリングな演出も可能にしてくれます。
際どい判定の際に、プレーを止めて映像で見直すことで、会場全体で結果を待つスリリングな時間ができ、観客の気持ちがひきつけられるのです。
また、オーストラリアリーグでは、判定を待っている際にCMを流すなどの工夫もなされています。
こういった体験がサッカーの魅力になれば、CMで流された商品の売上にもつながることでしょう。
ロシアワールドカップでの成果
ロシアワールドカップでの実績を具体的に見てみましょう。
ロシアワールドカップでは、64試合中455プレーがVARによって確認されました。そのうち、試合中のビデオ確認は20回。判定が覆ったのは17回であり、その効果が数字に現れています。
特に、ゴールに関するジャッジは的確に行われました。リアルタイムでボール位置を判定し、ゴールが認められれば1秒以内に主審に通知するというシステムのたまものでしょう。
さらに、ビデオ判定の精度を上げるための仕組みも設けられています。
ワールドカップのビデオ判定は、モスクワの国際放送センターでスペシャリストが確認し、判定を下す仕組みであり、公平で正確なジャッジができるようになっていました。
判定のスピードも速く、平均して80秒程度。
試合の流れを止めてしまうことを懸念する人もいましたが、その懸念を見事に解決しました。
これからのソニーのスポーツビジネス業界の展開は?
ソニーは、VARという素晴らしい技術を広めようとしています。
技術や使用方法に関する理解を広めて、データの収集を正しく行えるようにすることで、コーチングの強化やスポーツそのものの強化につなげていこうと考えています。
また、規模の大きいスポーツ業界に参入してビジネス規模を広げるために、スポーツ映像のコンテンツ配信を増やすなど、VARの技術利用によるビジネスの多角化も狙っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ソニーは世界に誇る映像技術を持っている企業であり、その技術を競技のスムーズな運営に役立てることで、技術力の高さを世界に広めています。
今後は、配信サービスなどのジャンルでもその技術を生かしていこうと考えているソニー。
スポーツ観戦の際は、ソニーの技術を利用したシステムに注目してみても面白いでしょう。
◇参考記事一覧
ソニーが「スポーツテック」で天下を取れるワケ、子会社ホークアイは何がヤバいのか?(ビジネスIT)