テニスのタイブレークとは?ルールと流れを解説!

3セットマッチであれば2セットを、5セットマッチであれば3セットを先にとった方が勝ちとなるテニス。

この1セットは基本、6ゲームを先取した方が勝ちとなりますが、「6-6」となった場合、決着をつけるための延長戦「タイブレーク」にもつれこみます。

本記事では、タイブレークについて、詳しく解説しています。

タイブレークとは

テニスの一般的な試合では、先に6ゲームを取った方がそのセットを制したことになりますが、その際、2ゲーム以上リードすることが条件となっています。

しかし、選手の実力が拮抗している場合、「6-6」となることも少なくありません。

そんな時に用いられるのがタイブレークです。

タイブレークとは、ゲームカウントが6対6になった時にのみ行われるミニゲームのこと。

1971年に初めて導入されたシステムであり、このタイブレークに勝った選手がそのセットを制するのです。

通常、テニスのゲームのスコアは0、15、30となっていますが、タイブレークの際は1、2、3と増えていきます。

タイブレークは7ポイントを先にとった方が勝ちですが、この場合も、2ポイント差がつくことが条件となっています。

タイブレークを用いる理由

タイブレークが導入されたのは「試合時間の短縮」のため。

テニスの試合は、1試合が3時間を越えることもよくあるため、試合時間を短くすることで、大会をスムーズに運営すること、そして、選手に無駄な負担をかけることを防ぐことができるのです。

ゲームカウント6対6でタイブレークを行うのが通常ですが、大会によっては5対5で行う場合も。

試合の大会要項を確認してみるといいでしょう。

スーパータイブレーク

試合時間を短縮するためのシステムとして、タイブレークの他に「スーパータイブレーク」というものもあります。

これは、4大大会の1つである全豪オープン、最終セットで採用されているものであり、タイブレークと違うのが10ポイント先取である、ということ。

10ポイントマッチタイブレークとも呼ばれます。

タイブレークの流れ

写真提供 = flou gaupr / Unsplash.com

通常、タイブレークでは先に7ポイント獲得した選手が勝ちとなります。しかし、その際に注意しなければいけないのが、2ポイント差をつけなければ勝負がつかないということ。

サーブの仕方や、ポイントの数え方にも、独特なルールと流れがあるので注意が必要です。

サーブの交代

通常、テニスでは、1ゲームが終わるまで同じ選手がサーブをします。

自分のコートの右側を「デュースサイド」、コートの左側を「アドバンテージサイド」といいますが、デュースサイドからはじめて、次にアドバンテージサイド、と順にサーブします。

一方、タイブレークは、最初の一本を除いて、2ポイント目以降はサーブ権が交代します。

1ポイント目のサーブは、1人目の選手がデュースサイドから、2ポイント目になると、相手選手がアドバンテージサイドからサーブ、3ポイント目は2ポイント目と同じ選手がデュースサイドから、そして、4ポイント目は最初の選手がアドバンテージサイドから、サーブを行います。

サーブは、デュースサイドとアドバンテージサイドの交互に行われるのは変わりませんが、1ポイント目のサーバーは1回目のサーブだけ、2ポイント目以降は2ポイントずつサーブしながら、ゲームが進む、と覚えておくといいでしょう。

チェンジコート

タイブレークでは、チェンジコートが行われます。

最初にチェンジコートが行われるのは、スコアが6-0や4-2など、2組の合計ポイントが6ポイントになる時。

2度目は、合計ポイントが12ポイントに、3度目は18ポイントになった時に行われます。

チェンジコートは休憩時間でもありますが、タイブレークの時には、座ることはできず、ドリンクを飲む程度でコートを入れ替わらなければなりません。

ポイントの数え方

ゲーム中とタイブレークでは、1ポイントごとの点数と呼び名が異なります。

以下の表は、ゲーム中とタイブレーク中のスコアの数え方です。

 ゲーム中タイブレークスーパータイブレーク
00(ラブ)0(ゼロ)0(ゼロ)
1点目15(フィフティーン)1(ワン)1(ワン)
2点目30(サーティー)2(ツー)2(ツー)
3点目40(フォーティー)3(スリー)3(スリー)

タイブレーク中とスーパータイブレーク中のポイントは、1点ずつ数えていくのでとてもシンプルです。

また、アナウンスする際は、先にサーバー側のポイントがアナウンスされます。

大会によって異なるタイブレークのルール

「全豪オープン」「全仏オープン」「ウィンブルドン選手権」「全米オープン」は、グランドスラムと呼ばれていて、もっとも権威のあるテニスの大会です。現在は、グランドスラムにもタイブレークが採用されています。

しかし「ファイナルセット」に限り、試合決着のルールがそれぞれ異なります。つまり、男性の5セットマッチの場合、4セットまでは通常通りですが、5セット目は別ルールが適用されるということです。

大会名ファイナルセットのルール
全豪オープン6-6になったらスーパータイブレークで決着
全仏オープンアドバンテージ・セットで決着
ウィンブルドン選手権12-12になったらタイブレークで決着
全米オープン6-6になったらタイブレークで決着

全豪オープンのファイナルセット

全豪オープンでは、2019年からファイナルセットに「スーパータイブレーク」が適用されるようになりました。

全豪オープンでは、2017年に「イボ・カルロビッチ」と「オラシオ・セバジョス」の対戦が、5時間14分かかる激闘となりました。試合は「6-7(6-8)」「3-6」「7-5」「6-2」というスコアでフルセットになり、ファイナルセットは「22-20」までゲーム数が増えました。結果はイボ・カルロビッチの勝利。

また女子シングルスでも、2011年に「フランチェスカ・スキアボーネ」と「スベトラナ・クズネツォワ」の試合が、4時間44分かかる熱戦になっています。スコアは「6-4」「1-6」「16-14」でフランチェスカ・スキアボーネが勝利しました。

こうした長すぎる試合が生まれたことも、スーパータイブレーク採用に繋がったと考えられます。

全仏オープンのファイナルセット

全仏オープンのファイナルセットは、「アドバンテージ・セット」です。アドバンテージ・セットは、2ゲーム差がつくまで、延々と試合を続けるという方式です。

全仏オープンでも2004年に「ファブリス・サントロ」と「アルノー・クレモン」の試合が、6時間33分かかっています。スコアは「6-4」「6-3」「6-7(5-7)」「3-6」「16-14」で、ファブリス・サントロの勝利。

しかし全体で見ると、全仏オープンでは長期戦はあまり起こっていません。そのため、全仏オープンの運営は、今のところタイブレークの採用は考えていない、と言っています。

ウィンブルドンのファイナルセット

2019年より、ウィンブルドンではタイブレークを取り入れることが決まりました。ただし、ゲーム数が12-12になってから。ですので従来通りの長期戦も楽しめるようになっています。

ウィンブルドンでは、2010年に「ジョン・イズナー」と「ニコラ・マウ」の試合が、11時間5分かかるという、テニス史上最長の試合になっています。この1試合を終えるまでに「3日」もかかりました。スコアは「6-4」「3-6」「6-7(7-9)」「7-6(7-3)」「70-68」で、ジョン・イズナーが勝ちました。

また、2018年にも同じ「ジョン・イズナー」が、「ケビン・アンダーソン」と6時間36分の激戦を繰り広げています。スコアは「6-7(6-8)」「7-6(7-5)」「7-6(11-9)」「4-6」「24-26」で、ケビン・アンダーソンが勝利しています。

こうした長期戦の影響で、伝統を重んじるウィンブルドンもタイブレークを採用を決めたようです。

全米オープンのファイナルセット

全米オープンでは、1970年という早い時期からタイブレークを採用。タイブレーク無しで試合が長引き過ぎると、テレビで放送するのに都合が悪い、というのが早々に導入した大きな理由のようです。

2019年に全豪オープンとウィンブルドンがファイナルセットのルールを変更しましたが、全米オープンはこれまで通りのルールを維持しています。

まとめ

今回は、テニス用語のタイブレークについて解説しました。

試合の時間短縮や選手の必要以上の体力消耗を考慮して取り入れられたタイブレーク。

通常のテニスのゲームとはスコアの数え方やサーブの仕方が違い、同じタイブレークでも大会によってルールが異なるため、その大会のタイブレークの条件・ルールを確認しながら観てみてください。

(TOP写真提供 = DENCHIK / Unsplash.com)


《参考記事一覧》

カルロビッチが計84ゲームの死闘を制す、エースは驚異の75本 写真4枚 国際ニュース(AFPBB News)

意外と知らないテニスのタイブレークを知る!(テニスナビ)

テニス史上最長となった、3日がかり11時間5分の死闘【ウィンブルドン名試合】(THE TENNIS DAILY)

フェデラーがロディックとの果てしなき死闘を制し、前人未到のGS15勝目!/2009年男子決勝【ウインブルドン名勝負】(ニフティニュース)

6時間36分の死闘を終え、イズナーが最終セットのタイブレーク導入を提案 [ウインブルドン] (テニスマガジンONLINE|tennismagazine.jp)

グランドスラム、5セットめのタイブレーク、ルールまとめ(見るテニス)

全仏のみタイブレークを採用せず 2019年全豪と全英で最終セットのルールが変更(【SPAIA】スパイア)

Longest tennis match records(Wikipedia)

テニスのタイブレークのルールややり方は?【図で解説】(Tennisやろうよ

今さら聞けないテニスのイロハ〜第2回 テニスの「タイブレーク」について〜(THE TENNIS DAILY)

テニスのタイブレークとは?ルールを解説(テニスベア)

テニスのスーパータイブレークとは?タイブレークとどう違うのか(テニナゾ)

ウィンブルドンもファイナルセットにタイブレーク導入(見るテニス)

80 【図解&動画付き】テニスのタイブレークを超徹底解説(テニスセルフジャッジ超解説)