「ウェルネス」ってどんな意味?知っておきたい7つの指標を紹介

最近、よく耳にすることが多くなった「ウェルネス」というワード。欧米では健康への新しい概念として一般的になっており、広く認知されています。ただし、国内ではその言葉の意味や概念を、きちんと理解していない方はまだ多いのではないでしょうか?

本記事では「ウェルネス」の7つの指標や、活用されている産業の実例をご紹介。「ウェルネス」を通して「健康的な生き方」について見つめ直してみましょう。

「ウェルネス」とはどんな意味なの?

「ウェルネス」(wellness)」は、英語の「well」(健康な、元気な)と「ness」の2つの単語を合わせたものであり、「健康」を肉体的な捉え方ではなく、より広義的かつ総合的に捉えた概念です。

1961年に米国のハルバート・ダン医師によって提唱され、「生き生きして、輝いている状態」を意味します。

「ウェルネス」に混合されがちな言葉に「ヘルス(health)」がありますが、ヘルスは肉体的や精神的に健康であり、病気を予防する身体作りを目的としたニュアンスで使用される言葉。

「ウェルネス」と「ヘルス」と明確な違いとして、ウェルネスは病気などの有無ではなく、社会的に良好な状態であることが挙げられます。これは治療や看護をされるといった受け身なものではありません。

「ウェルネス」の定義を前向きかつ自発的な健康促進の手段として捉え、それを受け入れていく傾向が日本の各産業やフィットネス業界で広まってきています。

「7つのウェルネス」指標の意味を解説

写真提供 = Mariah Krafft / Unsplash.com

「ウェルネス」の7つの指標は「輪」で表されますが、この7つの要素すべてを満たされなければ健康とは言えないとされています。

この7つの要素は

  • 感情
  • 精神
  • 知性
  • 身体
  • 社会的
  • 職業
  • 環境

であり、「7つのウェルネス」は、健康でいながら長生きするための指標と言われ、新しい概念として浸透しはじめています。

それぞれの要素について、1つずつ見ていきましょう。

【感情のウェルネス】

感情は、私たちが生活する中でとても重要な役割を果たしています。精神的バランスを保つことは、生活習慣のコントロールする上でとても大切です。近年、感情をコントロールすることで心臓棒病や脳卒中のリスクを下げるとも考えられています。

ストレスに上手く対処することは、病気予防や健康促進にとって重要な要素となるといえるでしょう。

【精神のウェルネス】

人が生きていく中で目的や意味を持つことは、健康であるということを実感したり社会とのつながりを感じる上で大切なこと。米国では「精神」が健康に与える影響が認知されていますが、精神のウェルネスに役立つものとして、自分と向き合うことができる瞑想やヨガ、太極拳などが挙げられます。

これらは、精神的な安定のほかに、転倒の予防や高血圧、認知能力の改善にも効果があることが医学的に証明されています。

【知性のウェルネス】

知性のウェルネスとは、自分の興味がある分野で、創造性の追求や知的好奇心がそそられる活動をすること。具体的には、旅行や映画、執筆活動やパズル、学校の授業などが挙げられます。

これらは精神状態や口内環境、食事内容などの生活習慣に影響を与えると考えられています。年齢を重ねていく中で、特に意識をしておくべきポイントになります。

【身体のウェルネス】

自立したライフスタイルを送っていく為には、身体的な「ウェルネス」は必須となります。「病気にならない」、「病気を早期発見」、「病気を悪化させない」ということが重要で、睡眠や栄養の質、ストレスの軽減やアルコール摂取量の減少、禁煙や医療機関の定期受診などが該当します。

【社会的なウェルネス】

新しい情報を触れることで精神的に良い刺激となり、生活の質を改善することができます。社会的なウェルネスには、家族や友人などと交流をもつことが有効です。

対人関係が苦手で社会的に孤立した人は、高血圧や糖尿病になりやすくなることが研究結果が出ています。

【職業のウェルネス】

人は、仕事をしていく中で人生の目的や意義を見出し、主体性を持ちながら物事の選択をしていくことが大切です。人生の満足度が高いほど長生きすることが、多くの研究で報告されているなど、職業のウェルネスは生活の質を大きく左右し、人生の満足度に影響するもの。

経験を生かしたメンターやボランティア、趣味を生かして講師として活動するなど、さまざまな活動をすると良いでしょう。

【環境のウェルネス】

環境というと生活環境を思い浮かべる方が多いと思いますが、環境のウェルネスには職場や対人関係、経済状況なども含まれています。ストレスの感じ方には個人差がありますが、自分に合う環境づくりを心がけて、適度なストレスを維持していくことが大切です。

強いストレスがかかると、高血圧やうつ病のリスクが高まります。ストレスを避けて社会で孤立してしまうと、病気へのリスクが高くなると考えられているので、周りと交流しながら、ストレスのかからない環境を築くことが大切です。

ビジネスとの融合?!ウェルネス産業とは? 

ウェルネスについて、ビジネスや利益につながる点に魅力を感じている企業も増え、ビジネスに「ウェルネス」を取り入れるいわゆる「ウェルネス産業」という言葉も出てきています。

「ウェルネス」と「ビジネス」の関わりについて2つの実例をご紹介します。

【ウェルネスツーリズム産業】

ウェルネスツーリズムとは、心や体の健康の維持を目的とした観光のこと。温泉やヨガ、瞑想やヘルシーな食事などがこれに当たります。

フロントでスマートフォンやPCなどを預かることで、滞在中、デジタルから離れた生活を提供する宿泊施設なども出てきています。

【ウェルネス不動産】

ウェルネス不動産とは、自然との融合を意識した建物や人体に害の少ない優しい光の照明などが使用されているなど、心身ともに健康を維持できる建物づくりを目的としたもの。

アプリを運用して社員へのダイエットを促したり、有給休暇を増やす取り組みを行うなど、「ウェルネス」を会社内での活動に活用する企業も増えてきています。

まとめ

「ウェルネス」について説明しましたが、いかがでしたでしょうか?

「ウェルネス」は、生活や職場のさまざまな環境で良い影響を与えるものであり、生活の質の向上や改善、病気の予防などに良い結果をもたらすもの。

欧米では「ウェルネス」の概念が広く浸透しており、当たり前の習慣となりつつあります。

今後、日本でも充実したライフスタイルに向けた取り組みに視線が向けられ、さらに注目を集めていくことでしょう。

(TOP写真提供 = Emma Simpson / Unsplash.com)


《参考記事一覧》

健康に長生きするための新指標「7つのウェルネス」を知っていますか?【予防医療の最前線】(huffingtonpost.jp)