体幹と呼ばれる体を支える筋肉を鍛えるには、トレーニングとして、腹筋・腕立て伏せ・スクワットが効果的です。その中で腹筋の鍛え方には、膝を立てて腹筋で起き上がるシットアップ運動や、ドローイングと呼ばれるお腹を凹ませる運動などがありますが、この腹筋ローラーを活用しての運動も効果的です。
それでは、腹筋ローラーとは何かから、腹筋ローラーの選び方・使い方と効果、おすすめのトレーニングメニューなどを紹介しましょう。
腹筋ローラーとは
腹筋ローラーとはどういう器具でしょうか?腹筋を鍛えるトレーニングを助ける器具であり、タイヤ状の輪(ローラー)の左右にグリップが付いたシンプルな作りです。ダンベルぐらいの大きさで軽く持ち運びがしやすいこと、どこでもトレーニングができること、トレーニングの仕方によっては負荷の大きな運動も可能なこと、器具自体は違った使い方をしなければ危なくなく、比較的安価で手に入りやすいことから、人気のトレーニング器具です。
おすすめの腹筋ローラーの選び方
腹筋ローラーはいろいろなトレーニング器具メーカーが販売していますが、以下の3点が選ぶ際のポイントになるでしょう。
①静音設計のものが便利
マンションなどにお住まいの方ですと、夜のトレーニングで床を伝わる音が近所の迷惑になることがあります。タイヤがゴム製ですと、フローリングの床などに使っても音が響きにくく安心です。また、フローリングの床を傷つけることも少ないでしょう。
②膝マットがついていると便利
腹筋ローラーでは、膝で支えるトレーニングになるために、思いのほか膝に負荷がかかります。膝マットがついていると、膝にかかる負荷を軽減させ、膝への苦痛が和らぎます。
③傾斜ローラータイプだと腹斜筋を一層鍛えられる
初心者のうちは傾斜しない安定した腹筋ローラーがよいですが、上級になるにつれ、傾斜ローラーであるとローラーが斜めに動くことでより腹斜筋を鍛えることができます。
腹筋ローラーの使い方
腹筋ローラーは、タイヤ状のローラーを床につけて前方に転がすことで腹筋を伸ばし、また、腹筋を使って元の状態に戻すことで腹筋が鍛えられます。
腹筋ローラーで鍛えられる部位
腹筋ローラーでは、主に腹直筋と呼ばれる腹筋中央に位置する筋肉と、その側部にある腹斜筋、腕を使うため上腕三頭筋が鍛えられます。腹直筋が鍛えられるといわゆる「シックスパック」と呼ばれる割れた腹筋や、上腕が鍛えられると引き締まった二の腕が期待できます。また、背中の広背筋や脊柱起立筋などの体幹筋肉も鍛えられます。
腹筋ローラーの効果を高める使用上のコツ
腹筋ローラーでは、以下の使用上のコツを踏まえて行うと効果が高まります。
①正しい姿勢で行う
行う姿勢は、背中が反りすぎると腰を痛める原因になりますので、水平から猫背をキープするとよいでしょう。そして、おへそをのぞき込むように体を伸ばします。また、姿勢が悪かったり、最初から負荷をかけ過ぎたりすると、支える肩にも痛みが出ることがありますので気をつけましょう。
②腹筋を意識する
筋トレでは鍛えたい筋肉を意識するかどうかで効果が違ってきます。しっかりとトレーニングの効果が上がっているか、腹筋への負荷の度合いをチェックしつつ行うことが大切です。
③グリップをしっかり握る
腹筋ローラーを握る際には、手首を曲げずにグリップをしっかりと握ります。手首が曲がると力が逃げてしまい、しっかりと腹筋に負荷がかからなくなります。両腕の肘は、腹筋を伸ばす時も戻す時も、曲げずに伸ばしておくようにしましょう。
④呼吸を覚える
ローラーを転がす時と引き戻す時の呼吸を正しく覚えましょう。ローラーを前方に転がす時には、息を吸いお腹に空気を溜め込むようにします。引き戻す時には、お腹から空気を出し切るように息を吐きます。
効果はどれぐらい?使う頻度など
どのくらいで効果が出るか
筋トレ効果はすぐには体の変化として現れません。個人差はありますが3か月程度は必要でしょう。また、内臓脂肪を減らすためには有酸素運動と食事コントロールも並行して行う必要があります。ただ、継続して行うことで徐々に変化が見られます。また、トレーニングでは表面上の変化だけでなく、血流や内臓などの体の内側にもよい変化が現れますので、あきらめずに根気よくトレーニングを続けて行きましょう。
使う頻度について
腹筋は回復が速い筋肉ですので、毎日行っても問題はありませんが、筋肉痛になる場合は回復を待ってから行ってはいかがでしょうか。これから始める方であれば、毎日ではなく2〜3日に1度くらいから始めてみることをおすすめします。回数は5回×1セットから、徐々に増やして行きましょう。
毎日欠かさず行う方が早く変化が現れるのではないかと、毎日トレーニングを行う方もいます。ただし、トレーニングには個人差がありますので、運動を普段からしている方と、全くしていない方とでは運動量も変えなければなりません。成功した方の意見をそのまま取り入れるのではなく、自分の普段の運動量や体質などに合わせてトレーニングをすることが大切です。
腹筋ローラーを使ったおすすめのトレーニングメニュー
おすすめのメニューには段階的に基本的な3種類のメニューがあります。トレーニングの常識としては、軽い運動から徐々に負荷の大きい運動にしていくことが大切です。最初から一足飛びに上級者向けのメニューを行うことは、普段からハードな運動をしている方以外にはおすすめできません。
ひざコロン(初心者向け)
基本的な使い方の「ひざコロン」と呼ばれるトレーニングです。
①床に膝をつけて腹筋ローラーを顔の前あたりにセットします。
②床に四つん這いになり、腹筋ローラーの左右のグリップをそれぞれ両手で握ります。
③腹筋を意識しながら、息を吸いながらゆっくりと腹筋ローラーを前方に転がして行きます。
④体を伸ばす限界が来たら、ゆっくりと床にころんと倒れます。
⑤腹筋ローラーを使わずに、再び四つん這いになり、②から④を繰り返します。
負荷を減らすためには、両足のつま先を床につける状態から始め、慣れてきたらつま先を浮かした状態でやってみましょう。腹筋ローラーを転がす際には、両肘は伸ばした状態で体を伸ばします。
ひざコロ(中級者向け)
ひざコロンの説明④で、体をある程度伸ばしたら元の状態に引き戻します。元に戻す時にはゆっくりと息を吐きながら行います。元に戻すには腹筋にかなり力が必要なので、最初は数を少なく、5回×1セットから、徐々に増やして行くとよいでしょう。
立ちコロ(上級者向け)
かなりの負荷がかかりますので注意して行ってください。
①立ったまま腹筋ローラーの左右グリップを握り、前屈してローラーを床につけます。
②前傾して腹筋ローラーを前方に転がします。その際に膝は床にはつきません。
③体を前に伸ばして行き、ある程度伸ばしたところから、腹筋を使って元の状態に戻します。
④立った状態まで戻して1回として、5回×1セットから始めて行きましょう。
まとめ
腹筋ローラーについて、使い方とおすすめのトレーニングについて紹介しました。
筋トレに大切なのは、自分に合った負荷で行うことと、継続して行うことです。早く効果を出そうと焦り、効果が出ないからと怠る、ということが筋トレで筋肉を痛めたり、効果が出なかったりする一番の原因です。また、筋トレだけでなく並行して有酸素運動や食事コントロールも行いましょう。
まず自分に合った無理のない負荷から始め、徐々に負荷を増やして行きましょう。その結果、立ち姿や見た目もすっきりし、体の内側から健康な体を手に入れることができるでしょう。
(TOP写真提供 = Jonathan Borba/ Unsplash.com)
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