オリンピックでも採用の3人制バスケ「3x3」 競技発展のカギは「チームの持続可能性」

2014年に世界初の国際バスケットボール連盟(FIBA)承認の3人制バスケ「3x3(スリー・エックス・スリー)」トップリーグとして開幕した「3x3.EXE PREMIER」は、2023年には10年目のシーズンを迎える。3x3は東京オリンピックで新種目として採用されるなどメジャースポーツにもなりつつある。リーグに今後の方向性、そして新しく始まった「スポンサーマッチングサービス」について、運営のクロススポーツマーケティング株式会社代表取締役でリーグコミッショナーの中村考昭氏に伺った。

世界共通の「フェア」なルールで発展する3x3

3x3は世界共通のルールで運営される3人制バスケットボール。大規模なアリーナを必要とせず街中でも開催できる特徴がある。写真提供=3x3.EXE PREMIER

バスケットボールといえば5対5(5人制)で行われるイメージが強いが、世界中のストリートではその土地ごとにローカルな3on3が生まれ、カルチャーとして定着してきた。

転機となったのは2010年。国際バスケットボール連盟(FIBA)が3x3をバスケットボールの競技種目のひとつとして追加し、ユースオリンピックの正式競技として初めて実施されたことだ。時代が変わる中で、バスケットボールをよりグローバルスポーツにするために、5人制に次ぐ種目として戦略的に取り込まれた。

「3人制のバスケットボールは世界中でプレーされています。その中で3x3が大きく異なるのはグローバルでルールが統一されていること。それ以外の3on3は独自ルールで運営されている場合がほとんどです」(中村氏)

「世界中で楽しまれているが、プレーされる場所によってルールが異なる」というのは、トランプを想像すると分かりやすい。同じゲームなのにカードの役割が違ったり、使い方にお作法があったりする。3on3もこの典型で、地域だけでなく公園という小さな単位でさえローカルルールが存在する。

一方で、3x3のルールは世界共通。共通化したルールはプロスポーツに欠かせず、誰でもフェアに参加できることが競技参加の裾野を広げ、ビジネス的にもチャンスを生む。中村氏も「共通ルールがあることでプロリーグをどう作るのか、そして私たちなりのリーグの在り方や理想形は何なのかを考えられるようになりました」と話す。

クロススポーツマーケティングは2012年頃からいち早く3x3に着目。同社がプロモーターとなり、FIBAの承認を得て、世界初となる3x3の国際トップリーグ「3x3.EXE PREMIER」を2014年に立ち上げることとなった。

目指すは「持続可能性」 チーム経営のリスクを減らす

クロススポーツマーケティング株式会社代表取締役で「3x3.EXE PREMIER」リーグコミッショナーを務める中村考昭氏

3x3.EXE PREMIERは、一般企業のクロススポーツマーケティングが運営していることもあり、プロスポーツリーグとしては独自の路線を貫く。

一つ目はビジネスモデルだ。リーグは毎年チームからの参加申請を受け、地域カンファレンスに分けて試合を行う。試合の興行権はリーグが持ち、運営も行う。基本的に観戦は無料だが一部の有料チケットの販売もリーグが管理する。

チームからすれば開催場所の確保やチケット販売を行う必要がなくなり、経営上の負担が減る。その分、競技サイドのマネジメントに集中しながら、スポンサーの獲得やグッズ販売、地域との交流などで独自色を出すこともできる。

「3x3. EXE PREMIERの特徴はチームが興行を運営する必要が全くないことです。世界中のプロスポーツでも特殊な構造でしょうね。チームが存続するように、仕組みと体制を整えています」(中村氏)

1チームあたりの選手の数が少ないというのも3x3の特徴だ。3x3.EXE PREMIERでは、チームの登録選手数は男女共に6名。さらに、リーグが出場報酬の支払いも保証している。その上でチームが上積みするのは自由で、現在リーグに所属する約600名のプレーヤーも安心してプレーできる。

試合の運営やプロモーションについてもリーグ側は積極的に関与している。試合開催のために行政や施設所有者との調整を行い、昨シーズンはリーグをより多くの人々に知ってもらうために「SPOTV NOW」で全試合無料配信も実施した。

SNSは各チームが運用するが、コンテンツとなる動画を作りやすくするためにNTTドコモとの提携で、AIを用いたハイライト動画自動作成サービスの提供も始めた。「実証実験をリーグ主導で行い、そのインフラをチームが使えるようにしています」と中村氏は説明する。

新しくスポンサーマッチングサービスを開始

3x3.EXE PREMIERには多様なスポンサーが参画している。写真提供=3x3.EXE PREMIER

こうしたリーグからの力強い後押しはチームの経営を安定させ、ステークホルダーにとっても魅力的に映っている。実際、宇都宮ブレックスや東京ヴェルディなどのプロチームや、品川CCなど地域総合スポーツクラブを母体とするチーム、また堀江貴文イノベーション大学校(HIU)のオンラインサロンがオーナーとなり、同氏がアドバイザーを務めるHIU ZEROCKET.EXEなどの多彩なチームが参加。トヨタモビリティサービス、サン・クロレラなどの企業がスポンサーとなっているチームもある。

ただ、スポンサーシップについてはこれまで各チームに委ねる部分が多かった。その点で一層リーグが支援を行なっていくのが、今回新たに始まった「スポンサーマッチングサービス」だ。特設サイト上で、まずはリーグ加盟の日本に所在する48のチームを対象に、新規スポンサーに関心のある企業を募集してマッチングの機会を提供していく。

「スポンサーシップという領域で、リーグがどのようにチームの持続可能性や経営の安定度をサポートするのか。そのモデルを今模索している状態です」(中村氏)

スポーツチームのスポンサーに興味はあるものの、問い合わせていいのかどうか分からない、または問い合わせようとも連絡先を知り得ないという企業も多い。また、スポンサーとなることで何が得られるか、まとまって情報を得られる場所はこれまでになかった。

旧来は、スポンサー料が高額なものの十分に対価を得られていないというスポンサーシップも存在していた。だが3x3.EXE PREMIERでは、各チームが一般的には1000万円前後の予算で運営を行うため、地元の中小企業に対して大きな負担となる金額を要求する必要がない。

バスケを通じて地域を盛り上げたい、子どもたちや次世代の選手たちにプロリーグの試合を見せてあげたい、という純粋な気持ちが根底にある企業と、近い距離感で協働していくことができる。

「3x3.EXE PREMIERに『メガスポンサーシップ』は必要ありません。小さな会社、お金、チームもかもしれませんが、関わる人たちが当事者として作り上げていくことで、結果的には関係の密度が濃いリーグになっていくんです」(中村氏)

「プロスポーツを地域社会のものに」

「関わる人たちが当事者としてつくるリーグ」を目指すという3x3.EXE PREMIER

リーグ初年度の開幕戦は湘南のビーチサイド、その後も京都・平安神宮参道や品川のオフィス街など、様々な場所で試合を開催してきた3x3.EXE PREMIER。大きなスタジアムやアリーナでなく、地域の人々にとって近く、馴染みの深い場所で試合を開催するのも他にない特徴だ。

「スポーツは通常、試合をする場所に限りがありますが、(3x3は)駅前や繁華街などでも試合ができます。行政だけでなく、ショッピングセンターなど一般企業に協力を仰ぐことも多いです」(中村氏)

2019年からは日本だけでなく、韓国、ニュージーランド、タイ、インドネシア、台湾などでも試合を開催。本格的な国際リーグとして成長してきた。今後、リーグが目指す未来とは一体どんなものなのだろうか。

「プロスポーツを“地域社会のもの”にしたいと思っています。世界ではスポーツがビジネス化することで、スポーツとファンの距離はどんどん離れていってしまっている。チームの規模を拡大しないと経営が成り立たたないという構造ではなく、当事者の手触り感が強いままチームが成立するようなモデルを作っていきたいと思います」(中村氏)

誰もが「当事者」になれる世界をつくろうとしている3x3.EXE PREMIER。スポーツを通じて、日本中の各地域を盛り上げ、さらにはグローバルにも展開していく国際リーグとして、これからも挑戦を続けていく。

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