3人制バスケを活用した、コミュニティを活性化するスポンサーシップ。魅力は「地域活性化」と「一体感」

スポーツチームを支援しながら事業を多角的にスケールアップさせる。さらには地域全体を活性化し「バリュー」を創出していく。スポーツチームへの支援は日本においても、新たな成長をもたらす起爆剤として完全に定着した。

そのような中、ひときわ熱い注目を集めているのが、3人制バスケットボールの国際リーグ「3x3.EXE PREMIER」。今回は日鉄興和不動産の金谷貴央氏と、品川を拠点に活動するSHINAGAWA CC WILDCATS.EXE代表の遠塚谷流(とおづかたに・りゅう)氏に、3x3.EXE PREMIERにおけるスポンサーシップの魅力やメリット、そしてポテンシャルについて語っていただいた。

品川というエリアに「アイデンティティ」を

金谷 貴央氏(以下、金谷):「我が社は日本全国で幅広く事業を展開していますが、特に私は数年前より品川エリアのブランディングを担当しています。そこで目指したのがコミュニティを基盤にした、地域全体としてのアイデンティティ創出でした。

品川は急速にビジネスエリアとして発展してきており、昼間のワーカー人口が増えています。特に我々が所有・運営を行っている品川インターシティというビル群は、先進的なビジネスエリアの中核になっているだけでなく、社全体にとってもフラグシップ的な拠点になってきました。

一方、品川駅から徒歩で10分ほどの圏内にある港南地域は、タワーマンションが林立し居住者人口も増加するなど、洗練された居住エリアとしての発展を続けているんですね。

つまり、品川はそれだけ活気に溢れた地域になっているわけですが、ワーカー層は勤務先も異なりますから、横のつながりがどうしても生まれにくくなってしまう。居住地域に関しても、新たに引っ越されてくる方が多く、多様なコミュニティが存在するがゆえに複雑なコミュニティ形態となっていました。さらに述べれば、ビジネスエリアと居住エリアに橋渡しをするようなアイデンティティも、まだまだ希薄な印象を受けました。

ならばスポーツという「共通の応援対象」を持つことにより、職業や勤務先、年齢、性別、ひいてはビジネスエリアや居住エリアという違いを超えたアイデンティティが生まれ、品川全体のブランディングにつながっていくのではないかと。

そのような発想に基づき5、6年前から品川CCさんが運営しているスポーツチームを支援させていただくようになり、SHINAGAWA CC WILDCATS.EXEさんのスポンサードもスタートしたんです」

品川インターシティなどのオフィス街も試合会場になる。写真提供=3x3.EXE PREMIER

遠塚谷 流氏(以下、遠塚谷):「私たちがお役に立てると思ったのも、まさにその領域でした。SHINAGAWA CC WILDCATS.EXEの母体である品川CCは、サッカーやアメリカンフットボール、チアリーダーなどのチームを運営していますし、以前から日鉄興和不動産にサポートしていただいてきました。

そのような中、2019年に3x3のチームを作ることになったんですが、やはり3人制のバスケットボールは、数あるスポーツの中で最も気軽に楽しめる競技ですから、品川地区のブランディングやコミュニティ醸成にも貢献できる。そう考えて日鉄興和不動産さんに改めて連絡させていただいたところ、金谷さんも快諾してくださり、現在まで熱心に支援してきてくださっているんです」

成果を上げ始めたコラボレーション

日鉄興和不動産 賃貸事業企画部 エリアマネジメント室 マネージャー 金谷貴央氏

かくしてスタートしたコラボレーションは、早くも成果を上げ始めている。金谷氏が企図した通り、3x3.EXE PREMIERの試合開催やイベント実施は、ビジネスエリアと居住エリアそれぞれにおいて一体感や連帯感を生み出すと共に、両エリアを横断する「社会的ハブ」として機能。SHINAGAWA CC WILDCATS.EXEも着実に実力をつけ、2022年には好成績を幾度となく収めた。

金谷氏:「SHINAGAWA CC WILDCATS.EXEさんへの支援を通して、主な目的である品川地区のブランディングには一気にはずみがつきました。一方で、それ以外の部分でも多くの効果をもたらしてくれています。

たとえば日鉄興和不動産という会社名は、会場内のボードやチームのユニフォームでもPRしていただいていますから、SHINAGAWA CC WILDCATS.EXEが注目されればされるほど、我が社の存在をより多くの方々に知っていただくことができる。

チームのホームゲームでは、我が社が展開している『リビオ - LIVIO』というマンションブランド名も告知していただいています。3x3.EXE PREMIERは試合会場もコンパクトですし、場内の一体感がすごいので、広告効果はかなり得られています。この拡散力や情報発信力の高さは非常に魅力的ですね」

遠塚谷氏:「日鉄興和不動産さんに支援していただけるようになったのは、活動資金の強化はもとより、チームの活動を充実させていく上で決定的な要素になりました。SHINAGAWA CC WILDCATS.EXEは港南地域から天王洲のあたりまでのエリアを拠点に、品川カルチャーベースという自社のスポーツ施設などを活用してきましたが、様々な会場を提供していただくことにより、普及イベントやバスケットボール教室などをさらに展開できるようになりましたから。

結果、試合を観に来ていただくお客さんの数や、ファンクラブに加入される方は明らかに増えてきていますし、何より3人制のバスケットボールや、バスケットボールという競技自体に興味を持ってくれる子どもたちが草の根で増えてきた。これは本当に嬉しいことなんです」

パートナーシップの「2つの特徴」

SHINAGAWA CC WILDCATS.EXE 代表 遠塚谷流氏

日鉄興和不動産とSHINAGAWA CC WILDCATS.EXEのパートナーシップには、2つの特徴があると言えるだろう。1つ目は地域全体を元気にしていこうという想い。この点については両氏が既に指摘している通りだ。2つ目の要素は、抜群のフットワークの軽さである。

金谷氏:「そもそも品川インターシティの屋外広場の場合は、イベント用に有償で場所を提供するような運営はあまりしていないんです。むしろ我々の目的と合致する企画が出てきた時に、弊社が共催させていただくパターンがほとんどですね。その方がお互いにとってWin-Winになりますし、多くの方を巻き込みながら地域全体を活性化していくことができますから。

しかも3x3.EXE PREMIERの場合は、チームの規模がコンパクトなだけに、選手とのパーソナルな絆も育まれやすい。我が社では品川地区の飲食店舗と品川地区で活動する人のコラボを記事化して配信しているのですが、SHINAGAWA CC WILDCATS.EXEの選手にも出演していただきました。選手の方々は実にフレンドリーに、試合に対する思いや品川への愛情を語ってくださったりするんですね。

こうして選手個々の『顔』が見えてくると、地元の方々が抱く愛情や関心も深くなりますし、選手の方々はビジネスエリアで仕掛ける様々な企画にも柔軟に対応してくださるので、ワーカー層の間でも認知度が高まってきています。

このため最近では仕事帰りに品川インターシティ内の飲食店でビールを飲みながら、WILDCATSや3x3.EXE PREMIERの話題で盛り上がったりするような新たな文化も生まれつつあるんです」

遠塚谷氏:「そういうフットワークの軽さは、3x3.EXE PREMIER全体に共通する特徴だと思いますね。組織が大きいといろいろと調整が必要だったり、不都合なことも出てきたりすると思うんですけれども、チームはマネージャーやトレーナーも含めても10数名程度の組織なので、すぐに対応できるんです。

またファンサービスの重要性を誰もが理解していますから、お声をかけていただいたりした際も、しっかり対応するようにしています。この種の責任感と自覚を持つことは、徹底されているんです」

日鉄興和不動産とSHINAGAWA CC WILDCATS.EXEは、品川インターシティでも斬新な企画を実現させてきた。昨年6月には、ビジネスパーソンの健康づくりへの意識高揚とコミュニティ形成を促進すべく「KARADA Re-BOOT WEEK」を実施。

このイベントは品川CCの他のスポーツチームも参加して体験イベントなどを行ったが、最も多くのオーディエンスを集めたのは、会場内に設けられたフリースローの挑戦コーナーだった。

また昨年7月には3x3.EXE PREMIERの試合を、品川インターシティ内の特設コートで開催。スポーツにあまり関心のなかった人々も動員することに成功しただけでなく、都心部における複合型ビルディングの新たな活用法を提示したということで、各方面で大きな反響を呼んだことは記憶に新しい。

3x3が持つ「新たな可能性」

選手やコートだけでなく運営とも距離感が近い。「チームとの一体感が魅力」(金谷氏)写真提供=3x3.EXE PREMIER

ただし、このイベントは期せずして3x3.EXE PREMIERが持つ、別の可能性も示唆した。たしかに3人制バスケットボールは、ファッショナブルな都市型のスポーツエンターテインメントという印象が強い。

だが実際には人口の少ない地方部においてこそ、ビジネスや地域活性化の起爆剤になる可能性を秘めている。3人制バスケットボールの試合は、本格的なスポーツ施設がなくとも開催できるし、チームを経営したり支援したりする際の負担も最小限に抑えられる。

しかもスリリングなプレーを誰もが間近で堪能できるだけでなく、実際に学校の体育館や校庭、職場のスペースなどでも簡単に楽しめるからだ。事実、両氏が最後に強調したのも、3x3.EXE PREMIERが秘めた巨大なポテンシャルだった。

金谷氏:「先程も説明しましたように、3x3.EXE PREMIERで活動しているチームへの支援はビジネスに数々の効果をもたらしてくれます。地域全体の活性化やコミュニティづくりでもインパクトを与えることは間違いありません。

ましてや新世代のスポーツですから、野球やサッカーと異なりファンの開拓や広告効果においても、まだまだ伸びる可能性がある。東京オリンピックで女子のバスケットボール代表が活躍した後は、バスケットボール自体の人気も高まりましたから、追い風が強く吹いているのを感じますね。

それと同時に、私が魅力として強く感じるのは『一体感』です。選手やコートとの距離感の近さは他のスポーツにはない特徴ですし、スポンサーになることを検討されているような企業の方々にとっては、他の競技以上にチームと連携しながら、ビジネスを発展させたり地域を一緒に盛り上げたりしている手応えが得られる。そこは本当にオススメのポイントです。

私自身、最近ではスポンサーという立場ではなく、SHINAGAWA CC WILDCATS.EXEさんの一ファンとして、そして自分がチームスタッフにでもなっているような感覚で、夢中で応援するようになりましたから(笑)」

遠塚谷氏:「地方で企業を経営されている方々の中には、スポーツチームのスポンサーになるというと、すごく大変で費用もかかるような印象を持たれている方もいらっしゃると思いますが、そんなことはまったくありません。

私はチーム代表として運営の実情を知っていますから断言できますが、3x3.EXE PREMIERのチームは少数精鋭で運営されていますし、スポンサーになっていただく際の負担もきわめて少ないので、どなたでも支援していただくことができる。正直、経営者の方々が月に一度、お酒を飲みに行くのを控えていただくくらいの額から、簡単にスポンサーになっていただけるんです(笑)。

また、お知り合いの経営者の方にも声をかけていただければ、国内大会での優勝どころか、世界を狙えるようなチームまで作れるような規模感なんですね。これも他の競技にはない魅力です。

もちろん3x3.EXE PREMIERは地域おこしや地元の活性化、老若男女を問わない話題づくりや健康づくりなどにも貢献しますし、全国にそういう輪が広がっていけば、日本全体が元気になっていく。とにかくものすごい可能性を秘めていますから、少しでもご関心をお持ちの方は是非、気軽に3x3.EXE PREMIERの事務局にお声をかけていただきたいですね」