首都圏の地域銀行であるきらぼし銀行は、スポーツ支援を通じて地域社会とつながろうとしている。そのパートナーはサッカーのFC東京やラグビーのクボタスピアーズ船橋・東京ベイなど幅広い。CSR・地域連携からアスリート教育・デュアルキャリア支援までも視野に入れる、同行のスポーツ支援活動のこれまでと現在、これからの取り組みをうかがった。
スポーツの力を活用して地域に貢献していく
きらぼし銀行は、東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京の3行が合併して2018年に誕生した。きらぼし銀行 取締役 専務執行役員の三浦毅氏は、スポーツ支援を行ってきた意図についてこう話す。
「合併前の各行で、FC東京やFC町田ゼルビアなどをそれぞれサポートしてきた経緯がありました。私どもは首都圏の地域銀行として、プロスポーツだけでなく、地域のアマチュアスポーツのイベントなども支援してきました。地域支援の一環として、“スポーツの力”を活用させていただいています」
三浦氏からは「スポーツの力」という言葉が発せられたが、きらぼし銀行ではスポーツにどのような力があると捉えているのか問うと、「共感」と「つながり」というキーワードが返ってきた。
「スポーツには、まわりと“共感できる力”があると考えています。ひとつひとつのプレーやパフォーマンス、そして試合結果に対して、選手と観客が一緒に喜んだり悔しがったりできる、一体感を得られるのがスポーツの素晴らしいところだと思います。つながることの大事さを、コロナ禍を通して多くの人があらためて感じているのではないでしょうか?
それから、アスリートの一途な思いや前に向かって進む力は、まわりを引きつけますよね。懸命なパフォーマンスを見ていると、『自分もがんばろう!』と思えてきます。そうして人と人がつながることが、大きな力を生むのではないでしょうか」
きらぼし銀行では、現役のアスリートを行員として採用している。外のスポーツチームを支援するだけでなく、行内でも選手のサポートを行っている。
「棒高跳びの選手と、スピードスケートショートトラックの選手の2名を『アスリート行員』として採用しました。彼らに対しては、アスリートとして競技をサポートするのと同時に、社会人としても活躍することを期待しています。もちろん、現役中は競技に集中してほしいと思いますが、アスリートのデュアルキャリア、セカンドキャリアも支援していきたいですね」
忘れかけていた人と人のつながりの大切さを再認識
2022年2月に江戸川区陸上競技場で開催されたジャパンラグビー リーグワンのクボタスピアーズ船橋・東京ベイのホームゲームでは、「きらぼし銀行スペシャルマッチ」として同行の冠試合が行われた。ラグビーという競技を選び、クボタスピアーズ船橋・東京ベイというチームをサポートするのは、どのような意図を持っているのだろうか。
「クボタスピアーズ船橋・東京ベイに対しては、リーグワンがスタートした今シーズンからサポートさせていただいています。ラグビーは、かつては『企業スポーツの雄』といわれ、企業の力でチームを運営していました。それが、新リーグでは地域に根ざしたチーム作りを標榜しています。クボタスピアーズは江戸川区陸上競技場がホストスタジアムです。私たちも、共に東京の東部や湾岸地域を盛り上げていきたいと考えたのです」
試合には、ラグビーが趣味だという斎藤猛江戸川区長も来場。実際に冠試合を開催してみて感じたのは「アットホームさ」だったという。
「江戸川区長もご来場いただいて、本当に地域と近い距離で行われているんだなという実感を持ちました。スピアーズの勝利で終わりましたが、対戦相手のトヨタヴェルブリッツも終盤に猛攻を見せ、試合が終わればラグビーのスピリッツである“ノーサイド”で互いを称え合う。これこそ、スポーツの力が存分に発揮された瞬間だと思いました」
冠試合に合わせて、スタジアムの入り口ではSDGs体験ブース『東京都の木材を使って自分だけのコースターを作ろう』を実施。このSDGs体験ブースには、スピアーズと同じく江戸川区陸上競技場をホストスタジアムとし、きらぼし銀行が協賛する東京23FCの選手とスタッフがサポートに駆け付けた。その効果も相まって多くのファンが列を作って順番を待っていた。
「“木育”をテーマとして、東京都檜原村の木材を使ったオリジナルのコースターを自作してもらうブースを出しました。お客さまにヤスリがけをしてもらい、東京きらぼしフィナンシャルグループのロゴの焼印を押してプレゼントする、というものです。先着100名様限定だったのですが、予想以上の人気ですぐに満員御礼となってしまいました。もともとはお子さま向けの企画だったのですが、大人の方にも人気でしたね。その他にも、クボタスピアーズのチームロゴをあしらったフェイスタオルをノベルティとして配布しました。
コロナ禍でイベントなどが少なくなっていたので、多くの方にご来場いただけたのかなと思っています。手伝ってくれた行員たちも、最初は『声を出していいの?』などと戸惑っていましたが、お客さまが呼びかけに応えてくださったこともあり、徐々に積極的にブースへの勧誘ができしたようです。お客さまに喜んでいただけたことで、私たちもうれしさがこみ上げてきましたね」
スポーツの力を活用して、内にも外にも貢献していく
コロナ禍を受けて多くのイベントが中止になり、苦しんでいる人たちがいる。そんな中でも、知恵を絞って新しいスタイルを模索していこうという機運も盛り上がってきている。きらぼし銀行は、今後もスポーツ支援を続けていく意向だというが、どのような取り組みを考えているのだろうか。
「コロナ禍ということで、できなかったことがまだまだあります。先日の冠試合でも、本来はエスコートキッズをやりたかったのですが、実現できませんでした。また、当行は合併してできた銀行なので、行内でもっと交流を深めていきたいんですね。サポートしているFC東京やクボタスピアーズの試合にもっと多くの行員を呼んで、一緒に応援できればと考えています。また、ブースやイベントなどを、もっと多くの行員に手伝ってもらいたいんです。みんなで一緒に汗をかいたことは、思い出に残りますから」
銀行の外だけでなく内側に対しても、インナーブランディングとしてスポーツを活用していく。これも、スポーツというコンテンツの持つ力に違いない。
「合併前、私が町田の支店にいた頃の話ですが、FC町田ゼルビアの試合がある日にユニフォームを着用して勤務したことがあるんです。でも、旧行がサポートしていたのはFC東京だったから、支店のみんなでFC東京とFC町田ゼルビアのユニフォームを半分ずつ着て(笑)。すると、お客さまにも『おっ!』と思っていただけたようでした。今も、船橋や江戸川の支店にスピアーズのポスターを貼っています。先日は、クボタの社員の方から『どうしてウチのチームのポスターが…?』なんてお声をいただいたこともあったそうです。
私たちがスポーツを支援するのは、ただ資金を援助するということではなく、地域の方々と“共に”歩んでいくということなんです。私たちが地域になくてはならない存在になるために、今後もさまざまなサポートを続けていきたいと思っています」
スポーツには周囲と一体感を作り上げる力がある。そう考えるきらぼし銀行は、地域を盛り上げる存在となり、地域共に歩むためにスポーツの力を活用している。それは、コロナ禍で希薄になってしまった人と人のつながりを取り戻し、未来に向けて進む力を与えてくれるきっかけとなるだろう。
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