ブラインドサッカーを題材にリーダーシップやマネジメントを学ぶ。最新の企業研修サービスとは

2019年から日本ブラインドサッカー協会(JBFA)のパートナーを務める株式会社トーコンは、同協会と提携し、人材育成に関する研修プログラムを展開している。「見えない」ことを題材にして、コミュニケーションの本質やチームワーク、また自分だけでは気付くことの難しい「無意識バイアス」にアプローチするなどが特徴だ。多くの日本企業が課題を抱える「ダイバーシティ」に取り組む、最先端のプログラムについて聞いた。

コミュニケーションをテーマに、ビジネス基礎力を養うプログラム『autonomy(オートノミー)』と『OFF T!ME Biz(オフタイムビズ)』

人材・集客面から企業の事業支援を行う株式会社トーコンは、2019年からJBFAのパートナーを務める。ブラインドサッカー男子日本代表の強化指定選手も自社で雇用し、広報や企業向けの研修を任せるなど、ブラインドサッカーと共にこの4年間歩んできた。

そんな同社が、JBFAの研修プログラムを共同でクライアントに提供していくという。広報/採用・成長支援グループの前原加奈さんは次のように説明する。

「トーコンがお客様に提供できる、ブラインドサッカーに関連するプログラムは現在3つあります。まず『autonomy(オートノミー)』は、ブラインドサッカーを題材にしながら、個人、そして組織内のコミュニケーションを改善していくものです。参加者が自らのコミュニケーションを見直し、それを会社・組織全体の意思伝達の改善につなげていきます。

こちらはコロナ禍において、JBFAさんと共同で開発させていただいた研修で、オンラインでどこからでも参加いただけるものになっています。また、オンラインではなく実際に集まり、ブラインドサッカーを体験しながら学ぶことができる『OFF T!ME Biz(オフタイムビズ)』も非常にご好評をいただいています」(前原さん)

autonomy、そしてOFF T!ME Biz。ともにブラインドサッカーの特性の一つである「見えない」中でのコミュニケーションを活かし、相手に伝えることの難しさや相手を理解することの楽しさを体験するワークショップとなっている。

実際に各企業に研修プログラムを提案している鹿島信也さんは、これらの研修についてこう付け加える。

「たとえば、研修の中でこんな場面があります。目隠しをした人たちに対して自分と全く同じ動きをしてもらうようにお願いする、というものです。『腕を伸ばして』とか『手を開いて』と伝えるのですが、なかなか相手には容易に伝わりません。みんなバラバラな動きになってしまったり、何度言っても思い通りに動いてくれない人がいたりします。

コミュニケーションは必ずしも送り手の意図通りに受け取ってもらえない。こうした状況は、普段の職場にも起こっていることだと思います。言ったつもり、伝えたつもり。なんでわかってくれないんだろう。…こうしたコミュニケーションのズレが、見えない状況下ではどのように発生するのか。何が原因か。よくわかるんです」(鹿島さん)

「“見えない”状況下ではコミュニケーションのズレがよく分かる」と鹿島さん。写真=トーコン

人は、ともすると他人も自分と同じように理解してくれていると思いがちだが、性格や特徴、これまでのバックグラウンドが違う他者にそれを求めるのは、実は無理がある。

「そもそも、これらは送り手、発信者だけの問題ではありません。受取り手の問題でもあるんです。相手が言ったことがわからないならば、自ら『わからない』と声を上げることも必要です。

『腕の角度がどのくらいかわからないので教えてもらえますか?』『今の私の手のひらの向きはあってますか?』など、受け身ではなく主体的に関わっていく。状況を見て、自分がやるべきことを考え、行動・発信しなくてはなりません。それがチームで働くということにつながります」(鹿島さん)

そこには、コミュニケーションの本質が隠されているという。鹿島さんは自らこの研修プログラムを体験したからこそ、実感を持って提案できていると話す。

「こういった学びは、ビジネスの基礎力につながります。企業の新人や内定者への研修などに活用できます。上司と部下のコミュニケーション不足に対するソリューションにもなりますね。

ただ、こうしたコミュニケーションの重要性を単純に『ちゃんと伝えましょう』と話しても、『わかっているよ』で終わってしまいます。そこで、ブラインドサッカーという題材や、実際に身体を動かして学ぶことが多くの人には新鮮で、考え直すきっかけにしてもらいやすいのだと思います。言葉通り、『体感』してもらえるのではないでしょうか」(鹿島さん)

無意識バイアスを見える化する「UB-Finder」

3つ目の研修プログラムは、無意識バイアスに関する研修プログラムだ。

「UB-Finderという無意識バイアスの測定ツールを利用し、その人が無意識に持ってしまっているバイアス(偏見)に気付いてもらうという研修になります。こちらは、もともとは障がいや障がい者への無意識の偏見を可視化するために開発されたものではあります。

ただ、決して多様性やダイバーシティ推進のためだけの研修プログラムではありません。実際に、弊社ではこちらを『マネジメント研修』として管理職に向けて実施をしました。この研修はマネジメントを行う管理職の方々や、採用・選考に携わる面接官・評価者の方にこそ、一定の効果があるものと考えています」(前原さん)

UB-Finderの「UB」は「Unconscious Biases(潜在意識に潜む偏見)」を意味している。認知心理学で使用されている「Implicit Association Test(IAT)」のアルゴリズムを利用して、個々が持つ無意識バイアスを測定するプログラムで、画面上に並ぶ質問に答えていくことで、自身が持つ「偏見」の程度がわかる。

トーコンで中小企業に対して人事評価制度の構築支援をしている奥田眞丈さんは、現場視点からこう説明する。

「評価制度というと評価する人とされる人がいるわけですが、往々にして問題があるのは『評価をする方』です。ですから、評価制度のご提案と同時に、管理職に向けた研修のご相談をいただくことが非常に多いです。あうんの呼吸でこれまで仕事をしてきた日本企業では、管理職が明確な判断基準を持つことができず、評価制度が機能していないことも多いんです」(奥田さん)

そんな課題を抱える企業に対しては、管理職が「自分を知る」ことが第一歩になる。その一環としてUB-Finderで測定し、さらに研修を受講することで、自分が気付いていない「考え方のクセ」を知ることができる。

「そもそも、無意識バイアスそのものが悪いわけではありません。これまでの過去の経験や日々接する情報から形成される、誰もが持っているものですから、むしろ持っていることは当たり前です。問題なのは、自身の無意識バイアスに無自覚なこと。自分が当たり前と思っていることを疑い、自分の思考のクセを知ることが大切です。

それは自分の特性を理解することでもあります。管理職といっても、一律で同じ能力である必要はありません。人によって得手・不得手はありますから特性を共有することが重要です。そういった管理職が適材適所で活躍することが、組織の効率性を高めるには必要です」(奥田さん)

それぞれの研修は、JBFAとの提携やブラインドサッカーを切り口に設計されているが、それだけに囚われてほしくないと前原さんは話す。

「弊社のこれらの研修プログラムの目的は、差別やダイバーシティについて勉強をしてもらうことではありません。自分の当たり前が、相手の当たり前とは限らない。自分が持っている考え方、コミュニケーション手法などを客観視していただくということです。

ChatGPTがこれだけ認知され、いわゆる課題解決はますます自動化されていくと感じています。そうなると、人に求められるのは「課題」を定義するチカラであり、そこには相互の課題の認識を理解し合い、合意を得るコミュニケーションスキルが必須となります。このような時代だからこそ、本研修の意義・意味はますます高まっていくと確信しています」(前原さん)

従業員の成長支援は「重要かつ緊急の課題」

「自分の中の“当たり前”を疑うことが大切」と奥田さん。写真=トーコン

トーコンは今後もJBFAとのパートナーシップを進めていく中、協力しながら研修プログラムをより広めていく方針だという。

「まずは1社でも多く、プログラムを体験していただける企業を増やしていきたいです。中小企業は、従業員の成長支援にこうした外部研修を活用していこうというマインドがまだあまりないのではないでしょうか。まずは私たちからその兆しを作っていければと思います」(前原さん)

日本は深刻な人手不足に陥っている。日本商工会議所が2022年に実施したアンケート調査によれば、中小企業の約6割以上が人手不足と回答している。今後、日本社会は生活を維持することも困難な「労働供給制約社会」への移行までもが危惧されている。

「とはいえ、中小企業の多くは緊急の経営課題としては捉えてはいないかもしれません」と、鹿島さんが話すと、「何かやったほうがいいとは思っているけど、具体的に動けていない企業が圧倒的多数だと思います」と奥田さんも頷く。

「これまでのように自分たちに都合のいい人材を採用し、自分たちの流儀を学ばせて働かせるという経営は成り立たなくなっていくと思います。そこで生き残るのは、多様性を活かせている組織・会社です。

多様性のある組織は一見無駄が多いように見えますが、今後はそれが強みになっていくでしょう。いろんな人が混じり合って会社で仕事をしていく上で、どうしても不協和音は発生します。しかしそれを前に進む力に変換するノウハウは、大手だろうが中小だろうが必要不可欠なものになっていくはずです。だからこそチームとして活かせるコミュニケーションスキルの向上や、相互理解のための無意識バイアスは「カギ」になります。

もしダイバーシティを大企業の課題だと考えているのなら、それは間違いです。中小企業でもダイバーシティに積極的に取り組んでいける社会になれるように、当社としてもメッセージを伝えていけたらと思います。そのためにも、これからも日本ブラインドサッカー協会との研修プログラムを多くの企業様に届けていきます」(前原さん)

研修プログラムの説明会が近日開催!

研修プログラム「autonomy(オートノミー)」について、オンラインでの説明会が開催されます。時期的にも、企業の新卒内定者のフォローアップ時期に重なるため、autonomyを新卒内定者向け研修としてどう活用するか、というテーマとなります。当日は前原さん、ブラインドサッカー男子日本代表強化指定選手の日向賢さんが登場。また、実際に過去autonomyを実施されたことのある企業や研修体験者の声も含め、研修の概要が詳しく紹介されます。

<内定辞退ゼロ・入社後定着40%UP!驚きの内定者研修をご紹介!!>

研修プログラム「autonomy(オートノミー)」を紹介するセミナーです。ブラインドサッカーを引用したグループワークを通じて実施される本研修は、楽しみながら学び、参加者は身体を動かし、ブラインドサッカーの現役選手やファシリテーターの支援を経て、社会人に必要なコミュニケーションスキルや、入社に向けた準備について考える機会をつくります。

同時に、同期との自然なコミュニケーションもはかることができます。内定者辞退、および入社後の早期離職に悩む人事・育成担当者様はぜひご参加ください。

研修開発担当から、研修の概要を説明するだけでなく、実際に研修に参加した社員の声や体験談、また過去実施した企業様のお声も紹介します。セミナー詳細・申し込みは次のURLから。

https://tokon.co.jp/news/seminar/12990/

また、トーコンで実施する様々な研修に興味がある、自社内のコミュニケーションを向上させたい、またクライアント企業やステークホルダーにこの研修をご紹介したいという企業・団体・チームの皆様は、ぜひ以下よりお問い合わせください。

<ホームページ>

https://tokon.co.jp/

<お問い合わせ>

https://tokon.co.jp/contact/

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