トッテナム、ラグビーのサラセンズと5年間のパートナーシップ締結。新スタジアムでラグビー、アメフト併催

ロンドン本拠地のサッカー・ラグビー名門クラブが提携

サッカーのイングランド・プレミアリーグに所属し、ロンドンを拠点とする古豪トッテナム・ホットスパーと、同じくロンドンを本拠地とするイングランドのラグビーユニオン名門クラブのサラセンズが、5年間のパートナーシップ契約を締結した。10億ポンド規模の費用を費やしたトッテナムの新スタジアムが完成したことを受けたもので、2020年からはプレミアリーグの試合だけでなく、ラグビーユニオンのトップリーグ「ギャラガー・プレミアシップ」の試合も開催されることになる。

もともとトッテナムは、1899年建設のスタジアム「ホワイト・ハート・レーン」を使用していたが、設備の老朽化だけでなく、観客収容人数も約3万6,000人に留まっていたため、クラブ関係者やサポーターからは新スタジアムの建設を望む声が強かった。

この背景には、ロンドンのライバルクラブが続々と新スタジアムへの移転を果たしてきた事実がある。アーセナルは2006-2007シーズンに、6万260人を収容するエミレーツ・スタジアムへの移転を完了させ、ウェストハム・ユナイテッドは2016-2017シーズンから、ロンドン五輪のメイン会場となった6万人収容のロンドン・スタジアムを拠点としている。そして今回、トッテナムも「新居」への引っ越しを実現させた形になる。

差別化と工夫が凝らされた、トッテナムの新スタジアム

遂に現代的なスタジアムを手に入れたトッテナムだが、ライバルクラブの後追いではなく、様々な差別化が図られている。まず、収容人数は62,062人と旧スタジアムの2倍近くに増えただけでなく、アーセナルのエミレーツ・スタジアムやウェストハムのロンドン・スタジアムを、わずかながらも確実に上回るように配慮されている。

また、観客のエクスペリエンスの充実にも力が注がれている。飲食は、お馴染みのフィッシュ&チップスだけでなくロンドンのストリートフードや窯焼きピザ、アジア料理など幅広いメニューが提供される「The Market Place」をはじめスタジアムの60カ所以上で販売され、スタジアム内に完成したマイクロブリュワリー「Beavertown Tottenham Microbrewery」のクラフトビールも提供する。スタジアム全体ではキャッシュレスの決済システムが積極採用され、利便性を高めている。

プレミアムラウンジでも、ミシュランの三ツ星レストランの食事や、選手が入退場する際のトンネルをガラス張りにしたビューイングエリアの設置など、数々の新たな取り組みが導入されている。女性や子ども、ファミリー、VIPゲストなど多様な観客が、安全・快適にスタジアムのひとときを楽しめるように配慮されている。

試合観戦に関しても、きめ細やかな配慮がなされている。例えば、ウェストハムのロンドン・スタジアムは本来サッカー専用施設ではないため、ピッチと観客席の間隔が遠くなったという問題が指摘されている。しかし、トッテナムのスタジアムでは、ピッチまでの距離を近くに保ち、この問題を回避。イングランドの伝統的な「フットボール・グラウンド」のように、ファンが目の前で試合を堪能できるようになっている。また南スタンドは、階層で区切られていない単一構造の観客席として英国最大の規模となり、サポータで埋め尽くされると圧巻の「壁」が出来上がる。

最新施設ならではの工夫は、ピッチにも凝らされている。新スタジアムでは、天然芝の下に人工芝の層が設置され、サッカー以外のスポーツイベントの開催にも対応が可能だ。実際、新スタジアムは米NFLのインターナショナル・シリーズ「NFLロンドン」の10年間の開催について契約を締結しており、今年の10月に2試合が開催される。サッカーシーズンの開幕中に、クラブのスタジアムで他競技の試合が行うことができるのは、特殊なピッチ構造ならではだ。

トッテナムとサラセンズが切り拓く、スポーツビジネスの新たな可能性

スタジアムをハブにした新たなビジネスの創出は、スポーツビジネスで最も盛り上がりを見せる分野の一つ。ロンドンは、この新たなトレンドを誰もが実感できる場所の一つだ。アーセナルのエミレーツ・スタジアムは、近代的な外観と設備でサッカーファンの観光客を惹きつけ、観光名所にもなりつつあるが、地元企業が会議やコンベンションなどを行う際にも利用できる、MICE向けの複合設備としての機能を持つことが大きな特徴となっていた。

アーセナルのライバルチームであるトッテナムは、今回の新スタジアム建設、そしてサラセンズとの提携によって、その可能性をさらに拡げている。サラセンズとの提携により、新スタジアムは、3種類の「フットボール」(サッカー、ラグビー、アメフト)が一堂に会する画期的な多目的施設となる。一つのスタジアムが複数のスポーツのハブとなることで、地域コミュニティやビジネスへの大きなインパクトが期待されている。

トッテナムの会長であるダニエル・レヴィ氏は、次のように語っている。

「ラグビー界で最も大きな規模を誇るクラブの一つを招致することで、このエリアに新たなオーディエンスが集まり、ビジネスや地元の人々に、極めて大きな社会的・経済的利益がもたらされる。サラセンズとのパートナーシップ、そしてプレミアリーグとNFLの試合を併催することで、スポーツとエンターテイメントの拠点が誕生し、このロンドンの(トッテナム)エリアを変貌させていける」[1]

◇参照

1. Tottenham Hotspur

 
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